SCP-XXX-JP - 詫び石

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SCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの収容には、互いに友人関係等の親交が見られるDクラス職員2人組10組を用います。各人には「謝罪役」「脅迫役」の役割が割り当てられます。 「謝罪役」には携帯端末を貸与し、「脅迫役」には常に相手の殺害を意図した脅迫をするよう指示してください。携帯端末にSCP-XXX-JPが出現した場合、「謝罪役」には必ずその場で「詫びる」ボタンを押下させてください。ヒューマンエラー等の事由により本手続が失敗した場合、Dクラス職員の補充と日本国内において発生する脅迫事件や学内暴力事件等を監視し、SCP-XXX-JPを追跡してください。

財団管轄外の場所でSCP-XXX-JPが発見された場合、対象者を監視の上でSCP-XXX-JPを端末上に維持させてください。ヒューマンエラー等の事由により本プロトコルが失敗した場合、対象者および周辺には適宜適切なカバーストーリーを適用の上、再度日本国内において発生する脅迫事件や学内暴力事件等を監視し、SCP-XXX-JPを追跡してください。本手続は収容担当のDクラス職員の携帯端末にSCP-XXX-JPが発生するまで継続されます。

また、Dクラス職員以外の財団職員にSCP-XXX-JPが発生した場合、SCP-XXX-JP収容担当チームの監視のもと、前述の手続に基づいて行動することが義務付けられています。


説明: SCP-XXX-JPは、主に日本国内で使用されるスマートフォンなどの携帯端末上にて特定の条件下で発生する通知です。SCP-XXX-JPはインストールされている、いかなるアプリケーションからも通知されるものではなく、SCP-XXX-JPが発生する端末に共通性は認められず、またメーカーやOSの種類も問われません。SCP-XXX-JPは、後述の特定の心理的状況下に置かれている人物のもたらす反応に応じて現実改変を引き起こします。

SCP-XXX-JPは、血縁者や家族、友人などの親交が強いと思われる1名の人命の損失を伴う特定の行為の履行を強要された人物が所有する端末において発生します (以降、この人物を「対象者」と呼称) 。SCP-XXX-JPは対象者の端末上において、「あなたは毎日石に詫びることで儀式をやめることができます」という文面とともに、「詫びる」というボタンを備えた通知が出現します。SCP-XXX-JP自体には強制力を持つ異常性は認められませんが、対象者の置かれている立場や状況のため、多くの場合はSCP-XXX-JPに対して何らかの反応を示します。

SCP-XXX-JPに対して対象者が「詫びる」ボタンを押した場合、その時点から毎日SCP-XXX-JPが端末に出現し続けます。対象者がSCP-XXX-JPの「詫びる」ボタンを押し続けている限り、対象者の行動を問わず人命の損失は発生することはありません。しかし、一度「詫びる」ボタンを押した後、SCP-XXX-JPをスワイプで消去した、もしくは24時間以上SCP-XXX-JPを放置した、あるいは対象者以外が通知を操作した場合、行為の不履行によって生じると示唆されていたすべての損失が引き起こされます。なお、財団により収容されていた期間における広域調査の結果から、SCP-XXX-JPは同時に複数発生する事例は認められません。

SCP-XXX-JPは、静岡県[編集済]で20██/█/██に発生した不審な点を有する誘拐事件に関する警察の事件記録を財団が確保したことで判明しました。当該誘拐事件の記録において、容疑者が「明日までに現金100万円を用意しなければ娘を殺す」と脅迫を行った際、同時に電話を受けていた母親の端末上になんらかの不審な通知が発生し、そこに表示されていた「詫びる」ボタンを押下したということが記録されています。その後警察が逆探知のため母親の端末を預かり待機していたところ、容疑者が出頭し「怖くなって殺すのをためらっていたが、気づくと娘が包丁で何者かに刺されていた。慌てて救急車を呼び出頭した」と供述しました。娘は搬送先の病院で死亡が確認されています。本件に関して財団は関連資料の回収後、被害者家族、警察、容疑者を含め規定のカバーストーリーに基づいて情報が調整されました。

以後、類例の事案が日本国内で散発的に報告されたため、財団は本格的な調査を行いました。その結果、原因と思われる各事例での端末の通知がなんらかのオブジェクトである可能性が指摘されたため、SCP-XXX-JPとしてナンバリングされ現在に至ります。


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    補遺.01: インタビュー記録-01

    インタビュー記録-01


    記録者: 栄枝博士

    実施日: 2019/6/8 18:25

    付記:SCP-XXX-JPの初期収容作戦の経過において実施されたインタビュー。インタビュー対象の岬 裕也氏はSCP-XXX-JPの影響で死亡したと思われる氷川 [編集済]氏の友人であり、インタビューはスクールカウンセラーによる聞き取りという形式で行われた。


    <記録開始>


    栄枝博士: 今日は大変だったね。私は栄枝、スクールカウンセラーだよ。まず、

    (栄枝博士の話が始まった瞬間に、慌てて叫ぶような声が重なる)

    岬氏: だって、だってさ!これあいつの家にあった漫画に書いてあって!

    栄枝博士: うん、そう聞いている。大丈夫だよ。まずは、深呼吸して名前を教えてくれるかな?

    岬氏: あっ、あ、岬裕也、です。えっと、えっと……!

    栄枝博士: 岬君。友達が変な死に方をして、不安になってしまった、と担任の先生から聞いているよ。

    岬氏: オレは殺してなんかいないよ!

    栄枝博士: あぁ、あぁ。そうだ。私はそう考えている。だから、まずは岬君の不安を取り除きたい。私と一つずつ、怖いことを確認して安心できるようにしよう。

    (岬氏が栄枝博士の言葉に一瞬遅れて頷く)

    岬氏: ……オレ、氷川の家に学校が終わったあと遊びに行ったんだ。で、氷川の家で漫画を読んだんだ。

    栄枝博士: 漫画のタイトルを教えてくれるかい?

    岬氏: ほんとうにあった怖い……みたいな。ごめんなさい、そんな感じしか覚えてなくて。七不思議とか、おっきな女が出る話とか、そんなのが何種類か出てる漫画だった。

    栄枝博士: 怖い話の漫画だね。

    岬氏: はい。その中に電話に不幸のメール?みたいなのが届いて、それを友達に転送しないと死んじゃうって話があったんだ。

    栄枝博士: 不幸のメール、と……転送。うん。昔、私もそんな話を聞いたことがあるよ。

    岬氏: 氷川と一緒に読んで、何で発信者のメールアドレスを調べないんだろう、とか笑いあってた。

    栄枝博士: ちゃんとしているね。ふむ。

    岬氏: 学校で習ったから、こんなの引っかかるやつ居ないって。で、遊んでから家に帰った。その後、オレがふざけて……。

    (黙り込んでしばらくして、うう、と小さく呻く)

    栄枝博士: うん、聞いている。漫画を読んでゲームをしてから、夕方に家に帰ったんだったね。

    岬氏: オレ、そんなつもりじゃなくて!……あっ、ごめんなさい。えっと。

    栄枝博士: 大丈夫だよ。岬君のせいじゃない。帰ってからどうしたのか教えてくれるかな。

    岬氏: 帰ってから、その漫画のマネをして氷川にLINEしたんだ。

    栄枝博士: 文面を教えてくれるかな。

    岬氏: その、ちゃんと覚えてない……だけど。「これは不幸のメッセージです。同じ内容の文章を他のグループの人5人に転送しないと貴方は死にます」みたいな、感じで……。

    栄枝博士: 君のアカウントからかい?

    岬氏: う、うん。オレのアカウントから送ったし、氷川と普通に話してるところだからイタズラって分かると思って。

    栄枝博士: 送った後は?

    岬氏: えっと。氷川から返事がふたつ来て。

    栄枝博士: ふたつ。

    岬氏: ひとつ目が「詫び石送ってくんなら、そう言う冗談やめろよ」で、ふたつ目が「お前絶対先生とかにこれ送るなよ?これじゃ謝ってるのが逆になっちゃうぞ。お前トイレ掃除確定な」って感じで。……オレ、夜の9時から朝まで電話使っちゃダメだから、その先は見なかった。

    栄枝博士: 岬君が送ったのは、ふざけた不幸のメッセージ、だったんだろう?なにかのゲームの話題でもしていたのかい、詫び石って?

    岬氏: ううん、昨日はしてない。それにオレはゲーム会社とかじゃないし、詫び石とか配らないよ……。

    栄枝博士: そうだね。イタズラをしただけだ。それにこんなイタズラ、昔からいっぱいあったさ。

    岬氏: 次の日学校で氷川と話した時、ケータイ見せてもらった。オレの不幸のメッセージは既読になってたけど、その後のメッセージが詫び石とトイレ掃除のやつ。オレが送った分しかなくて。氷川も「あれ?オレ見間違えでやべー返事したのかも。テストの点数で怒られてたからさあ」って。

    栄枝博士: そうだね、メッセージなら全部出てるし消去したら消去って出るはずだよね。

    岬氏: うん。で、あいつ、次の日学校に来なくて。来なくて……!それで朝の会で、先生が!先生が!

    (岬氏が錯乱し、大きな声で泣き出す)

    栄枝博士: うん、言わなくていい。私はその話も聞いているから。だから、大丈夫。岬君は悪くないよ。

    岬氏: 氷川死んだって!オレが変なメッセージ送ったから氷川死んじゃったんだよ!オレどうしたらいいかな、ねえ!ねえ!

    (嗚咽が混じり、聞き取りにくい音声が続く)

    栄枝博士: ありがとう。もう大丈夫だ。岬くんは何もしていない。絶対に大丈夫だ。

    岬氏: 先生……。

    栄枝博士: 嘘もついていないし、怖いことがあったことも本当だ。でも、岬君はイタズラをしただけで、このイタズラでは人は死なない。でも、悪いことだけどね。

    岬氏: ……はい。

    栄枝博士: ……おっと、狭い部屋なのも怖かったろう。となりの食堂で、温かいお茶でも飲んで休もうか。

    岬氏: は、はい……そうする。

    栄枝博士: それじゃ、行こう。記録終了。


    <記録終了>


    記録終了報告: 当該インタビューの後、岬氏は通常のプロトコルに基づき記憶処理とともに解放された。氷川氏は自宅にて2019/5/██に心臓麻痺により死亡していることが検死調査により判明している。しかし、同氏は頸部に絞殺痕が存在しており、これは岬氏が言及した漫画「本当にあった怖い話・夏~ケータイにも出た!~」における37pにて描写された死体の状態に酷似したものである。


    • _

    補遺.02-1: 補足事項

    2023年、5年毎に実施されている財団神話・民俗学部門主導での日本国内における土着信仰等の総合調査の報告において、各地の宗教上で信仰対象として祀られていたと思わしき石や像にSCP-XXX-JPにて表示される文様に酷似した印が刻まれている例が33件確認されました。これらはSCP-XXX-JPと何らかの関連性を示唆するものと推定されていますが、財団が実施した調査の範囲において明確な異常性は認められませんでした。

    なお、文様が発見された場所はいずれも、何らかの理由によって廃村となっています。これらの事実を受け、SCP-XXX-JP調査担当チームはさらなる追跡調査を実施する予定です。


    補遺.02-2: 神話・民俗学部門 高井田博士による覚書(抜粋)

    もし、津波を止める儀式の代替えの「石」で村が流れたとするならば――
    国民を人質に取ったテロリストの脅迫は……詫び続ければ解決するとでも言うのだろうか?


付与予定タグ: scp keter jp 神話・民俗学部門 刻印 コンピュータ 非実体 文字入り 通信 宗教 現実改変 記述 オンライン 概念 儀式

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