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母体に発生したSCP-3693-JP-A
アイテム番号: SCP-3693-JP
オブジェクトクラス: Safe Neutralized Keter
特別収容プロトコル: SCP-3693-JPの完全な収容は成功していません。山梨県において結婚届が提出された世帯およびドラッグストア等での妊娠検査薬の購入履歴、産婦人科からの報告情報を随時データベース化し記録します。記録の保持は対象が離婚や死別等に至るまで実施され、配偶者が妊娠した場合家屋の軒下や屋根裏等をカバーストーリー「業者点検」「蜂の巣駆除」等の適用の上で定期的に確認します。SCP-3693-JPが確認された場合は即座に除去されます。
医療機関等で妊婦にSCP-3693-JP-Aが発生している可能性が見られる場合、カバーストーリー「死産」等を適用し人工妊娠中絶の実施と共にSCP-3693-JP-Aが除去され、関係者にクラスA記憶処理を実施します。万が一胎児の成長が23週を超えている状況でSCP-3693-JP-Aが発見された場合、カバーストーリー「切迫流産」を適用の上SCP-3693-JP-Aを回収し、関係者にクラスA記憶処理を実施します。
SCP-3693-JP、およびSCP-3693-JP-Aはいずれもサイト-8133において、低危険物収容ロッカーに各3個ずつ維持して収容し、以後発見された実例はすべて標準の廃棄物処理プロトコルに基づいて焼却廃棄してください。
説明: SCP-3693-JPは、種別不明の蜂の巣1の上部構造に類似したオブジェクトです。SCP-3693-JPは妊婦がいる家庭の軒下や屋根裏等に発生し、子宮内の胎児付近に全長1.5cm、最大直径1cm程度の昆虫の卵を不明な手段を用いて生成します。胎内に発生した卵は胎児が概ね25週程度になるとハチの幼虫に酷似した生物 (これを "SCP-3693-JP-A" と定義) として孵化し、耳、鼻、眼球、肛門、性器などの体内に通じる箇所から胎児の内部に侵入します。この段階のSCP-3693-JP-Aを摘出し分析したところ、一般的なセグロアシナガバチ (Polistes jokahamae) の幼虫に酷似していることが判明しています。
SCP-3693-JP-Aの侵入後、胎児の臓器等を捕食しながら成長します。侵入から20週程度経過し、体長が約40cm前後にまで成長すると、胎児の皮を被ったまま産道を通り体外へと移動します。SCP-3693-JP-Aは体外へと移動する際、母体には出産もしくはそれ以上の強烈な負荷を与えていることが記録されています。体外に出たSCP-3693-JP-Aはおよそ1時間以内に急速な乾燥もしくは腐敗により死滅します。SCP-3693-JP-Aの死骸は各種検査を行った際も、体長以外においてセグロアシナガバチの幼虫と大きな差異は認められません。また、財団によっていかなる手法を用いても、SCP-3693-JP-Aを成虫まで生存させることは成功していません。したがって、SCP-3693-JPがどのような生活環で発生するものなのかを生物学的に説明することも現在まで出来ていません。
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補遺.01: 発見経緯
SCP-3693-JP、およびSCP-3693-JP-Aは山梨県[編集済]村にて、「みろくさま」と呼称され村民から尊ばれた存在として発見されました。[編集済]村は人口130人ほどの限界集落であり、1989年には村民のほぼすべてが死去したため廃村となりました。以下はSCP-3693-JP、およびSCP-3693-JP-Aの発見に関する一連の探査ログです。
探査ログ-01
記録者: 桜木博士
実施日: 1981/7/12 09:11
付記: 探査はSCP-3693-JPの初期収容を目的とした事前確認のために行われた。桜木博士は平時より████大学の民俗学者と名乗っている。█ タヱ氏は[編集済]村で桜木博士が最初に遭遇した村民である。
<記録開始>
(桜木博士による状況の解説。しばらく誰もいない田園風景が続き、淡々と地域の解説を続ける)
(カメラが1人の村民を捉え、桜木博士が近づく)
桜木博士: すみません。こちらは[編集済]村でよろしいでしょうか?
█ タヱ: あらぁ、珍しいねェ。そんだよ、[編集済]村だァ。
(上機嫌に微笑む█ タヱ氏が走り寄ってくる)
桜木博士: 私は民俗学者の桜木と申します。この辺りの祭りを調べているのですが……
(言葉を言い終わる前に、█ タヱ氏が話し始める)
█ タヱ: すんごいねェ、先生かい!祭り……ああ!神木さんのことかね!
桜木博士: かみき、ですか。それはどのよう……
(█ タヱ氏が博士の手をつかみ、引っ張るように歩き始める)
█ タヱ: んにゃァ、あれだよぉ。御神木さぁ。あっちんあるんよ、ほらァ、急ぎぃよ。
桜木博士: ご、御神木。それは興味深いです。ええと、どんなお祭りなんですか?
█ タヱ: 神木さんに感謝の酒を撒くんだぁ、んでも今は違うなァ。
桜木博士: 御神木にお酒を捧げるお祭り、で良いのでしょうか?
█ タヱ: そんだよォ。んでも、今は、みろくさま捧げんだよォ。
桜木博士: みろくさま。
█ タヱ: そんだァ、みろくさまだぁ。おくるみのまんまだなァ。
桜木博士: それはどんなものなのですか?
█ タヱ: 赤んぼだよォ。ハチになれねぇハチノコだなァ。
桜木博士: 赤ん坊……ハチ、とは虫の?
█ タヱ: ほんら、ハチ、は8って書くだろぉ?んで、ハチになれねんだ。んでも尊いからよぉ、3、6、9……って8に足りねえの並べてな!
(繋いだ手を離した█ タヱ氏が博士の目の前に移動する。右手で空中にアラビア数字を描きながら)
桜木博士: 3、6、9……みろく、ああ、みろくさま。
█ タヱ: 流石先生だぁ、賢いねェ!さ、神木さんはもうちょっとだァ!
桜木博士: (急に声が大きくなる) はい!とても楽しみです!
<記録終了>
記録終了報告: 桜木博士はその後、御神木のもとへタヱ氏から案内され、「みろくさま」と呼称される乾燥した幼虫の死骸が御神木に捧げられ、清酒が巻かれる儀式を確認した。この際に捧げられた幼虫の死骸はSCP-3693-JP-Aであると思われる。
探査ログ-02
記録者: 桜木博士
実施日: 1981/7/12 12:54
付記: 桜木博士は儀式を確認した後、正午過ぎまで村民と会話した。その際の会話は桜木博士が記録を失念していたため記録されていないと思われる。
<記録開始>
(映像が乱れ、タヱ氏の顔が一瞬映るが、直後に御神木が映される)
桜木博士: これが神木さんです!
█ タヱ: ああ!そうだぁ!
桜木博士: 素晴らしいクヌギですね!ああ、あちらが……みろくさまですか!
█ タヱ: んだぁ、みろくさまだなぁ。
█ ミヨ: おんや、なんだい、お客さんたぁ珍しいねェ。お参りとは関心だよぉ。
█ タヱ: 桜木先生だぁ、お祭りの研究やってるそうだよぉ。
█ ミヨ: そりゃぁ関心な事だぁ!
(カメラは、神木の根本に置かれた干からびた40cm前後の白い何かの幼虫を捉え続けている)
桜木博士: みろくさま、気になりますね!調べたいです!私の仕事です!
(カメラで写したまま、村民の返事を待たずに桜木博士が幼虫に近づく)
█ タヱ: いいよォ!先生のお仕事かい!そりゃあ賢いねぇ!
█ ミヨ: なんだぁ、関心だねぇ!そりゃあ頑張らないといかんねぇ!ほらほらァ、もってきぃ。
(ミヨ氏が桜木博士の横に走ってくる足音。カメラが声の方向に向く。ミヨ氏がしゃがみ、幼虫を抱きかかえると桜木博士に手渡そうとする)
桜木博士: 頂いていいのですか!これは助かります!しっかり収容しなければなりません!
█ タヱ: 先生頑張ってなぁ!難しい言葉やねぇ、流石先生だぁ。捕まえる心配かい?あっはは、もう死んでんけん、みろくさまぁ逃げんよぉ。
桜木博士: 逃げないのですか!それも助かります!他にみろくさまは居ますか!
█ ミヨ: カヨコちゃんが産んだんが最後かんねェ、あの子も若ぐねぇし、産んだら死んじまったよォ。ずいぶん久しぶりのみろくさまが、その子だよォ。
█ タヱ: そんだなぁ、カヨコが産んだんが最後だあぁねぇ。こんな尊い子ォ、ワシらに残してくれたんよぉ。
桜木博士: 長い間みろくさまは生まれなかったのですね!そして、こちらの子が久しぶりのみろくさまですか!
(カメラは村人が幸せそうな笑顔で頷いているのが映し出される)
█ タヱ: そんだよ!仕事なんだろ、ちゃぁんと大事に持って帰るだよぉ。
桜木博士: 協力に感謝します!やった!研究だ!収容するぞ~!
(とても嬉しそうな声の後にカメラが一軒の家を写し出す。軒下に蜂の巣の上部部分が大量に残されている)
█ ミヨ: おんやあ!先生、そこんちは昔たくさん、みろくさん産んだだよぉ。
█ タヱ: そうだねぇ!いっぺえうんどったなぁ。先生、働きすぎだよぉ!お茶でも飲んできぃ!
(突然カメラの映像が止まる)
<記録終了>
記録終了報告: その後、桜木博士は幼虫の死骸と蜂の巣の一部のようなものを抱え、嬉しげな様子でサイト-8133へ帰還した。その道中もそれらを抱えたままであったため、別件で行動中であった財団フィールドエージェントに桜木博士が異常行動を行っていることが報告され、サイトへ帰還する前に確保された。回収された死骸と蜂の巣は分析の後、SCP-3693-JP、SCP-3693-JP-Aに指定された。
桜木博士は精神鑑定等を行ったところどのような質問にも笑顔で答え、「素晴らしい儀式を見せていただけた」「収容すべきものもありがたく譲ってくれた」等と説明し、終始明朗な様子を見せ続けた。
これらの探査ログを受け、SCP-3693-JP-Aには何らかのミーム的・認識的影響を及ぼす異常性が存在する可能性が指摘されたため、回収されたSCP-3693-JPを用いてSCP-3693-JP-Aの発生実験が実施されました。
回収したSCP-3693-JPを用いた、サイト-8133でのSCP-3693-JP-A発生実験の結果として、[編集済]村に関与したDクラス職員での実験では、SCP-3693-JP-Aの出産の際も「一様に楽しげな笑顔を見せながら明朗に振る舞い、SCP-3693-JP-Aを我が子のように歓迎している」様子が見られました。同様に、[編集済]村に一度も関与したことのないDクラス職員での実験では、SCP-3693-JP-Aの出産時における身体的・精神的苦痛によって死亡、あるいは回復不能な精神崩壊が引き起こされました。いずれの結果でもDクラス職員には何らかの異常なミーム的影響や認識災害等は検出されませんでした。
なお、桜木博士は回収後、異常ミーム被曝検査等の各種検査や記憶処理を行いましたが、数値上の異常は認められず、記憶処理も効果を示しませんでした。しかし、桜木博士の職務評価からは明らかに逸脱している異常な言動や行動であったため、桜木博士は解雇の後サイト-8133にて収容状態に置かれています。
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補遺.02: 追跡調査記録
1981年8月4日、[編集済]村はSCP-3693-JPの発生原因の調査および不明な精神影響を長期的に調査・研究する目的で、1989年に最後の村民が死去するまで臨時サイト-81-3693に指定されていました。Dクラス職員を用いたSCP-3693-JP-A発生実験も[編集済]村で複数回行われました。[編集済]村での実験の結果、Dクラス職員にSCP-3693-JP-Aが報告通り発生したため、サイト-8133へ移送して出産段階まで観察する実験を実施しました。しかし、いずれの事例においてもSCP-3693-JP-Aは1時間以内に乾燥により死滅し、また乾燥を避けたとしても急速な腐敗により死滅したため、SCP-3693-JP-Aを成虫に至るまで生存させることは成功していません。
また、[編集済]村でのSCP-3693-JP研究担当者として業務に従事していた職員の多くも不明な精神影響により明朗な精神状態を発露しましたが、[編集済]村が廃村となるまでその発生原因が特定できなかったこと、精神影響下であっても財団職員としての職務はある程度正常に遂行できていることを鑑みて、臨時サイト-81-3693はこれらの職員を収容するためのサイト指定という意味も兼ねられました。
1989年6月29日、最後の村民であった█ ウメ氏が死去したため、[編集済]村は廃村となりました。これ以降、SCP-3693-JPは[編集済]村で発生することがなくなりなました。これを受け財団は1996年までに[編集済]村の臨時サイト-81-3693のサイト指定を解除し、該当地域は財団管轄の不動産会社複数社を介して正常な土地として管理されることとなりました。
臨時サイト-81-3693の指定解除後に同サイトに所属していた財団職員はすべて解雇され、何らかの異常オブジェクトに罹患している可能性があるとして収容の上、別サイトにて詳細な検査が行われる予定でした。しかし職員の撤退後、[編集済]村に存在していた御神木が肉眼で観測可能な速度で急速に枯死し、それと同時に桜木博士を含む臨時サイト-81-3693に所属していたすべての職員がその場で楽しげに笑い出した後、顔をひきつらせたまま死亡しました。死因については心臓麻痺の様相を示していますが、いくつかの相違点も見られるため断定できていません。枯死した御神木はその後複数の検査を実施しましたが、目立った異常は認められませんでした。
その後、村民および実験に使用したDクラス職員、死亡した臨時サイト-81-3693に所属していた職員の身体を解剖して確認したところ、視床下部にクヌギ (Quercus acutissima) の実と、そこから脳全体に対し根と思われる器官が侵食していること、およびクヌギの実や根状組織と共に脳全体が腐敗していることが判明しました2。このことから、前述まで発生していた不明な精神影響はこれによってもたらされていたものであると考えられています。なお、クヌギの実がどのような原因でヒトの脳内に入り込んだのかについては不明です。
これらのインシデントが発生して以降、[編集済]村跡地付近においてSCP-3693-JPおよび不明な精神影響は発生していません。また、収容中のSCP-3693-JP全実例が未明時期よりSCP-3693-JP-Aを一切発生させなくなったため、SCP-3693-JPは2016年にオブジェクトクラスがNeutralizedへ再指定されました。2017年、[編集済]村跡地は財団管轄の不動産会社から[編集済]市に管理が移譲され、市が管理するゴミ処理施設が建造されました。
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補遺.03: SCP-3693-JP Keter再指定記録
2018年8月8日、「乳児の皮膚の残骸と腐敗した巨大なイモムシの死骸がある」という警察への110番通報を財団が感知したため、通報地点が調査されました。その結果、山梨県[編集済]市に位置する[編集済]公園の女子トイレにて、乳児の皮膚およびSCP-3693-JP-Aの死骸が発見されました。発見されたSCP-3693-JP-Aは即座に回収され、サイト-8133に収容されました。関係者およびSCP-3693-JP-Aを出産した人物は特定され、インタビューの後にクラスA記憶処理の適用と、カバーストーリー「乳幼児死体遺棄事件」が流布されました。
これを受け、SCP-3693-JP、およびSCP-3693-JP-Aの追跡調査が再開されました。その結果、[編集済]市を含む複数の市において同様の形でSCP-3693-JP-Aが発生していた事実が認められました。SCP-3693-JP-Aを出産した人物が居住していた民家の軒下および屋根裏からはSCP-3693-JPが発見されたこと、その発生範囲は広く、[編集済]村での一連の状況よりも悪化していることを鑑み、オブジェクトクラスがKeterへ再指定されました。
なお、[編集済]村跡地に建造されたゴミ処理施設およびその周辺も調査が行われましたが、異常は認められませんでした。施設の建造とSCP-3693-JPの発生の関連性は現在も不明なままです。
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任意A任意B任意C- portal:2577572 (14 Jul 2020 12:54)
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