SCP-4000-PXの収容にかかる特別対応通知
SCP-4000-PXの収容および研究を実施する行為は、SCP-4000-PXの干渉にかかる連鎖的影響によるXK-クラス: 世界終焉シナリオの発生につながるおそれがあることから、O5評議会による全会一致により永久凍結されました。当報告書全文の閲覧は、ガンマ-7Xタイプ認識補正製剤を定期服用する担当職員にのみに限られます。
アイテム番号: SCP-4000-PX | Level 4/4000-PX |
オブジェクトクラス: Tiamat | Classified |
特別収容プロトコル: SCP-4000-PXの定期的発生を避けることは不可能であるため、SCP-4000-PXの積極的収容手順の策定は原則として行われません。SCP-4000-PXによる人類種に対する積極干渉を可能な限り回避する目的で、財団を含む各正常性維持機関で緊密な連携を取るための共同対処協定"プロシージャ・フェニックス"が策定されています。SCP-4000-PXへの対処を目的とする人員は、SCP-4000-PXがもたらす認識・ミーム的影響を阻害する恒久的なガンマ-7Xタイプ認識補正製剤の定期服用を必要とします。
SCP-4000-PX-1の回収・管理は、インシデント2042-58の発生に伴い、原則として禁止されました。収容済・未収容問わず、SCP-4000-PX-1の存在を確認した時点ですべて処分されます。また、SCP-4000-PXの干渉により何者かがSCP-4000-PX-1の摂取が発生した場合、摂取した者はSCP-4000-PX-Aとして取り扱われ、標準人型実体収容コンテナで所定の人型実体収容プロトコルにもとづき収容されます。
SCP-4000-PXはその存在、およびその干渉規模の莫大さから、SCP-4000-PXの出現を観測してからおよそ1400時間は観測地点周辺に臨時観測エリア-PX番号の臨時施設が設置され、共同対処協定"プロシージャ・フェニックス"に基づき、各正常性維持機関ならびに各国政府との共同でSCP-4000-PXの破壊が行われます。SCP-4000-PXの破壊はη-スクラントン指向性強制現実補強杭を装備したR2殲滅システムが使用されます。
SCP-4000-PXの発生予想観測は財団時間異常部門による予測立てが行われていましたが、インシデント2042-58の発生に伴う財団時空観測部門成立タイムラインが消滅したことを受け、発生予測は行われなくなりました。
説明: SCP-4000-PXは、人類種の成立時点からおよそ数十~数百年単位で不定期に出現する超次元現実的形而上存在です。SCP-4000-PXは鳥類に近似した特定の生物種に由来する容姿をしていますが、2112年現在の財団の保有する技術体系において、SCP-4000-PXが特定の生物種であるとは考えられておらず、ある種の超常的災害そのものであると解釈されます。
SCP-4000-PXは記録される限りにおいて、57,000~62,000Hmという非常に高い現実干渉性を有しており、同様にアレフ-メタクラスの指向性を有したミーム災害誘発能力を有していると考えられています。そのため、人類がSCP-4000-PXと接触・干渉・会話することは、それ自体がSCP-4000-PXによる回避不可能な強力なミーム的影響下に置かれることを意味しており、大多数の場合においてSCP-4000-PXに干渉した人類は保護するべき正常性を既存しうる脅威となりえます。
SCP-4000-PX-1は、SCP-4000-PXから回収される血液状物質です。SCP-4000-PX-1はそれ自体が6,000Hm前後という強い現実性を有しており、周辺の現実性を塗り替えてその存在を確立させています。SCP-4000-PX-1はSCP-4000-PXが自身に干渉した者に対して積極的に供与する傾向を示します。SCP-4000-PX-1を摂取した者は、その高い現実性に由来する物理的・病理的に関わらない不死性を獲得します。また、SCP-4000-PXに対する物理的攻撃でもSCP-4000-PX-1は回収可能ですが、これはSCP-4000-PX-1を広範囲に散布することとなる危険性があるため、推奨されていません。
SCP-4000-PX-1を摂取したことで不死性を獲得した者は、SCP-4000-PX-Aに指定され、財団の収容下に置かれています。確認されうる限り最古のSCP-4000-PX-Aは紀元前620年頃にまで遡ることができており、いずれの個体も肉体的には一切の老化や物理的損傷、病理的問題は認められていません。SCP-4000-PX-Aは2112年現在までにおよそ6,320名が財団の収容管理下に置かれており、うちおよそ半数となる3,132名が不死性を獲得したことによる恒久的な精神的錯乱、発狂、および反応喪失の傾向が認められています。SCP-4000-PX-Aには財団職員も多く指定されており、ほとんどはSCP-4000-PXからの干渉によるミーム的影響の末、SCP-4000-PX-1を摂取することを選択したためにそのような事態に陥ったと説明しています。
過去の文献および発掘された文書等から、SCP-4000-PXは人類有史以前から存在するものであると考えられていますが、いずれの記述においてもSCP-4000-PXの発生は人類そのものに甚大な影響を及ぼしています。財団がSCP-4000-PXを認知して以来、SCP-4000-PXへの対処は最優先事項として取り扱われており、世界オカルト連合などの外部の正常性維持機関と共同でのSCP-4000-PXの積極的破壊は急務として扱われています。SCP-4000-PXの破壊にはη-スクラントン指向性強制現実補強杭を用いたSCP-4000-PXの有する高い現実性を強制的に抑制する方法が最も効果的であると考えられていますが、η-スクラントン指向性強制現実補強杭はインシデント2042-58の影響により財団は製造能力を喪失しているため、現存する331本で最大限の対策を取る必要があります。
インシデント2042-58: インシデント2042-58は、2042年5月8日に財団時空観測部門によってSCP-4000-PXの発生が予測されていたイベント"2042-58"、およびその予測通りに発生したSCP-4000-PXに由来する大規模かつ広範囲な現実性置換現象を指す総称です。このインシデントにより、正常性維持機関がこれまで対外的に維持していたヴェール・プロトコルが著しく破壊されることとなり、財団そのものの存在、および多数の異常存在に関する機密情報の漏洩、大規模な収容違反の断続的発生、それらに伴う世界的な混乱と世界大戦の発生が引き起こされ、XK-クラスシナリオの発生宣言が行われる寸前までに至りました。しかし、SCP-4000-PXの発生を事前に予測していたはずの時空観測部門が突如として消滅したため、インシデント2042-58は前記の通りの事態が発生した事実を含んでいるにも関わらず、XK-クラスシナリオ相当の事態には至らなかったという現実が同時に存在する状況に落ち着きました。
時空観測部門の消滅と同時に、財団がそれまで保有していなかったはずの技術物品が財団施設の各所に残されることとなりました。η-スクラントン指向性強制現実補強杭などはその代表例であり、時空観測部門の消滅以前の現実では、このような技術物品が存在していた記録は確認されていません。しかしながら、2042年時点で発生したSCP-4000-PXは、これらの物品を用いて撃退することに成功したという事実は残されており、いずれにせよSCP-4000-PXに由来する脅威はこの時点でおおよそ回避することに成功したという見立てが立てられています。
回収文書4000-PX: インシデント2042-58の収束と同時に、財団サイト-47GKにおいて暗号化された文書が施設内サーバーから回収されました。データは同施設507-F3オフィスに設置されていた未使用の端末からのみアクセスが可能でした。なお、507-F3オフィスはサイト-47GKの建造以来、一度も使用された記録はありません。
時空観測部門による最終報告書
この文書を読んでいるということは、おそらく我々の対処は成功したと考えて良いだろう。
時空観測部門。時空間を飛び越えて干渉してくる異常存在を事前に察知し、それによる世界の正常性の喪失を未然に回避するために設置された部門である。財団が設立されて以来、当初よりそういった存在が我々人類に接触・影響を及ぼすであろうことは容易に推測されていたことであるし、それゆえに我々はこの部門で対処できる最大限の方法で、人理を超えた時空的異常から、人類を守るための最前線に立っていた。
それは、あの"鳥"に対しても例外ではなかった。
我々人類は有史以来、幾度となくその存在が脅かされてきた、か弱い生物種である。だが、そのたびにそれら脅威に立ち向かい、人類にしか持ち合わせていない知恵を使い、ここまで歴史を歩んできた。だが、それを幾度となく妨害し、干渉し、嘲笑する"鳥"は、まさに我々の天敵そのものであった。
時空観測部門は、まさに"鳥"との戦いをもってその歴史を刻んだ部門だと言っても良い。事あるごとに出現しては災厄をもたらし、それから逃れる人々に不死となる血を分け与え、血に呪われた彼らが苦しみ荒む姿を見て不敵な笑みを浮かべるあの"鳥"は、討滅すべき相手である。
そんな"鳥"に対応すべく、"鳥"に観測されないよう細心の注意を払いながら、財団における時空観測部門の成立を、情報の時間遡行プロトコルを繰り返して実現した。"鳥"が出現するたびに、その出現よりも前の時空観測部門に情報を送る形で、出現予測を立てるという方法が取られていた。この方法は可能な限り最小の人員で行うべきことであり、上層部にすら報告せずに秘密裏に進められた。
これが何を意味しているのか。それは、我々のいるこの時間軸よりも後の時代からも、"鳥"の出現時期が送られてくることを意味している。我々の時点でも対策が取れるよう、未来の時空観測部門が出現時期を伝えてくれていたのである。
だが、2042年5月8日。この日に出現するとされる"鳥"に関する情報は、これまでとわずかに不審な部分が見受けられた。「2042年5月8日に"鳥"が現れる」という情報以外が何も通知されなかったのだ。我々が過去の我々に、"鳥"の出現を伝える場合、より具体的に何がおきるのかも含めて記述するようにしている。だが、未来から我々に送られたそれには、ただ一言、そう記されているだけだった。
そして、来る2042年5月8日。我々は、罠にはまっていたことに気づいた。
時空観測部門は、その成立時点で既に"血"に汚染された職員が関与していたのだ。
我々は、もっと早い段階で気づくべきだった。我々が行ってきた、すべての過去改変は、"鳥"に筒抜けだったということを。"鳥"は、時空観測部門が観測できない位置から、常に仰々しく見下していたのだということを。
だから、あの日、"鳥"がもたらす災厄を確実に回避することができなかった。いや、そもそも、時間遡行プロトコルを用いた過去改変を幾度となく繰り返した結果、財団が大きなミスを発生させうる状況が少しずつ、少しずつ形作られる遠因となってしまったのだ。
これが、時空観測部門の起こした最大の誤りである。我々がこの誤りを正すには、時空観測部門の成立そのものを無くす必要があったのだ。ゆえに、財団成立時点の時代に向けて、我々が成立できない状況を作る方針を打ち立て、実行した。
2042年5月8日が安全に過ぎることができたのであれば、我々にとっての勝利そのものである。
時空観測部門の存在と引き換えに、正常な世界を獲得できたのならば、何よりも幸いに思う。
補遺: 過去改変のリカバリを行うにあたり、我々が繰り返し成立させるはずだった、矛盾した財団の技術体系の一部を残存させることができたなら、それを今後は活用してもらいたい。"鳥"の存在はいまだ消えず、これからも我々を嘲り笑うために、煌々と飛び来るだろう。
人類の未来に、健闘を祈る。
─時空観測部門 █████████
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任意A任意B任意C- portal:2577572 (14 Jul 2020 12:54)
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