「アイドル活動、またやろうよ!」
機械の少女は声高らかに、黄色い声を上げながら彼女に言う。デバイスメンテナンスエリアのスポット照明に照らされた彼女のデジタルモニタとメカニカルフェイスが織りなす、その屈託のない笑顔は、HY-2αのトレードマークだった。
「どうしたんですか、HY-2α。また藪から棒に」
そんな無邪気な態度を見せるHY-2αを見て、青色を基調としたもう一人の機械少女が言う。「やれやれ、今度は何を言い出すのやら」とも言いたげな、半ば呆れ気味な表情を彼女とは違った青色のデジタルモニタに表出させているのは、HY-2αと同じ出自を持つガイノイド、HY-2βだ。
あまりに唐突なことを、自身が横たわっているメンテナンステーブルに身を乗り出して言ってくるものだからと首をかしげるHY-2βに、HY-2αは追撃するように続けた。
「だから、さ。アイドルだよアイドル! 昔みたいにさ、見てくれるヒトたちの応援を受けて、みんなの前で歌ったり踊ったりするの!」
「アイドルそのものは知っています。しかし、既にワタシたちはその用途を終えていますよ? 今は財団の所有物であり、情報通信オペレーターです」
「そ、それはそうだけどぉ〜……」
HY-2αは「うぅ」とうつむきながら、もじもじと不服そうな様子を見せる。既に"かつての職務"から解任された以上、今与えられた職務をこなすのが財団の備品としてのあるべき姿だと、HY-2βは考えていたのだが──。
「HY-2α……そんなふうに上目遣いで見られましても」
「せめて、せめてさぁ……ちょっと上に相談するだけ! それがだめなら博士に聞くだけ! ちょっと聞くだけなら職務違反にはならないでしょ? お願いだよHY-2βぁ〜っ……!」
HY-2αは不等号記号を逆向きに並べたような目をしながら、HY-2βに泣きついている。こうなってしまうと、HY-2βも強く出ることができないことを、まるでHY-2αは知っているかのようだった。
「……分かりました。オーティマ博士へ提案だけするなら良いでしょう。ただし、それだけですよ。財団上層部への提案は博士の許可が下りてからです」
「……~~~っ!! ホントに!? やったぁ……ありがとう! HY-2βっ!」
「お、大げさですよ……ほら、あんまりくっつきすぎるとケーブルが引っかかってエラーになるかもしれません」
HY-2αは、彼女の咎めに「えへへ~」と脳天気な態度で離れていく。カシンカシンと、床に脚部ユニットが接地する音を響かせながら、メンテナンスエリアの扉を潜り外へと出て行く。スカートユニットの裏側から顔を覗かせるゆらりと伸びた彼女の給電コネクタが、尻尾のように揺れながら掛けていくHY-2αの後ろ姿を眺めるHY-2βは、実のところまんざらでもない表情を浮かべていた。
「……。本当に、誰かの希望になるのが好きなんですね、姉様ったら」
既に姿が見えなくなったHY-2αの映像イメージを内部コンソール上でリピート再生しながら、HY-2βはメモリ上に記録された古いデータを読み出していた。
Hylon MentalFrame Series HY-2 Type-β
MEMORY LOADING……
PLAY> N:\System\2BETA\Audit_Log\Year2020\BETA_20200521_FOR-START.LOG
[ここにHY-2βのカメラ映像に映るオーティマ博士とHY-2αの姿]
ハイロン重工が国際メカテク博覧会への参入が決定したのは、今から2年前、2020年のこと。アンドロイドやガイノイドと呼ばれる人型ロボットが世に溢れて久しい昨今、それらを披露する技術博覧会として知名度を上げていたそのイベントにも、工業に特化した数多な要注意団体も参加するようになったことを受けて参入を決定したのがその会社だった。
財団のフロント企業のひとつだったハイロンは、表向きは一般企業と同じ条件で参入していたものの、要注意団体からすれば財団の関連組織であることはもはや公然の秘密でもあった。財団はそれを分かっていて参入していたし、同じことはGOCも行っていただろう。「正常性維持機関が扱う技術レベルが、ヴェールの外側に露出して良いレベルである」ことを提示することが主だった目的だったからだ。
HY-2αとHY-2βは、そんなハイロン重工の技術スタッフによって製造されたガイノイド──商標的には"メンタルフレーム"だった。国際メカテク博覧会への初参入を目的に作られた、最初のロボット、それが彼女たちだった。
「システム起動シーケンス、クリア。HY-2β、正常に起動しました」
彼女が最初にメモリに記録したのは、白色LEDの眩しい光と、それを隠すように落とし込む2つの影。その影の1つが、彼女に声を掛ける。
「……よし、起動した、起動したぞ!」
「本当ですか博士!?」
「インストールうまく行ったんですね……!」
口々に聞こえてくる、いろいろな声がメモリに保存されていく。プロセッサが起動直後のノイズと焦点距離調整、センサー感度テストを実施し続ける中で、見えた影の一番大きな姿を識別する。
「識別、データベース照合、アウサドロ・オーティマ博士。はじめまして、ワタシはHY-2β。ハイロン重工製、先行技術搭載型展示用メンタルフレームです」
「おお……私をしっかり識別したな」
「ええ、ソフトウェアのほうは異常はなさそうですね、あとは筐体が正常に稼働するかどうか」
博士は嬉しそうな表情をHY-2βに向け、そのまま彼女の横たわる台の横で立ち上がり、手を差し出してくる。
「だな。よしHY-2β、右側の手を伸ばして、ここまで持ってきてくれないか。そのまま優しく掴むんだ」
「……はい、分かりました」
HY-2βは博士の言葉を頭で読み解き、自身のデバイスを制御しながら、右手を動かす。
サーボモーターの加減。
センサー類から来るデータ。
カメラから見える手先と手先の距離感。
制御機構が安定するまでは慎重に行われる彼女のその動きは、ヒトの目から見ればたどたどしく、どこか不安定な印象を与えさせられる弱々しいもののように映るだろう。博士は彼女の"頑張っている姿"を応援するように優しく、じっくりと待ち続ける。やがてHY-2βの細く精密な指先が、博士の手と重なっていく。
「よくできたな、HY-2β。……改めて、初めましてだな」
博士が笑うと、HY-2βは自然とそれが何も記憶したことのない自身を肯定してくれているのだと即座に理解出来た。彼女はそれが"嬉しい"というものだと悟る。
「デバイスの制御機構も正常、これならHUMIコンにも出られそうですね」
「ああ。だが、その前に踊れるかどうかもしっかり見ないとな。それに……」
他のスタッフの意見に続いて、博士は少し言葉を止める。HY-2βは彼のやろうとしている意図が読めず、首をかしげてしまう。
だが、そんな疑問を感じさせる余地すら与えず、彼女の後ろから黄色い声が聞こえてくるのを、調整の済んだセンサーで感じた。
「……この子が、HY-2β……?」
「ああ、そうだよ。ようやく完成したんだ。今後、君と一緒に行動していく機体……君の妹分だ」
「妹……ボクと、一緒に……」
目の前に現れたその子は、自身と同じ機械の少女。白いボディに黄色いラインとLEDの光をあしらったその子は、HY-2βを見るなり、目をまん丸に光らせて飛び込んでくる。
「わぁぁぁっ!! 初めましてっ、ボクはHY-2α! キミと同じ、ハイロン重工のメンタルフレームだよ!」
「ぐぁぅ……、ちょ、ちょっと、いきなり飛びつかないでください」
それがHY-2βにとって、HY-2αとの最初の記録だった。
Log stoped.
「ダメだ、HY-2α。それは私が許容できない」
「な、なんでよ! 博士なら許してくれると思ったのに……っ!」
サイト-8148のオフィスエリア。既に日も暮れて、薄明かりを照らす蛍光灯の白昼色の中で、HY-2αはオーティマ博士と言い合いをしているようだった。
オーティマ博士は抱え込んだ書類を足早に運んでいた矢先に彼女から引き留められ、先ほどHY-2βへ話したとおりの相談を持ちかけた、といったところだろうか。博士は困ったような顔でHY-2αを見下ろし、わがままを宣いながら縋り寄ってくる彼女を面倒そうにあしらわんとしている。
「HY-2α、忘れたのか? 今の君は財団の備品なんだ。もう既に博覧会の監視プロトコルの業務には用いられない、だからアイドル活動もする必要がないんだよ」
「は、博士までそんな……大丈夫だよ! ボクだってまだどこも壊れてないし、今まで通りオペレーターとしての仕事はできるし、アイドル活動とは両立しえるよ! だから……」
「もし壊れた時に整備するのは私で、オペレーター業務を正常にこなしているかどうかを確認するのも私だ。君の監督権限は私にある。そして、それを命令しているのは財団だ」
博士はまっすぐとHY-2αを見つめる。ただでさえ表情の乏しい彼の、その鋭い眼光を眼鏡の向こうから、冷たく見下されるかのような視線を感じたHY-2αは、食い気味に被せられた博士からの台詞と合わせて気圧されるように後ずさりするほかなかった。
「分かるか、HY-2α。君を監督しているそんな私が、君のアイドル活動を認めるようなことがあれば、いよいよ私は降格や解任を命じられるかも知れない。そうなれば、もう二度と君を整備することはおろか、こうやって話すこともままならなくなる」
「それでもいいのか?」と続けた博士の重い宣告に、HY-2αは言葉を言いよどませて、目を泳がせる。それほどまでに辛い現実が目の前に立ちはだかることが予見されていると分かっていても、それでもなお、HY-2αは諦めきれなかった。自身の感情プロトコルの演算結果が幾度となく矛盾し続けていく。そのまま、彼女はその筐体を床にへたり込ませてしまう。
「……。ボクの知っているオーティマ博士は、そんな風に弱気なことを言うヒトじゃなかった。……そんな風に、ボクを見下ろすようなヒトじゃなかった! 博覧会で、いろんなヒトの前で歌って、踊って、笑っているボクらを見て、自信満々に他の組織にボクらのことを自慢している、それがボクが記録している、アウサドロ・オーティマ博士だったんだよ……っ!」
「HY-2α……」
「ねぇ、博士」
透明パネルから透けるカーネルコアを両の手で押さえながら、HY-2αは彼に問いかける。
「博士は、どうしてボクらのことを作ったの……? メンタルフレームを、HY-2シリーズを……ボクらを作ったのは、最高のロボットアイドルを世に示すためじゃ、なかったの……?」
博士はその場でしゃがみ込んで、HY-2αの目線に合わせ、数刻の沈黙の後に静かに口を開いた。
「……私が君等を作ったのは、財団の命令だったからだ。ロボットアイドルとして君等を生み出したのは、他の要注意団体への牽制と、会場の監視を実施する上で都合が良かったからだ。……それ以外に、理由などない」
「……。」
「分かってくれ、HY-2α。今の君を、私は可能な限り守ってやりたいんだ」
HY-2αはゆっくりと俯いていく。彼女は、逸らされた博士の目を見ようとすることもできなかった。
「分かったよ、博士。ボクは、その現実を、現在成すべき事を……全部整合させるよ」
立ち上がったHY-2αの表情は暗かった。デジタルモニタには何も表示させないまま博士から背を向けて、ふらふらと彼から遠ざかっていく。
「……HY-2α、どこに行くんだ」
「少し、充電するだけ。エネルギーレベルが低下してきたから」
小さく、暗い影を落とす彼女の後ろ姿を見届ける以外のことができなかった博士も、ため息をひとつつくと、そのまま本来の職務に戻るべくその場を後にした。
Hylon MentalFrame Series HY-2 Type-α
MEMORY LOADING……
PLAY> N:\System\2ALPHA\Audit_Log\Year2020\BETA_20220607_HUMI_CONTEST_SETTING.LOG
「よし、最終調整も全部クリアしたな。HY-2α、HY-2β。練習用に保存させておいたダンス映像はメモリから削除したな」
「もちろんだよ博士! ダンスモーションは全部記憶できてるから、バッチリ踊れるよ! HY-2βも、座標データの同期とペアシンク設定に問題はない?」
「ええ、すべて正常です。……ただ、やはりワタシだけ基本的に歌唱パートがないのは納得できませんね」
「どこをどう調整しても壊滅的なノイズになってしまうのがネックだからな……申し訳ないがそこは受け入れてくれ」
国際メカテク博覧会──ヒューマノイドマシンアイドルコンテスト、通称HUMIコンテスト会場。世界の名だたるテック事業者や組織、機関が挙って参加する、最高のロボットアイドルを決めるライブイベント。既に幾度となくこのイベントに参加してきた2人にとっては既に手慣れた物で、今回の演目で披露するダンスも完璧に記憶していた。それをアピールするようにオーティマ博士に覚えたそれをHY-2αが踊ってみせ、それを宥めるHY-2β、という構図はほぼ毎年見られる恒例でさえあった。
「あんまり大きく動きすぎると、処理実行に係るエネルギー分まで消費しすぎることになりますよ」
「大丈夫だよ~、こう見えてちゃんとフル充電にしてきたんだから!」
「そう言ってHY-2αは前回、エネルギー不足で処理停止寸前になっていたじゃないですか」
「うぐっ そ、それは……」
やれやれ、と首を振るHY-2βはやはり呆れ気味な様相だったが、彼女にとってそんな無邪気にはしゃぐHY-2αの姿もまた好きだった。
そんな浮かれ気味なHY-2αを押しのけるように、数機のロボットが彼女たちの前を通り過ぎる。
「ったぁ……っ! ちょっ、なにするんだよぉ!」
「ね、姉様っ!?」
HY-2αの叫びに耳を貸そうともしない一行。威圧的な光沢と黒色の金属で構成された、2m大の巨躯を持つ3機の細いロボットに囲まれた、軍服らしき容姿を象っている少女型のガイノイドが、HY-2αを軽く一瞥する。その場にいたオーティマ博士含む人間のスタッフは、あまりの巨体が眼前に立ち並ぶさまに畏怖し、怖じ気づいてしまっていた。財団職員とはいえ非戦闘員、それも多くはヴェールの外側の面子で揃えられているフロント企業勤務の者にとって見れば、連中は機械でありながら耐えがたい殺気を感じずにはいられないのだ。
人間たちが身動きを取ることもできない中で、転び伏すHY-2αを慌てて抱えながら、HY-2βは謎のロボットたちを睨み付けた。
「待ちなさい。他社の所有する人型機器への直接の攻撃は博覧会規則第2条第1項に違反しています。今すぐ機体名ならびに管理者情報の開示を行いなさい」
「……。」
彼らはしばらく何も言わなかった。不気味さすら感じさせる赤色のモノアイを備えた巨躯の人型ロボットがHY-2βを睨み返しているが、中央のガイノイドは2人を見ようともせずに言葉を発した。
「我々はPG。これからの機械技術に革命をもたらす者だ」
ただそう言って、舞台へと向かって進んでいく。そこからはHY-2βが何度引き留めようと歩みを止めることはなく、ついには多くの人間が目につく位置へと躍り出てしまった。
「……オーティマ博士、コール24の発令を進言します。おそらく博覧会参加中の要注意団体の機器が暴走している可能性があります」
「ああ、分かった。すぐに上へ報告する。HY-2αは起き上がれるか?」
「う、うん……ちょっとおしりのパーツが歪んじゃったけど、大丈夫だよ博士」
HY-2αは博士の手を取って立ち上がり、スカート越しにお尻をさすりながら言う。先ほどの連中が何者なのかは分からない様子だったが、彼女は舞台袖からその様子をうかがうように見ている。
「ところでHY-2β、PGとはどこの組織だ? 博覧会参加者の名簿データベースから検索を掛けてくれ」
「はい、ただいま検索中です」
イヤホン型の通信端末を介して、博覧会内部監視本部へと連絡するオーティマ博士。HY-2βは彼の指示で片っ端から"PG"と名乗る参加組織を調べ上げたが、手がかりになりそうなものはなかった。
「残念ながらヒットしませんでした。参加しているいずれの組織にも一致する情報は見受けられません」
「そんなはずはない。博覧会の運営には財団も関与していて、参加者のスクリーニングも通常通り行われているはず。未確認の機器が入るはずが……」
博士が焦りを表情として如実に表している中でも、HY-2αは彼らの動向を観察し続けている。
「いや、PG……PG? どこかでこの名前を聞いたと思ったが、まさか……!」
博士が何かに気付きを得た瞬間。
「みんな逃げて!」
轟音。立ち籠める白煙は黒煙へと化して、あたり一帯を飲み込んでいく。観客は突然現れた演目にない縁者にたじろいでいる中で起きた狂騒に騒然とし、おびただしい悲鳴とともにライブ会場から距離を置こうと逃げ惑い始める。その中には観客と一緒に連れて来ていた大小様々なロボットたちも少なくはなかった。
3機の巨躯のロボットは、パニックが起きている観客席に向け所有していた銃を構えてトリガーを引く。しかし、その特殊な弾丸の標的は人間たちではなかった。
客席に着弾する音と共に、半径十数m程のノイズのような半円が客席を包む。それに包まれた人間たちには害という害をもたらさなかったが、彼らが連れていたロボットたちは一様に筐体をスパークさせ、機能を一時停止する。
そして、次に稼働を開始した時には、次々に観客を襲い始めたのだった。
「我々はパーフェクト・ギア。現時点より、この会場は我々の管理下に置かれ、テクノクラート革命党機械革命軍の指揮下で利用される。抵抗する者には容赦はしない、既に貴様らの奴隷は解放されている」
舞台中央に立つあのガイノイドは、会場のスピーカーをジャックして演説を行い始めた。その間も次々と巨躯のロボットの銃から発せられるサージによって観客のロボットはハックされ続けており、その度に悲痛な叫び声と共に惨憺たる状況が各所で発生し始めていた。
「すぐに機動部隊が対処に回る、ひとまず今は民間人の避難を優先させなくては」
「はい。ハイロン重工の社員の皆さんも緊急避難経路を経由し脱出をお願いします」
博士とHY-2βの指示を受けた、舞台袖にいたスタッフの面々は彼らを置いて逃げることに一瞬の戸惑いを見せるも、博士の「早く行け!」という叫びと共に非常口へと駆け出していく。
「パーフェクト・ギア……まさかあの共和国の軍隊がこの国に現れるとは。警備班は何をしていたんだ」
「不明です。少なくとも警備班からの不審者報告は上がっている様子はありません」
「クソッ……こんなことで博覧会をメチャクチャにされるとは。ともかく、私達も逃げよう。HY-2αは……HY-2α!?」
現場からの脱出を図るべく立ち上がった博士とHY-2β。先ほどまで舞台袖の手前でテロを仕掛けたロボットらを観察しているところまでは把握していたが、博士が再度目を向けた時点では既に舞台中央へ向かって歩み進めていたようだった。
「何をしているんだHY-2α、戻れ! そいつらは敵対団体だぞ!」
HY-2αは周囲にカメラを向ける。博士の声はセンサーが感知し続けていたが、それに気を向ける以上に凄惨極まる状況に戦慄しながら歩いていた。
各地から上がる悲鳴も。
家庭用アンドロイドに暴行される男性も。
警備ガードボットに発砲される女性も。
子守用小型ロボットに押さえつけられる子供も。
HY-2αはそのすべてを目撃していた。
「どうして……どうしてこんなことをするの」
「ん、何だ貴様は」
HY-2αの存在に気付いたガイノイドがそちらに目を向ける。それと同時に周囲のロボットらが銃を一斉に向けてくる。HY-2αは「ひっ」と小さな悲鳴を上げて立ちすくんだが、「待て」というガイノイドの一声で辛うじてトリガーは引かれずに済んでいた。
「貴様……先ほど私にぶつかったボットの少女か」
「ねぇ、どうして、どうしてお客さんにヒドいことをするの!? あのロボットたちを操ってるのはキミたちでしょ? 今すぐにやめてよ、こんなの、こんな……」
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ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:2577572 (14 Jul 2020 12:54)
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