アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-αに指定されるサイト-81██の所在地点および半径15km以内はエリア-8163に指定されます。エリア-8163圏内はカバーストーリー「商業施設建設予定地」を流布し、一般人の接近を最大限に防いで下さい。旧サイト-81██関連施設は全て放棄され、常に可及的速やかな破壊作業が継続されます。内部の探索は実施されません。
SCP-XXX-JP-βの遺体はサイト-8172の標準遺体安置施設に冷凍状態で収容されます。
説明: SCP-XXX-JP-αは異常な遺伝子改変が施されたミント(Mentha L.)によって侵食された旧サイト-81██です。本来はSCP-XXX-JP-βが所有していた植物体が封入された球体状の容器であり、Safeクラスオブジェクトとしてサイト-81██にて収容されていました。後述のインシデント-プラントハザードによりSCP-XXX-JP-αはサイト-81██全域に根を伸ばす形で侵食し、施設全体を機能不全に陥らせました。20██年現在もSCP-XXX-JP-αはサイト-81██を中心として拡大傾向にあり、財団による積極的な破壊作業が継続されています。
SCP-XXX-JP-βは自身を「タルカス・ザニカ」と名乗る10代後半と推定される女性です。「ALT」の文字を崩したようなロゴマークが彫り込まれている未知の材質で製造されたと考えられる衣類を全身に身につけており、これらは物理的衝撃に対して強い耐久性と着用者への安全性を示します。SCP-XXX-JP-βはSCP-XXX-JP-αの開発者であると主張しており、SCP-XXX-JP-αは「"インク"と呼ばれる存在を滅ぼすための切り札」であると訴え、SCP-XXX-JP-αの即時返還を要求しています。
SCP-XXX-JP-βはインシデント-プラントハザードが引き起こされるまでの間財団が実施したインタビューに対して非常に消極的な態度を見せており、財団を含む周囲の物に対して不信感を有している様子が観察されていました。20██年に発生したインシデント-プラントハザード以降一切のインタビューに応じる様子は見られなくなり、重度のストレス状態に陥っていることが判明したため数度のカウンセリングが実施されました。しかし20██年█月██日、SCP-XXX-JP-βは遺書と思われる書き置きを残し、舌を噛み切り自殺しました。
発見経緯記録: 2010年7月24日、SCP-XXX-JP-αおよびSCP-XXX-JP-βは東京都[編集済]区内の住宅街に突如出現しました。出現時、当該地点に非常に強いヒューム値の変動と強い放電を観測しており、これにより[編集済]区内の住宅8世帯が停電ないし機器の破損を引き起こしました。出現地点に急行したエージェント3名に取り押さえられる形でSCP-XXX-JP-αおよびSCP-XXX-JP-βは回収されました。なお、当該インシデントの目撃者にはクラスA記憶処理が実施され、カバーストーリー「電線の不具合」が適用されました。
インタビュー記録XXX-JP-01 - 20██/██/██
インタビュー対象: SCP-XXX-JP-β
インタビュアー: 立川博士
付記: 初回のSCP-XXX-JP-βへのインタビューのみ応じたため、特に拘束や鎮圧などは行われていない。SCP-XXX-JP-αは安全のため財団がSCP-XXX-JP-βから回収し保管している。なお、SCP-XXX-JP-βは非常に語彙や動詞の崩れた英語を用いて会話をしている。
<記録開始>
立川博士: それでは、インタビューを開始します。SCP-XXX-JP-β、あなたが一体何者なのか、我々に教えていただけますか。また、あの緑色のカプセルは何ですか。
SCP-XXX-JP-β: へぇ、知らなかったわ。私が聞いてた「財団」は、もっと丁寧に私を出迎えてくれるものとばかり思ってたけど。なんか変な名前で私を呼ぶし、通信ではこんな乱暴してくるなんて思ってなかったわよ?
立川博士: なるほど。あなたがどうして財団のことを把握しているのかも、我々は気になるところですが……最初の質問にお答え願えますか。あなたは何者ですか?
SCP-XXX-JP-β: あのねぇ。あなた達もしかして、私の通信を丸々忘れてるわけ? あのタルカスマインのサンプルを財団に届けるのが私の仕事だったんだけど。というかあなた方がアレを欲してきたんじゃない! いくら欲しいからって強引に奪い取ることはないでしょ!?
立川博士: タルカスマイン。あれは爆弾なのですね。
SCP-XXX-JP-β: そうよ! この私、タルカス・ザニカ博士がやっとの思いで作り上げた試作品なのよ。インク共をぶっ壊して、ザネットの支配を破るための唯一の兵器、それがタルカスマインよ!
立川博士: インク、ザネット……うーむ。我々の知らない言葉が次々と出てきているのですが、もう少し分かりやすく説明してくださいますか。あなたが回収された状況から鑑みるに、おそらくあなたは我々の知る世界の者ではないことは少なくとも把握しています。おそらくですが……我々と、あなたの世界における「財団」とは、大きく乖離したものである可能性があります。
SCP-XXX-JP-β: ……はぁ? じゃあ何? 私は今何と話してるわけ?
立川博士: それを知る上でも、あなたの情報が必要です。
SCP-XXX-JP-β: [1分ほど悩んだ様子を見せる]……はぁ。分かったわよ。財団の人にこんな当たり前の説明をするなんて思ってなかったけどさ。
立川博士: お願いいたします。
SCP-XXX-JP-β: ええっと、どこから話せば良いのかしら? その感じだとインクもザネットも、アトラスタ財閥も知らないわよね?
立川博士: ええ、それらは全く認知していません。一体なんですか。
SCP-XXX-JP-β: インクは金属構造体を作る物質で、ザネットはそれを使って私達を追い詰めてる敵。アトラスタ財閥はそれの生みの親。これでいい?
立川博士: [立川博士は少々疑問の表情を浮かべている]
SCP-XXX-JP-β: ああもう、まだ分からないの?! 世界は遙か昔にインクに組み込まれたザネットのせいで金属構造体に覆い隠されたのよ! 私はそんな風になる以前の世界がどうだったか知らないけど、私や他の人間達はそんな鉄の山を何とかして、昔みたいな世界を取り戻すために必死こいて駆けずり回ってんの!
立川博士: なるほど。事情は分かりました。つまり、あなたのいた世界では相当過酷な状況が起きているわけですね。
SCP-XXX-JP-β: そうよ。見渡す限り金属、金属、金属。薄暗くて光も少ないから植物なんて届かないし、食料も限られてるし、しかも金属構造体はすぐに作り替えられていくからちょっと前に歩いた道がいつの間にか全く形が変わってるなんてザラ。それだけじゃなくて、私達の住める環境すら、あの金属共は次々に追いやっていってるのよ。それもこれも、ザネットが私達を追い詰めてるからよ! そのせいで、私の母は……。
立川博士: ……ふむ。では、あれはそのザネットを倒す上で必要な兵器というわけですね。
SCP-XXX-JP-β: そういうこと。インクは植物に対してはとても弱いっていう弱点があってね、タルカスマインはそれを応用した兵器なのよ。あれをインクだとか他のマシンだとかの無機物に使えば、立ちどころに伝搬と侵食を繰り返してザネットを倒せるの。これまで何度となく兵器として使う方法を探してたわけだけど、ようやく完成したのがあれって訳。そんなタルカスマインを、ザネットとこれまで何度も対峙して、いろんな植物体を回収する探植家集団として有名な「財団」にあれを渡せば、少なくとも兵器として量産できる手筈が整うはずだったわけ。まぁ、あなた達財団を名乗るよく分からない人達に渡したところで、ちゃんと使えるかどうかも分かんないけどさ?
立川博士: それは追々教えて下さい。
SCP-XXX-JP-β: 嫌よ。
立川博士: どうしてですか?
SCP-XXX-JP-β: あなた達があれを使いこなせるとは到底思えないからよ。少なくともあれは無機物の近くに置いておけない代物だし。私が肌身離さず持ってたのにも理由があるのよ。
立川博士: 肌身離さず、ですか……。
SCP-XXX-JP-β: もしかして、あれを変なところに置いたりしてないわよね? ちょっと不安だわ、今すぐ私をタルカスマインの所へ連れて行くか持ってきなさい!
<記録終了>
記録終了報告: SCP-XXX-JP-βは、SCP-XXX-JP-αを財団が回収した事について本インタビュー以降非常に懐疑的な態度を示すようになりました。その後行われた数度のインタビューにおいて得られた情報から、SCP-XXX-JP-βは数千年先の未来から誤って基底時間軸へ転移してきた可能性が指摘されます。SCP-XXX-JP-αのより詳しい研究の開始と、SCP-XXX-JP-βの目的や人物の全容が判明するまで、SCP-XXX-JP-βはSCP-XXX-JP-αへの接触は禁止されることが決定しました。
補遺-インシデント-プラントハザード-XXX-JP.01: SCP-XXX-JP-αは通常の規定通り低危険物収容ロッカーに収容されていましたが、SCP-XXX-JP-βへのインタビューの直後立川博士が収容ロッカーを確認したところ、SCP-XXX-JP-αから伸びたと思われる根や茎が収容ロッカーを貫通し変形させていることを確認しました。現在、SCP-XXX-JP-αの除去を試みていますが、現時点までに完全な除去は成功していません。同一のロッカーに複数収容されていたSCPオブジェクトは別の収容ロッカーに移動されました。
補遺-インシデント-プラントハザード-XXX-JP.02: SCP-XXX-JP-αによる収容ロッカーへの侵食は継続して引き起こされています。SCP-XXX-JP-αは、収容ロッカーから第4オブジェクト保管室に掛けてさらに侵食を続けており、複数の収容ロッカーが破損しました。現在、SCP-XXX-JP-αの除去を試みていますが、現時点において第4オブジェクト保管室以外へのSCP-XXX-JP-αの侵食は防がれています。第4オブジェクト保管室に収容されていたSCPオブジェクトは第2オブジェクト保管室に移動されました。
補遺-インシデント-プラントハザード-XXX-JP.03: SCP-XXX-JP-αの侵食が加速し、第1~第6オブジェクト保管室および上階・下階フロアへの影響も確認されました。サイト管理官により本インシデントはハザードIIクラスの収容違反と定義され、これ以上の侵食を防ぐためSCP-XXX-JP-αの即時破壊・除去が許可されました。現時点での予測では本日12時までにSCP-XXX-JP-αはサイト-81██の南棟を完全に侵食し破壊する可能性があります。南棟に収容されていたSCPオブジェクトは全て東棟に移動されました。
補遺-インシデント-プラントハザード-XXX-JP.04: SCP-XXX-JP-αによるサイト-81██全域への侵食が認められました。現時点での予測では本日18時までにSCP-XXX-JP-αの侵食はサイト外へ影響範囲を広める可能性があります。SCP-XXX-JP-αによる収容違反のため、サイト-81██に収容されていた全てのSCPオブジェクトは近隣の財団サイトへ移送されました。サイト-81██は2015年█月██日をもって破棄されることが、財団日本支部理事会の全会一致により決定しました。SCP-XXX-JP-αはKeterクラスオブジェクトに再定義され、旧サイト-81██はエリア-8163に指定されました。本決定と同時に、SCP-XXX-JP-αに関する特別収容プロトコルが改訂されました。
インタビュー記録XXX-JP-██ - 20██/██/██
インタビュー対象: SCP-XXX-JP-β
インタビュアー: 立川博士
付記: インシデント-プラントハザードによるサイト-81██の放棄に関する
<記録開始>
ページコンソール
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