Tale「追跡者 - 2037 -」

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クレジット

タイトル: 追跡者 - 2037 -
著者: SOYA_one does not match any existing user name
作成年: 2020

2037年6月12日 PM5:20
長野県松本市, 某ショッピングモール

「本当、変わっちまったな」

　買い出しのために出かけたショッピングモールの屋上から、俺は冷めた目で長野の街を眺める。
　この世の理と違った技術の恩恵を授かり、この世の存在とは思えない人々が闊歩する街。
　夕陽に赤く照らされる松本市の街並みは、俺が記憶の中で知る松本市から幾程にも大きくかけ離れていた。

　手に挟んだメビウスから煙る白い灰が風に巻かれる。その度に俺は煙を吸い込んで、また冷めた目で、俺はこの変わり果てた街をぼんやりと眺めた。

「時代、かね……」

　立体駐車場内。いつしか煙草を吸い終え、帰路へ向かうために乗用車に乗り込む俺を横目、ふと横を見れば、どこの者とも知らない親子連れがはしゃいでいる。
　イヌ面の父と、人間の子供。子供のほうが、イヌ面の父に抱きかかえられ、楽しげな嬌声を場内に響かせていた。
　何も考えずに見れば、それは違和感を感じざるを得ない光景だったが、今やこれが当たり前のこととなりつつある。

　俺はそんな様子をため息交じりに一瞥して、車両のエンジンをかけた。
　こう見えて俺だって所帯持ちだ。正常な、人間のな。

　そんなことを俺は内心で密かに呟いて、家路へと向かう。

2037年6月12日 PM5:45
長野県松本市, 住宅街

2037年6月12日
長野県警察本部, 特殊事件捜査1課オフィス内

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