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SCP-2995-JP

アイテム番号: SCP-2995-JP

オブジェクトクラス: Euclid Uncontained

特別収容プロトコル: SCP-2995-JPは、可能な限り迅速に確保・収容されなければなりません。

81管区内において、SCP-2995-JPの異常性に関連が疑われる全ての現象が評価され、SCP-2995-JPの存在が疑わしい地点の調査が実施されます。SCP-2995-JPの現在の形態は不明であるため、異常性発露の兆候を検出するための地域監視を最優先事項とし、各事案に対して即時応答するようにしてください。

説明: SCP-2995-JPは、後述する異常性を持つウソ(Pyrrhula pyrrhula Linnaeus)です。本報告書執筆時点までに一匹のみが確保・収容されていますました。

SCP-2995-JPの異常性は、任意の意味論的事実を捕食対象とする異常な食性です。通常のウソは木の実や蕾、小型の昆虫類等の物理存在を捕食します。一方、SCP-2995-JPはこれらの種類の餌を必要とせず、自身に近接する存在の持つ"事実 "を捕食することが可能です。SCP-2995-JPは未知のプロセスにより捕食した"事実"を物質的なエネルギーに変換しており、事実捕食行動を食事行為の代替として自身の生態に組み込んでいるようです。

SCP-2995-JPに捕食された意味論的事実(SCP-2995-JP-A)は、その本来の内容を失い、対象存在内に意味論的正孔2を生成します。この状況に陥った存在には周囲の知性体からの認知による意味論的補完が行われ、多くの場合意味論的に反転した内容の事実へと置換されることが判明しています。

上述の性質により、SCP-2995-JPの捕食行動は「任意の事実を削除し、反対の事実へと置換する」行為に近似することが可能です。この行為は捕食対象となる存在および周囲に位置する人間に対して、重大な記憶・認識齟齬を引き起こす危険性が認められます。収容以前のSCP-2995-JPは自身の捕食行動により元来の事実を撹乱することで、多くの周辺住人が"嘘をついている"と見なされる状況を生み出しており、重篤な社会機能不全を引き起こしていました。

実験記録2995-JP-1

対象: SCP-2995-JP
実施時間: 3時間
実施方法: SCP-2995-JPの傍に、試料A(アルミニウム製キューブ、1辺5cm、重さ120g)を設置して経過観察を行う。
結果: 試料Aの外見的差異は認められないものの、組成分析結果が"ステンレス製である"と検出されることが判明した。
分析: "試料Aはアルミニウム製である"という事実が捕食されたと推測される。

実験記録2995-JP-2

対象: SCP-2995-JP
実施時間: 3時間
実施方法: SCP-2995-JPの傍に、試料A(アルミニウム製キューブ、1辺5cm、重さ120g)を設置して経過観察を行う。(実験1と同一内容)
結果: 試料Aの重さが測定不可能なほど軽く変化した。"重さ120gである"という事実を捕食したと考えられる。
分析: "捕食される概念はランダム(あるいはSCP-2995-JPの意思に依存)であると考えられる。

実験記録2995-JP-3

対象: SCP-2995-JP
実施時間: 1時間
実施方法: SCP-2995-JPの傍に、D-11235(25歳日本人男性、身長178cm、体重72kg)を配置して経過観察を行う。
結果: D-11235は女性に変化した。なお、変化後もD-11235は自身を"男性である"と主張した。
分析: 生物に対しても問題なく捕食できた。また「男性である」という事実が削除されたため、D-11235の自己認識に現実との乖離が生じた。

以降も同様の実験が継続されており、SCP-2995-JPの捕食行為が周辺人物に与える事実認識変化に関する研究が進められています。

インシデントレポート2995-JP-1 - 日付 20██/██/██
20██/██/██、SCP-2995-JPの収容違反が発生しました。

インシデント発生時、SCP-2995-JPは収容室内に孤立状態で存在しており、十分な耐意味論的異常措置が施された収容棟にて収容されていました。にもかかわらず、同日██時██分ごろ、突如としてSCP-2995-JPは収容室内から消失しました。

収容室内に仕掛けられた計測器の記録から、インシデント発生時にSCP-2995-JPの捕食行為が実行されたことが判明しています。このことから、SCP-2995-JPは自身に対して「SCP-2995-JPは存在している」という事実を捕食・削除したことにより消滅したと考えられています。

ただし、SCP-2995-JPの実在性が失われた状態から、非実体存在として異常性を発揮する可能性が現在懸念されています。当該の懸念を理由に、SCP-2995-JPのオブジェクトクラスは"Uncontained"に変更され、捜索と異常性発露の兆候の調査が実施されている状態です。

補遺: 七城博士の仮説について

20██/██/██、SCP-2995-JP研究主任の七城博士により、SCP-2995-JPの存在についての仮説が提唱されました。現在、本仮説の検証が進められています。

SCP-2995-JPの存在形態について

仮説概要: 現在知られている「SCP-2995-JPは1羽のウソである」という記録は虚偽のものであり、当該存在はそれと異なる未知の形態を持っている。
仮説詳細: SCP-2995-JPは自他を問わず事実を削除し、記録および記録を虚偽のものとしてしまう能力を保持している。もし該当の能力が前述の通りである場合、SCP-2995-JPは自身に関する事実である「SCP-2995-JPはウソである」「SCP-2995-JPは1羽のみ存在する」「SCP-2995-JPは存在する」といった内容は、過去にSCP-2995-JPが事実捕食した結果の虚偽認識である可能性が否定できない。SCP-2995-JPに関する財団の見解・記録は一種の"嘘"と化しており、本来想定すべき収容違反実体に対する対応を一切行うことができていない懸念を秘めている。
SCP-2995-JPの存在は未確定であり、財団が"嘘"をついてしまっている可能性を考慮した対処が必要であることをここに提言する。

上記仮説は、現在も検証中の状況です。


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