その頭は強さの代償

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「話とはなんでしょうか」

厚いコンクリートで囲まれた専用の収容室に研究員の声が響く。
中心に置かれた机には彼とSCP-299-JPが対面している。
大層な部屋はSCP-299-JPの爆発に備えたものだ。
SCP-299-JPは文字通りの金切り声で喋り始める。

「私のこの頭…やはりおかしいんですね…」
「…っ!」

周囲に緊張が走る。
SCP-299-JP…頭が核爆弾のこの男は自身の異常を認識していない。
これまでそのことを指摘しても否定はおろか事実とすら認識せずにことある毎に暴れまわっていた。
そんな彼の異常がふいに解けたのである。

「SCP-299-JP…自分のことを分かったのですか」
「はい…確かに私の頭は核に置き換わっています…そしてそうなった経緯も…使命も…」

これは大きな進捗である、皆はそう思った。
彼の出自は何もかも不明であった。
もしそれが分かれば彼を裏から糸を引く存在への足がかりになる。
それは人体をこうまで改造できるほどの科学力をもつ危険な団体につばをつけることと同義だ。
人類の守護者として到底見過ごすわけにはいかない。

「あ…あぁぁぁぁっ!」
「SCP-299-JP?!落ち着いてください!苦しいならまた別の機会でも」
「い、いえ…今…この使命を思い出しているこの今でないと…!」

SCP-299-JPの並大抵ならぬ覚悟に気圧された職員達。
止める術など誰も持ち合わせていなかった。

「…ではSCP-299-JP、ゆっくりで構いません。あなたの出自、そしてその使命をお聞かせください。」
「わ…私の…私の使命は…!」

刹那、SCP-299-JPは自身の頭部に手をかける。
彼の核の威力は未知数である。
万が一収容室が耐えきれないほどの爆発ならひとたまりもない。
誰もが神に祈りを捧げたその時である。
収容室を貫いた何かがSCP-299-JPに激突し、核の作動を防いだ。
壁には大きな穴が開き、反対側には極度に赤熱したラーメンがしゅうしゅうと音を立てていた。

「ラ、ラーメン…だと…」
「ふぅ…間に合ったようだな」
「あ、あなた達は…」

穴から入ってきたのは黒衣の二人組。
彼らが先のラーメンを放ったというのか。

「ったく、だからロシア人に寿司は早えーんだって」
「師匠、それでは帰りましょう」
「ああ」
「ま、待ってください!あなた達は…あなた達は彼のことを知っているのですか…?!」
「師匠、行きましょう」
「…少しだけなら知っている」
「…師匠」
「俺のせいでもあるんだ…少しは答える義理はある」
「…はい」

黒衣の二人組は今一度振り向いた。

「俺は闇寿司の闇、こいつは俺の弟子だ。そしてあいつも…俺の弟子みたいなものだ」

闇と名乗る男は語り始める。

「俺がかつてロシアでボルシチを極めようとしていた時にこいつに会った」
「こいつはよく分からんが自分の使命のためにとかく強さを求めていた」
「そういう奴は嫌いじゃないから俺はついこいつにスシブレードを伝授しちまったんだ」
「…だが奴は強さを求めるあまり寿司の中でも禁忌中の禁忌…核に手を出しやがった…」
「核はラーメンやハンバーグなんか比じゃないぐらいの強さをもつ、だがブレーダーへの影響も尋常じゃない」

闇は弟子のフードに手をかける。

「こいつの頭を見ろ、こいつはハンバーグに飲まれて頭が豚になった。でもこいつは己を保てた」
「…奴はそれが出来なかった。それが奴の頭だ…醜いだろ」
「奴はその力を使命とやらに使い続けた…自分を捨ててまでな…」
「だが核に飲まれた奴はスシブレードをし続けた代償で記憶から力まで何もかも失った…と思ってたんだがな」
「いつの間にかどっか行ったと思ったら今になって懐かしい寿司の波動を感じて来てみたらこのザマだ」
「…本当に、なんてザマなんだってな…」
「さあ話は終わった。じゃあな財団よ、達者でな」

話し終えた闇は心なしか悲しげな顔をしていた。
それがどのような感情からくるものかは分からない。
闇には闇の闇があるのだ。

「…ま、待ってください!では何故我々を助けたのですか!」
「言っただろう、俺のせいでもあるんだってな。それに俺は強くなりたいだけで世界を滅ぼしたいわけじゃない。あと助けたんじゃなくてたまたまお前らだっただけだ」
「…闇さん、ですか…ありがとうございました…」
「礼なんていらない…行くぞ」
「はい師匠」

こうして闇とその弟子は立ち去った。
二人を確保しようとした機動部隊はすべて彼らの放ったピロシキに成すすべなくやられたのは言うまでもない。



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