閻魔様の職務怠慢 - SCP-JPサンドボックスⅢ

閻魔様の職務怠慢

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クレジット

タイトル: SCP-XXXX-JP - 閻魔様の職務怠慢
著者: ©︎solvex
作成年: 2023

Item#: XXXX-JP

Level5

Containment Class:

keter

Secondary Class:

none

Disruption Class:

amida

Risk Class:

critical

link to memo

特別収容手順: SCP-XXXX-JPによる影響の完全な隠蔽は困難であるため、発生原因の情報規制のみに限定されます。

すべての農作物は収穫量が倍加するよう改良された品種に置き換えられます。また動物性食品の流通は禁止され、これに違反した人物、団体に対しては厳格な処分が下されます。

全人類に各種メディアを通じて菜食主義と禁欲になるミームエージェントを定期的に曝露させます。

各地域に動物保護区を設立し、可能な範囲での人間以外の生物は同施設に輸送します。保護区の管理は財団、GOCによる共同で行われ、適切なセキュリティクリアランスを持つ職員以外の侵入は禁止されています。保護区は武装職員による警備が敷かれており、侵入者に対しては終了処分を含む厳格な対処が行われます。

昆虫類等の寿命が短い生物は捕獲した後に、冷凍等の適切な手段で保存をされます。これらの保管エリアも上記の保護区同様のセキュリティが敷かれます。また該当する生物が自然界で担っていたプロセス¹は人為的な代替手段によって補います。

説明: SCP-XXXX-JPはキャバリエ=スミス分類学における動物界²の生物に発生した異常現象の総称です。SCP-XXXX-JPは人間とそれ以外の生物で異なります。

人間に対するSCP-XXXX-JPは性欲の異常な上昇と、胎児の中での双生児以上の増加です。前者は何も対処しない場合、完全な無性愛者以外は常時性的に興奮状態に陥ります。後者は出産事例の内5割程度は双生児以上になり、最大では八つ子まで確認されています。

人間以外の生物に対するSCP-XXXX-JPは生殖能力の喪失です。身体的な異常はまったく確認されないにも関わらず、卵子や精子が完全に生成されなくなります。

SCP-XXXX-JPが及ぼす社会への影響は甚大であり、そのどれもが破滅的な結果をもたらします。これらの問題は非異常の手段で解決可能な範囲を逸脱しており、環境保全と人類保護のためにより大々的な活動を目的としたヴェールの破棄が決定されました。以下はSCP-XXXX-JPによる主な被害です。

人間以外の生物の個体数は増加しないため、一定の期間内にそのすべてが絶滅することが確定している。寿命の問題ですでに約300種類の生物が絶滅した。
人類の文化の内、動物性の資源に頼るものは廃止をする必要がある。特に食生活は全世界で共通して影響があるものであり、肉食は絶対的な禁止をしている。
出生率の増加は全人類の性欲の増加によるものであり、これによって風紀の乱れや性犯罪の増加が問題になっている。
出産された児童の増加は特に貧困層の間で、生活環境のさらなる悪化を招いている。また母体への負担も増大しているため、多くの女性の肉体面、精神面でのダメージが強くなっている。

参考資料
小野特任研究員によるSCP-XXXX-JPに関する覚書。

SCP-XXXX-JPは単なる動物の生殖に関する異常ではありません。あくまでそれらは根本となる原因からの副産物に過ぎません。

輪廻転生という概念があります。これは人は生死を繰り返し、新しい生命に生まれ変わるというものです。仏教においては生前の行いでその先が決まるとされています。悪いことをすれば地獄に行く、良いことをすれば天に行く、といったように。そしてこの生まれ変わる先を総称して六道と言います。例えば我々は人間道に生まれ変わったから、人間として生きています。

SCP-XXXX-JPはいかなる場合でも必ず人間道に向かうようになる異常です。生まれ変わってもまた人間になるだけだろうと思うかもしれません。ですが生まれ変わるのは人間だけではありません。犬、猫、鳥、魚、虫、あらゆる動物もすべて人間に生まれ変わります。いずれ全ての魂は人間になるのです。

人間以外の動物が産まれなくなったのはすべて人間に生まれ変わるからです。人の性欲が強くなったのも、双子が増えたのも、産まれる人間を増やすためです。こうすればすべての説明がつきます。

SCP-XXXX-JPをそのままにした場合、人類が辿り着くゴールは2つあります。1つは食糧問題を解決出来ずにただ人類も絶滅する。その際余った魂がどうなるかは分かりません。ですが良い未来ではないでしょう。もう1つは何とか生きる術を見つけて人類が増えていく。その場合はすべての生物の個体数、つまり最低でも1垓人もの人間が地球上にひしめくことになります。1垓というのは分かりづらい数字だとは思いますが、10の20乗、途方もない数です。

どちらにせよ解決しない限り人類に未来はありません。

説明: SCP-XXXX-JPは仏教の輪廻転生における、十王³の裁判結果がすべて人間道になる異常です。結果としてキャバリエ=スミス分類学における動物界⁴の生物はすべて人間に転生します。SCP-XXXX-JPの発生に伴って人類以外の生物は身体的な異常が確認されないにも関わらず生殖能力が失われています。またそれとは対照的に人類の平均出生率は緩やかに上昇しています。これは本来現世以外の世界⁵に転生するはずの生物がすべて人間道に集中するためです。21世紀初頭の時点で人口は100億人まで増加しており、ここからSCP-XXXX-JPが抑制、無力化されない場合は22世紀までには人間以外の生物が寿命により根絶し、30世紀までに人口が最低でも1.0×10²⁰人に到達すると予測されています。

人間以外の生物の個体数は増加しないため、一定の期間内にそのすべてが絶滅することが確定している。寿命の問題ですでに約300種類の生物が絶滅した。
人類の文化の内、動物性の資源に頼るものは廃止をする必要がある。特に食生活は全世界で共通して影響があるものであり、肉食は絶対的な禁止をしている。
出生率の増加は全人類の性欲の増加によるものであり、これによって風紀の乱れや性犯罪の増加が問題になっている。
出産された児童の増加は特に貧困層の間で、生活環境のさらなる悪化を招いている。また母体への負担も増大しているため、多くの女性の肉体面、精神面でのダメージが強くなっている。

SCP-XXXX-JPによる被害の解決、あるいは無力化の方法は各部門によって並行して研究中です。以下はその例です。

担当部門: 太陽系外活動部門

概要: 太陽系外に進出し、多くの惑星をテラフォーミングすることで人類の生存圏を大幅に拡張する。

懸念点: 技術的には可能であるが大規模な星間航行用の資材が不足している。人口の増加による必要な資材の増加を考慮すると、最短でも24世紀まで決行が不可能であると予測されている。

担当部門: 医療部門

概要: 全生物に不死性を付与して人間以外の生物の喪失を抑制し、全人類の生殖能力を除去して人類の増加を停止させる。

懸念点: 技術的には可能であるが人為的なΩK-クラスシナリオであるため、社会に対する重篤な障害を引き起こす可能性が高い。

担当部門: 解体部門

概要: 業に対する生命活動の影響を解明し、それに基づいて一定の割合の人類を人間道以外に転生するように調整する。

懸念点: 解明自体が困難かつ、仮に成功した場合も転生用人類の選別に倫理的な問題がある。

担当部門: 時間異常部門

概要: 全人類を時間停滞フィールド内に隔離し、56億7000万年後に顕現する弥勒菩薩による全人類の救済を待つ。