現在このページの批評は中断しています。
警告: 以下のファイルはレベル3/SCP機密情報です
このファイルにレベル3/SCP承認無しで行われるアクセス試行は記録され即時懲戒処分の対象となります。
アイテム番号: SCP
収容クラス: Thaumiel
特別収容手順: SCPを指定する呼称は文章、音声、映像等媒体を問わずすべて"SCP"という名称で統一されます。この措置は過去の記録についても遡及適用されます。タウマトルジェ・プロトコル以前のSCPに関する情報へのアクセスは、簡便なものを除いてセキュリティクリアランスレベル3/SCPを持つ職員のみに限られます。
SCPはエリア-S7Aの標準人型収容室に収容されます。SCPはその危険性の低さから同施設内の高セキュリティエリアを除いて許可を得た上での自由な行動が認められています。SCPは後述するタウマトルジェ・プロトコル担当チームの職員との積極的な交流が推奨されています。SCPに中度以上のネガティブな様子が見られた場合は、職員にも行われるものと同様のメンタルセラピーが行われます。
説明: SCPは習合によって財団の理念である確保、収容、保護を司る神性を有する人型実体です。SCPは背の高い褐色肌の女性の外見であり、[編集済み]語と学習の結果英語による会話が可能です。身体組織は人間と同一であり、また老化傾向は通常の人間と比較して非常に緩やかです。
SCPはタウマトルジェ・プロトコル(以下T・P)に指定される信仰活動が十分な限り、食事や睡眠などの生存に必要な一切の要素を欠いても健康に支障を来しません。また老化への抵抗力が働き、T・Pの規模が一定以上になればミトコンドリアの質の向上やテロメアの伸長などの逆転現象が発生します。
T・PによってSCPは財団に対して各理念への加護をもたらします。すなわちこれは財団の異常存在に関連する業務にポジティブな効果を発揮し、成功率の増加や効率の上昇という形で現れます。またこの影響はSCPの精神状態に左右され、ネガティブな様子が見受けられる場合は予想される効果を下回る結果になります。
SCPは1889年に現在のイラン・イスラム共和国で発見されました。SCPは████████族のみ信仰していた神話に由来する現人神1であり、当時の正常性維持組織であるHMFSCP2によって管理されていました。また発見時点で当該部族はSCPを除き1人であり、1947年に老衰で死亡しました。
タウマトルジェ・プロトコル概要
目的: 財団の能力の向上。
背景: 財団が管理するアノマリーは加速的に増加し、各々への対応に綻びが顕著になっている。現状の保有する資産で続けば今後2,30年の間には収容体制は崩壊し、LV-Zero"捲られたヴェール"シナリオを始めとする収拾が困難な事態に陥る可能性が高い。
複数の打開策が立案され、その内の1つに形式部門から、財団そのものの神格化によって権能のフィードバックを得るというものがある。これは財団のあらゆる資産や活動を再定義し、儀式化することで1つの信仰体系を構築するというものである。しかし肝心の神格化が難航したために頓挫していた。
しかしSCP-████-JP3が発見されたことにより、問題点であった財団の神格化の代替案として利用できるのではという意見が浮上した。綿密な検証の結果、実現可能性は十分に高いと判断された。
構想: 財団の理念の神格化した"SCP"を信仰対象とし、それに対応した加護を得る。
詳細: 本プロトコルでは諸要素を以下のように定義する。
- SCP - 神
- 理念 - 教義
- 職員 - 信仰者
- 偽装報告書 - 神話
SCP-████-JPを財団の理念と習合させることにより、元来有していた神性を確保、収容、保護に関するものに変更する。それに加えて「SCP」と呼称することでより各理念との結び付きを強化する。これによりSCPの権能は前述の各理念に対して向かうようになる。
SCPとして利用するアノマリーは習合した場合でも悪影響を及ぼさないことが条件となる。その点においてSCP-████-JPは以下の点で優れている。
- 信仰者や関連するアノマリーが存在しないため、元の神性が失われても影響されるものがない。
- 数世紀に渡って神として活動した経験値の高さ故に新たな権能を得た場合でも暴走するリスクが少ない。
- 周囲の部族、国家からの侵略から自身の部族を防衛した保護寄りの権能は、財団の理念と属性的に近いため相性が良い。
上記の仕組みにより職員の収容業務は信仰と見做すことが可能になる。これは収容業務は基本的に理念に従ったものであるため、SCPの神性に従った行動となる。結果として信仰を得られたSCPは確保、収容、保護に対して加護を与えるようになる。
職員に対してはT・P本来の内容とは異なるSCPの偽装報告書を教育課程で閲覧を義務付けさせる。この内容はSCPに対してより同情的かつ明朗なストーリーにする。これによって職員の認識におけるSCPを受け入れるハードルの低下、SCPと財団の関連性の強化を行う。
添付資料
SCPによる加護の強弱はSCPの精神状態と密接な関係にあることが長期の運用の中で考えられるようになった。本報告書ではSCPとの対話記録を踏まえてその異常性との関連性を模索していく。尚、下記記録で頻出するイウティマード・アフマド研究員はT・P最初期にSCPとの主な連絡係であり、それ以降もなし崩し的に類似業務を担当している。
インタビュー#: 010
日付: 1952/03/18
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員
<再生開始>
[タウマトルジェ・プロトコルについてSCPに説明をする。]
アフマド: ということで、ご協力をお願い致します。
SCP: ふーん……なるほどねえ。でもこれ、私が無批判で賛同することが条件じゃない?さんざ閉じ込めておいて必要になったらはいどうぞと協力してくれるなんておこがましいと思わない?
アフマド: それは……
SCP: 理論は完璧なのかもしれない、でもあなた達だってわざわざこんなことを理屈があってるってだけでやってるわけではないでしょう?
アフマド: もちろんです!我々は世界を護る組織として、この計画だけでなく様々な方法でよりよい活動を出来るように
SCP: あーあー分かったわ。ごめんなさいいじわるな聞き方して、十二分に分かったわ。
アフマド: そ、それではご協力を
SCP: 待ちなさい、焦らないで。言葉を焦るな、私から言わせて。
アフマド: すみません……
SCP: まあね、やるわよこれ。世界護れるんでしょう?
アフマド: ……はい!
SCP: 私だって神の端くれだし、人の幸せは望むわ。ならなってやろうじゃないの、この変なSCPって神様に。
アフマド: ありがとうございます!
SCP: じゃあまあ、改めてよろしく。
アフマド: よろしくお願いいたします!
<再生終了>
インタビュー#: 013
日付: 1952/03/21
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員
<再生開始>
[SCPへの習合が完了する。]
アフマド: お疲れ様です、あー……SCP。
SCP: ええ、本当に疲れたわ。
アフマド: 調子はどうですか?何か違和感とかありますか?
SCP: 違和感と言えば力を感じるのはそうなんだけど、昔とは違うというか……うーん……何がどうと言い辛いけど何かが違うの。私の力のようで私でないというか、私のではあるのだけどね。
アフマド: 信仰内容の違いからですかね、今後の調査課題にしましょう。他には何かありますか?
SCP: 後はまあ、やっぱり力が漲ってる。すごく強い。こんな強さは感じたことがないわ。
アフマド: 対象は財団全体ですから、宗教団体としては三大宗教に勝るとも劣りません。
SCP: それはさすがに言い過ぎじゃ……でもまあ、昔は村1つだったから、そんな比べるものでもないけれど、ずいぶんと大きくなったかと思うわ。
アフマド: 理論上ではそういった変化が与える負荷は十二分に無視出来る範囲ですが、何かあればすぐに言ってください。
SCP: ええ、よろしくね。
<再生終了>
SCPによる影響の調査はこの後から行われていた。比較対象はT・P以前の財団の活動記録に基づいた、その時点での活動から予測される事故数や職員の稼働率等であり、それらを総合的に見た上で判断される。こうして出た結果は明らかにSCPの影響が反映され、各種ステータスに変化が見られた。またSCPの加護は基本的に信仰者である財団職員の数に比例するため、財団の拡大とともにますますの強化が見込められた。
インタビュー#: 039
日付: 1952/10/02
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員
<再生開始>
アフマド: ごきげんよう、SCP。
SCP: ごきげんよう、調子はどう?
アフマド: おかげさまで。
SCP: それで、みんなはどう?うまくいっている?
アフマド: こっちもおかげさまで計画は順調、想定される業務効率と比べて有意に効果が見られてー要は成功です!
SCP: ああ……それは本当?良かった。
アフマド: 私としても理論が実証されて一安心です。いやもう本当に、良かった。
SCP: すごい噛み締めてるようね。
アフマド: ああいえ、なんといいますか、本人の前で言うのもなんですけどな加護の影響っていうのはパッと見で分かりづらく、ちゃんと効果があるという検証も結構手間取ったんです。続けるためには分かりやすい成果が必要ですから。
SCP: 苦労してるのね。
アフマド: 神様御本人の前で自分の方がなんて言えませんよ。
SCP: まあ、何にせよ良かった。私、ちゃんと出来ているようね。
アフマド: それはもう、もちろん。ありがとうございます。
SCP: こちらこそ、ありがとう。
<再生終了>
インタビュー#: 075
日付: 1953/07/15
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員
<再生開始>
アフマド: ごきげんよう、SCP。
SCP: ごきげんよう、調子はどう?
アフマド: おかげさまで。で、いつもの報告だけど端的に言って順調そのもの、怖いくらいですよ。
SCP: こ、怖いくらい?何か問題でもあるの?
アフマド: ああいやいや、今のは言葉の綾で、怖いくらい想定通りになっているなって、何もかも。結構財団も大きくなったけど予測されていたような事故はずっと少ないし、何というか首尾よく世界を護れているなと、私の目からはそう思うんです。
SCP: それなら……良かった、かもね。私の中の力もだんだんと強くなっているような気がするし、それでより護れるようになっているのなら、そんな素晴らしいことは無いわ。
アフマド: 本当に、ありがとう、SCP。
SCP: こちらこそ、ありがとう。
<再生終了>
インタビュー#: 131
日付: 1954/11/12
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員
付記: 本記録はSCPの状態に明らかな変化が確認されたため、緊急で行われたものである。
<再生開始>
アフマド: SCP?!SCP大丈夫?!
SCP: ああ……アフマド……
アフマド: ご、ごめんなさい騒いでしまって……。何があったか言えますか。
SCP: 私の中の力が……何かいきなり減ってしまった気がするの……。もしかしたら私の往き知らぬところで大変なことが起きたのかって思うと、それがたまらなく不安になって……
アフマド: 減った……んですか。もしかし
SCP: 何か知っているの?!
アフマド: ああ、待って!待ってください……これはまだ影響があるか検証しようとしている段階なんで、仮説にすぎないんですが……サイト-Y9で大規模な事故が発生し、事実上の壊滅状態に陥ったんです。死傷者も多数発生してこれがT・Pに何かあるかの
SCP: やっぱりあったのね?!やっぱり、ああ……
アフマド: もし何かあるなら、聞かせてもらってもいいですか。
SCP: ……ごめんなさい、今は少し1人にさせて。
アフマド: ……分かりました。また後で来ます。それまでにも何かあれば遠慮なく言ってください。
<再生終了>
上記記録の通りにSCPの精神状態にネガティブな様子が見受けられて以降、SCPの影響が明確には確認されなくなった。それはすなわちT・Pが存在しない時と概ね同等であり、SCPの加護がどのようになっているかの検証をする必要が生じた。尚、アフマド研究員に関してはSCPの精神状態の変化の直接的な原因になったことへの処分により一時的にT・P担当チームから除外されている。これは懲罰目的以外にアフマド研究員自体が何らかの影響を及ぼしている可能性を考慮した上で、検証に影響を及ぼさないための判断も含まれる。
インタビュー#: 132
日付: 1954/11/13
対象者: SCP,ハリール・イブラヒム研究員
<再生開始>
イブラヒム: こんにちは、SCP。
SCP: 今日はあなたなのね。
イブラヒム: はい、これからは僕が主だってお会いすることになります。よろしくお願いいたします。
SCP: よろしく、ところでアフマドは?
イブラヒム: アフマドさんは今上の指示でチームから離れています。いつ戻るとかは……すみません、分からないですが。
SCP: そうなの……分かったわ。
イブラヒム: それでなのですが、最近の調子はどうでしょうか。何か以前と変わったなとか、少しここが悪いなとか、そういったものがあれば教えていただけると助かります。
SCP: ……別にどこも悪くないわ、大丈夫。
イブラヒム: そう、ですか。では最近は
SCP: 悪いけどまた今度にしてもらえる?今は少しそういう気分じゃなくて。
イブラヒム: え?あ、ああ分かりました。では今日はこの辺で失礼します。次の時はまたよろしくお願いいたします。
SCP: ええ。
<再生終了>
その後も様々な研究員によるインタビューが試みられたがすべてイブラヒム研究員同様に芳しくない結果となった。一部職員からは自白剤の使用も提案されたが精神状態と関係があるとされる異常性ということもあり、悪影響を及ぼす危険性があるために却下された。最終的に検証目的でSCPと最も関係のあったアフマド研究員を復帰させることが決定された。
インタビュー#: 140
日付: 1955/11/27
対象者: SCP,イウティマード・アフマド研究員
<再生開始>
アフマド: お久しぶり、SCP。
SCP: ええ。
アフマド: 調子はどう?
SCP: 普通ね。
アフマド: そう?
SCP: ……何がいいたいの?
アフマド: そんな明らかにトーン下がった感じで喋られて、何もないんだねで終わらせるほど私の目は腐っちゃいないわ……言ってしまえば私はあなたに何があったかを聞くために復帰させられたの。突然いなくなって……ごめんなさい。
SCP: ……別にアフマド、あなたがいないどうこうはどうでもいいの。さあ、職員らしく私にインタビューをすればいいさ。
アフマド: ありがとう、助かるわ。じゃあここからは真面目に職員らしく、行かせてもらうわね。
SCP: 好きにして。
アフマド: 聞きたいことは今、あなたがT・Pに対してどう思っているか。私と最後に話した時のあの動揺、並大抵のものでは無かったわ。それとあの時の"力が減った"という発言、これって何か関係あったりする?
SCP: あれ、ね。答える前に私からも聞きたいんだけど、私の力のそれと、あなたがあの時に言った事故、関係はあった?
アフマド: ……検証の結果、ほぼ間違いなくと言っても過言ではないと。
SCP: やっぱり、そうだったのね。やっぱり……私ね、長いこと神様やっているから、うっすらと分かるの、そういうこと。
アフマド: うっすら、と。
SCP: 私の力は私を信じる人の力、それが突然無くなるっていう時は……大体死んでしまった時。しかも突然、何かのせいで。今までもそうだった、ここに来させられる前も、ひっそりと神様をやっていた時も。
アフマド: ████████族の時ですか、収容前の。
SCP: ええ、あそこは小さい村だったけど何とかなっていたわ。みんなが私を信じて、私がみんなを護る手助けをする。結局ずっと私の力って具体的にどういうものなのかは私にも分からなかったけど……それでもどうしようもないことは幾らでもあった。たまに前みたいに自分の中の力がざらっと減ってしまうことがあるの。私はそれですごく不安になる、何があったんだろう、起きてしまったのかって……そうして後から外の人間と戦って死んでしまったことを聞くの。私の胸騒ぎは間違っていなかったし、当たってしまった。そんなことが続けば段々と思ってくるの、私の力って何って。
結局死んでしまうなら私は何のためにただ座して待ってるんだって。意味?あるのかってのは分からないの。でもみんなは私を信じてくれる。それが私に対してなのか、私を通じて本当の神に対してなのか、それは分からない。それでもそれでみんなが生きられるなら……私は自分を信じないといけない。私は神様だから、私が不安であってはいけないから。そう思ってたの、あなた達に見つかるまではね。
アフマド: HMFSCPによるものですね。
SCP: そんな名前だったかしら、もう何とも覚えていないけど、名前長いし。まあそれはいいんだけど、正直その頃は私達もほぼ限界だったわ。何せいるのは私ともう1人。小さい集まりに出来ることは少なくて、やっぱりジリ貧だったと言わざるを得ないわ。2人でも意外と何とかすることは出来たけど、でもそれは本当に意外とってだけの話、いずれ必ず来る消滅に私は何も出来なかった。そしてその時に私達は初めて外の世界に出させられた。はっきり言えば私達を異常だなんだと豪語して無理やり連れだす輩はこれっぽちも信用ならなかったけど、それに抵抗する力も無くて……もしかしたら内心、もうどうとでもなれっていう想いが無かったかと言われれば嘘になるかもしれない。本当に、それぐらい私は疲れていたと思う。
でも連れてかれてからは意外と悪くなかったとも思うの。確かに自由は大きく無くなったってのはある、だけれどもね、ここではもう何か心配することも無かった……いえ、こういうとあの団体がそうしてくれたっていう風に聞こえて癪だから言い換えるわ。もうすべて、終わったからこそ何も心配する必要が無かったの。それまでは私がいる村があって、私はそこを護る義務があった。でももうその村もない、無くなったの。だから私は私の力の無力さを知らなくて済む……改めて思うけど、これ最低の発言ね。私、神様なのに。
アフマド: そんなことは
SCP: そんなことは無いって言ってくれるの?ありがとう、でもこれは私自身の気持ちだからね、どうすることもできないの。私が私をそう思ってしまっているから。でもそんなこと言ってもやっぱり安心には敵わないの。言葉が悪いけど肩の荷が下りたというか、自分でも分からないくらいずっと背負ってたものが突然ふっと降りたの。もちろんずっとこうであってはいけない、でも少しの間はこの安寧を味わいたい、なんてことを思ってしまった。それがその時の私、神様じゃなくなった時の私。それはずっと、アフマド、あなた達に会っても変わらなかったわ……T・Pのことを言われるまでは。
アフマド: 私が、説明した時の……
SCP: 始めは好き勝手に言い腐ってって思ったわ、人使いの荒い不躾な輩だって。腹も立ったわ。でもね、それでも何か心に引っ掛かるものがあって、それで聞いたの、これはなんでやりたいのかって。そうしたら世界を護るためだなんて、完全に想定以上の返答よ。それでこれこそが私の心に引っ掛かっていたところ、だったと思う。少なくともその時の私は晴れやかな気持ちだったから。
アフマド: その気持ちっていうのは?
SCP: 決まっているじゃない、私だって何かを護りたかったの。ずっと村の守り神だったから、例え安寧を得てもこの性は捨てることは出来ないみたい。自分のやるべきことを捨ててまでぼーっとしているだけなんて……土台無理な話だったみたい。だから私はやると答えたの。今度こそは護りきるんだって、この世界ごと。
アフマド: それに関しては本当にありがとう、今もずっと感謝しているわ。
SCP: ありがとう……でもね、これも今なら言える。私は世界のことなんて分かっていなかったって、勇み足でしか無かったなっていうのは。最初に感じたのは私が正式にここの神、SCPになった時、感じたことのない量の力があったの。それも当然、1つの村と国すらも超えた組織では人数が文字通り桁違い、それは分かるの。でも裏を返せば……それだけの人を私は護る必要がある、今まで見たことも無いほどの人を。明確には分からなかったかもしれない、そんな中で脳裏にちらりと浮かんだのは、途方もない責任。世界を護るという責任。それでもまだ、この時は具体的なことも無かったし、特に気にしもしなかった。気にしなくていいやとしてしまったの。
でもずっとやっていく内に明朗じゃなかったその心配は嫌でもはっきりと浮かぶようになったの。日に日に増してく私の中の力はイコールで私が背負う責任とも言える。私はあまりにも世間知らずだった、そして考えなしだった。そんな重い計画に、ほいほいと自尊心を満たすようにやるべきでは無かった……でもそんなこと言えない。言ったらまたすべて無になる。神様なのにやっぱりできませんって言ってしまば……それこそ私は何のためにいるんだって。
アフマド: SCP……
SCP: そんな時に起きたの、あの事故は。突然消えた力に私はあまりにも嫌な予感がした。もしかしたら、またなんてことが……そしたら、そうだったの。私は、また何もすることが出来なかった。やっぱり私はそんな重い責任を背負うほどの力はもっていない……そう思ったらもう私な何もすることが出来なかった。何もしたく無かった……そんな無責任な神様が今の私。これが聞きたかったことでいい?
アフマド: ……そうね、ありがとう。これであなたのことが十分、いや六分ぐらい分かった気がする……四分くらいかも。
SCP: 何よ、歯切れ悪
アフマド: ごめんなさい!
SCP: え?
アフマド: あなたがそんなに思い詰めていたなんて、私も誰もそんなこと知らなかった。というより考えてすらいなかったかもしれない、かも。私も他も、神様なんてあなた以外には会ったことないし、なんとなく思ってたのかも、神様なら何とでもしてくれるって。神様は強いから大丈夫だって。でもそう、あなたはもともと人間、そんな風に思っても当然で、それを強い責任感で頑張っていたんだもの。
SCP: そんな風に言われても……
アフマド: だとしたら何だけども、これは言わせてほしいの。はっきり言って私達は相当あなたに頼っている。頼りすぎていると言ってもいいかもしれない。良かった、念のために持ってきていて。これを見て。
[アフマド研究員はT・Pの経過報告書を出す。]
SCP: これは……?
アフマド: T・Pの影響の報告書、言うなればあなたがどれだけ私達を護っているかをまとめたもの。ここを見て、試算では予想されていた事故数が半減もしている。それに収容違反件数だって3割も、組織として拡大していく中で避けられないと思っていた被害を私達は防ぐことが出来ている。これがあなたの力なの。
SCP: それでも、被害がある。それに、前の事故も……
アフマド: それは私達は人間だから、ミスしてしまうことはたくさんある。私達は何もあなたにすべての責任をおっ被せてしまおうだなんて思ってない!まずは自分達が全力で気を付けて、最後の一押しをあなたにやってもらう。そんな全部を頼っちゃうなんて、それこそ私達があまりにも無責任すぎるって話よ……でもあなたにそれを言っていなかった。だから余計な心配をかけてしまった。それは本当にごめんなさい。
SCP: ……謝らないで、本当に。そういうことだった、のね……でも良かった。あなた達も色々ちゃんと考えていたのね。
アフマド: それは、もちろん。
SCP: 何というかね、まあ少しは気持ちも晴れたわ。ありがとう。でも全部じゃない。私の心配はまだまだ続くし、これはねえ……もう私の性だから、すぱっと解消するものでもないわ……もっと早く言えば良かった、こんなことぐらいなら。
アフマド: そこは私……私達も反省する必要があります。
SCP: あなたがいない間、色んな人に迷惑かけちゃった。今度またお話したいんだけど、都合をつけるのは出来る?
アフマド: やってみましょう。
SCP: ありがとう、助かるわ。
アフマド: こちらこそ。
<再生終了>
上記インタビュー後、SCPと他研究員との再交流が試みられた。またそれに伴いSCPの精神状態は以前以上に回復したことも確認された。その後の検証によりSCPの影響は改善され、十二分に確認されるようになった。これらを踏まえてSCPの精神構造は一般的な人間と概ね同様であり、すなわち人間と同様のメンタルケアの必要性が確認された。以上より特別収容手順に一部改訂がされた。
付与予定タグ: scp jp thaumiel 3000jp 人間型 宗教 メタ 形式部門 四辻喜劇
ページコンソール
批評ステータス
カテゴリ
SCP-JP本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
翻訳作品の下書きが該当します。
他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。
言語
EnglishРусский한국어中文FrançaisPolskiEspañolภาษาไทยDeutschItalianoУкраїнськаPortuguêsČesky繁體中文Việtその他日→外国語翻訳日本支部の記事を他言語版サイトに翻訳投稿する場合の下書きが該当します。
コンテンツマーカー
ジョーク本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。
本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。
本投稿済みの下書きが該当します。
イベント参加予定の下書きが該当します。
フィーチャー
短編構文を除き数千字以下の短編・掌編の下書きが該当します。
短編にも長編にも満たない中編の下書きが該当します。
構文を除き数万字以上の長編の下書きが該当します。
特定の事前知識を求めない下書きが該当します。
SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。
シリーズ-JP所属
JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。
JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。
JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:2419995 (03 May 2018 09:09)
コメント投稿フォームへ
批評コメントTopへ