【パラウォッチ】憑き名

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Tomatoman 2021/8/22 (木) 10:35:01 #82965128


怖い話とまで言えるかどうか微妙だが、俺の唯一の不思議体験。

多分、俺が中坊ぐらいの頃だったと思う。学校からの帰り道、途中まで一緒だったダチも別れ、後は自宅まで一人になる辺り。いつもなら、何も考えずに通り過ぎるその家の前で、俺はふと足を止めた。何故か、表札が目に留まった。一瞬戸惑ってから、俺はその理由を悟った。

妙な苗字だった。少なくとも、他では見たことも聞いたこともない。普通は苗字に使わないような字が入っている。それでいて、読もうと思えば、普通の苗字のように読めなくもない……仮に"魔宮(まみや)"とでもしておく。厨二キャラかよって? いや、マジでこんな感じだったんだって。

その時は変な苗字だな、ぐらいにしか思わなかったんだけど。

次の日の帰り道、魔宮家のことをダチにウケ狙いで話したら、自分も見たいと食い付いて来たんで、案内してやることにした。オメー、指差して笑ったりすんなよ、家の人に聞かれたら怒られっからな、とかバカ話しながら。

昨日見た家は、すぐに見つかった。だが、その家の表札は魔宮ではなかった。佐藤だか田中だが、とにかく平凡・オブ・ザ・平凡って感じの苗字だった。あれって思っていると、背後でダチが「ホントだ、すっげー!」と叫ぶ声が聞こえてきた。「バカ野郎、でかい声出すな」と振り返った俺は……ぎょっとした。

向かいの家の表札が魔宮になっていた。

両家の表札は共に金属製で、石壁に埋め込まれたタイプだった。そこらの悪ガキが、イタズラですり変えられるような代物じゃない。ということは、家の住人が自分でやったのか? でも、何のために?

それから、俺はその辺りを注意して歩くようになった。翌日には、隣の家の表札が魔宮になっていた。翌々日は斜向かいの家に、翌々日は……という感じで、魔宮の苗字は、その辺りの家々の表札を転々としていた。

誰にも話さなかった。信じてもらえそうにないからというのもあったけど、話そうにもその苗字がはっきり思い出せなかったんだ。今の俺がという意味じゃない。当時の俺でさえそうだったんだ。おかしいだろ? 毎日見ていたはずなのに。

ただ、普通は苗字に使わないような字が入っている。それでいて、読もうと思えば、普通の苗字のように読めなくもない……という特徴しか思い出せないなんて。その事実を認識して、アホガキだった俺もようやくゾクッとした。あれは理屈では説明の付かないものだと。

結局、魔宮の表札はその周辺の家を転々としていたが、ある日忽然と消えてしまった。いや、どこか俺の知らない遠い町へ、引っ越していったんだろうか?

今も引っ越し続けているんだろうか?

SKY WAVE 2021/08/25 (土) 23:48:09 #34806951


便乗失礼、俺が見たのも多分それだ。

前の前の住処に居た頃の話。

そこは今時珍しい、年季の入った団地だった。手すりにはサビが浮き、ドアは入居者を拒むように重く、階段の踊り場には昼でも薄闇がわだかまっている、そんなイメージ。

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こんな感じのやつ

残業を終えて帰ってきて、「あ~~~~」とかゾンビみたいに白目剥きながら、郵便受けをチェックしてた時だった。あ、団地の郵便受けって分かるかね? 配達業者がいちいち部屋まで来なくていいように、各棟の入口にまとめて設置してあるんだ。部屋の階と並びに対応した配列で。まるで、団地の中にそのミニチュアがあるみたいにな。

電気代の請求書とか、ピザ屋の広告だのを回収してたら、1階の郵便受けに見慣れない苗字が書かれているのに気付いたんだ。そう、まさしくスレ主が小学生の頃に見たという、"普通は苗字に使わないような字が入っている。それでいて、読もうと思えば、普通の苗字のように読めなくもない……"という苗字。仮に"忌森(いもり)"としておく。

そして、そう、何故か具体的には思い出せない点も同じ。その時は連日の社畜業務で頭が膿んでいたせいと思ってたけど、言われてみれば確かに変だよな。ただ、スレ主の話とは違う点もある。魔宮と違って、忌森の引越しには"パターン"があったんだ。

翌日、またしても残業でへろへろになって、「かゆ、うま」とかヨダレたらしながら郵便受けをチェックしていたら、気付いた。忌森と書かれた郵便受けが、真上の2階の列に移っていることに。翌々日は3階の列に、翌々々日は4階の列に、忌森姓は1日に1階ずつ郵便受けを上がってきた。まるでエレベーターに乗っているかのように、きっちり真上に。

しかし、それに気付いても、俺は何とも思わなかった。郵便受けのネームプレートはネジで固定されているだけなので、ドライバーを使えば誰でもすり替えはできる。まあ、誰かのイタズラだろうと思っていた。ここもスレ主の話と違う点かな。そのままなら、怪奇現象だとさえ気付かなかったかもしれない。

気付いたのは、さらに次の日の夜だった。

またしても残(以下略)、その日は郵便受けをチェックする余裕も最早なく、スルーして自室に這い戻り、シャワー浴びた後は早々に愛しのベッドちゃんにダイブした。そして夢の世界に逝きかけたところで、現実に引き戻された。カリカリと壁を引っ掻くような音と苦しげな呻き声が、隣室から聞こえてきたんだ。

隣室の住人のことは覚えている。あいにくピチピチのJDでも色気ムンムンの人妻でもなく、くたびれたリーマン風の男だったけど、少なくともこれまで騒音問題を起こしたことなどなかった。その内、どったんばったんと床を転げ回るような音まで混じり始めた。

さすがにこれは只事じゃないと思い、慌てて部屋を飛び出そうとして、ふと郵便受けのことを思い出した。そう言えば、これまで忌森姓に変わった郵便受けは、全て隣室の真下の部屋のものだった。1日に1階ずつ上がってきて……今日は隣室の郵便受けが忌森姓に変わっているのではないか?

それに気付いた途端、ドアノブを握る手が動かなくなった。今、隣室では何が起きているんだろう。今まで、隣室の下の部屋では何が起きていたんだろう。このまま、隣室に行って大丈夫なのか?

迷っている内に、隣室の騒ぎは静まった。その後もしばらく迷ったけど、結局隣室には行かなかった。

翌朝、廊下で隣人を見かけたけど、何事もなかったかのようにピンピンしていた。入口の郵便受けを確認すると、忌森姓はどこにもなかった。さすがに、これ以上は登れなかったと見える。俺たちの部屋、最上階だったからな。

本当に何だったんだろうな、あれ。苗字に取り憑く苗字、みたいな存在なんだろうか。取り憑かれたら、家の住人はどうなるんだろう。

Detteiu 2021/08/25 (土) 23:55:01 #12806555


怪奇現象より、SKY WAVE氏の勤務先のブラックぶりが気になる……。

SKY WAVE 2021/08/26 (日) 00:20:09 #12806555


そこかよw まあ、今はホワイト……とまではいかないが、グレーぐらいの所に転職してるから大丈夫。ホント、ブラック企業はどんな怪奇現象よりも害悪だわ。撲滅すべき。

Sakura_Minegisi 2021/08/26 (日) 17:10:12 #71806423


どうか、便乗して話を作っていると思わないで下さい。Tomatomanさんのお話を読んだ段階では「ひょっとしたら……」ぐらいだったんですが、SKY WAVEさんのお話も合わせて読んだら、確信に変わりました。私もお二人と同じ体験をしていると思います。

まだ10年は経っていないでしょう。私が小学生の頃の話です。

その日、クラスメートのUちゃんが学校を休んでいたので、私がお知らせのプリントを家まで届けに行くことになりました。Uちゃんは家が近所で、校外でもよく一緒に遊ぶ、親友と言っていい間柄です。なので、お使いも面倒だとは思いませんでした。

Uちゃんが休んだ理由は、担任の先生も知りませんでした。親御さんからは連絡がなく、電話しても繋がらなかったんだとか。まあ、風邪でも引いて病院に行っているんだろう、心配いらないよと先生が仰って、私もそんなところだろうと思っていたんですが、今思えば電話が使える状況じゃなかったんでしょうね。

放課後に一旦帰宅して、母に事情を話すと、お見舞いのお菓子を包んでくれました。それを手に、私はUちゃんの家に向かいました。道中では何も起こりませんでした。いつも通りの近所の町並みでした。ましてや、怪奇現象の予兆なんて影も形もありませんでした。Uちゃんの家に着いた私は、いつものようにインターホンを鳴らそうとして、気付きました。

インターホンの横の表札が、見たことのない苗字に変わっていたんです。そうです。"普通は苗字に使わないような字が入っている。それでいて、読もうと思えば普通の苗字のように読めなくもない"、そして"何故か具体的には思い出せない"という、あの名前です。ここでは仮に"血原(ちはら)"としておきます。

一瞬、家を間違えたのかと思いましたが、Uちゃんの家には何度も遊びに来ています。間違えるはずありません。現にお庭に置かれたテーブルセットはそのままでした。車庫に入った自動車にも見覚えがありました。その横に置かれたUちゃんの自転車にも。ただ、表札だけが違っている。

インターホンを鳴らしていいのかどうか、私は迷いました。まさか、お引越ししたのだろうかと思って。それにしては自動車などがそのままだし、何より先生が知らないのはおかしいと、今の私なら分かるんですが。耳を澄ますと、微かに犬の鳴き声やテレビの音声も聞こえたので、留守ではないようでした。

でも、家の中に誰かが居るという事実に、私はむしろ不安を増しました。中に居るのは、本当にUちゃんとその一家なんだろうか。もしも、全く知らない人が出てきたらどうしよう。あまつさえ、冷たい目で「誰だお前は、何の用だ」なんて言われたら。

結局、プリントだけ郵便受けに突っ込んで、インターホンは鳴らさずに帰ることにしました。母が持たせてくれたお菓子は、お家に誰もいなかったと言い訳しようと思って。

そして、帰ろうとした時でした。ウーッと犬が唸るような声がしました。そこで、ようやく私は思い出しました。Uちゃんの家では犬なんて飼っていないことに。はっと振り返ると、窓の向こうに何かがいました。

それはUちゃんでした。でも、安心はできませんでした。なぜなら、彼女は四つん這いになって、歯を剥き出して、犬みたいに唸っていたんです。それでいて、目はガラス玉みたいに無感情でした。私が凍りついていると、ぎくしゃくとした動きで、Uちゃんの背後に誰かが現れました。

Uちゃんのお母さんでした。同じく無感情な目で、がばあっと顎が外れそうなぐらい、口を大きく開けていました。そこからノイズ混じりで「それでは全国のお天気です」と、有名な男性アナウンサーの声が漏れていました。そう、私がテレビの音声だと思っていたのは、それでした。

転がるように逃げ出した私の背後で、アオーンという遠吠えと場違いに明るいCMソングが響きました。

家に帰るまで、あれは夢だと自分に言い聞かせていました。でも、自分の部屋に戻ってから気付きました。母が持たせてくれたお菓子が、真っ黒に変色していたんです。まるで何ヶ月も放置していたみたいに。Uちゃんに取り憑いた何かに食べられたのでしょうか。その夜はあのCMソングが耳にこびりついて、なかなか眠れませんでした。

翌日、Uちゃんは何事もなかったように登校してきました。それとなく聞いてみましたが、お母さんの身にも何も起きていないようでした。それからもUちゃんとの交流は続きましたが、お家へのお誘いだけは、何だかんだ理由を付けて断り続けました。一度だけこっそり表札を確認しましたが、苗字は元通りになっていました。

それ以来、家に入る時は、表札を確認するのが癖になりました。他所宅にお邪魔する時は勿論、自宅に帰る時も。

Tomatoman 2021/8/26 (日) 17:09:01 #82965128


いや、なんか話がデカくなっちゃって、俺自身が一番ビビってる。割とメジャーな怪奇現象(?)なのかね、あれ。

SKY WAVE 2021/08/26 (日) 23:20:09 #82806555


苗字がバグってるせいで、家の住人までバグっちまってる……ってことか。まあ、何の説明にもなってないけど。

ただ、Uちゃん一家の件も、俺の隣人の件も、「苗字」にとっては不本意な結果って気がするな。本当は誰にも気付かれないまま、ずっと取り憑いていたいのでは? はっきり覚えられないって点も、周囲の目を誤魔化そうとしている感じだし。

Detteiu 2021/08/26 (日) 23:55:01 #12806555


だとしたら、この話、広めて大丈夫なのかね? 今夜あたり、俺らの夢枕に立って「言い触らすな、次はお前の家に取り憑くぞ」とか脅してきたりして。

これを見てる、お前らの夢枕にもな。


 
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◆心配な点

1. 面白いでしょうか? 実話系ホラーっぽさが出ているでしょうか?

2. 冗長ではないでしょうか? 情報を3人の語り手に分散することで、実話っぽさを出しているつもりなのですが……。

3. 分かりにくい箇所はないでしょうか? 特に団地の郵便受けがイメージしづらいかも……。

4(修正項目). 改稿は成功しているでしょうか? 初版は「飼い主の家系が絶えた犬神が、新たに取り憑く家を探している」という感じだったのですが、徹底的に正体不明にした方が怖いと判断しました。

この他、お気になる点ございましたら、遠慮なくご指摘下さい。

◆画像出典

ソース: Pixabay
ライセンス: CC0
タイトル: 不明
著作権者: Peggy_Marco
公開年: 2016
補足: 2021/01/19のライセンス変更前にCC0で公開されていた素材です。


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