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諜報局資料・要注意団体-FRより抜粋
リュミエール騎士団
概要:
« リュミエール騎士団は、不老不死のリンゴで人類を誘惑する死の天使のようだ。その姿は私たちを悩ませ、その意図は曖昧で、その約束は私たちを誘惑する。故に、我々は毅然とした態度で彼らの目を見つめ、その意図を読み取ろうとしても無駄である。そして、我々は彼らに屈してしまうのだ。我々が知っているすべての深淵の中で、我々がそこで見た深淵ほど光り輝いて見えるものはなかったからだ。 »
リュミエール騎士団は自らを「起源の宗教」と称し、通常の生命体から超自然的な生命体までを崇拝し、あらゆる物理的、思想的な区別を越えて、地球上のすべての存在をその旗の下に統合しようと志しています。
かつては伝説的な「テンプル騎士団」と対をなす秘教的な存在であったことは確かですが、その起源はもっと古いものと推測されます。
リュミエール騎士団は最近、秘密結社という陰から姿を現し、大規模な新規信者の勧誘に意欲を見せていますが、これまでは参加希望者には極秘裏に構成員だけが接触していたようです。
この組織は、西洋と東洋の世界のあらゆるレベルの社会とほとんどの政治的、宗教的意思決定領域に浸透していると疑われていますが、平和と博愛を主張するリュミエール騎士団は、財団や他の利益団体との対立・干渉を試みたことは一度もありません。この組織は、いかなる犯罪・スキャンダルにも巻き込まれたことがないように見えます。そのため、世界舞台でその存在を正当化し、さらにその純粋さを世間にアピールしているのです。
騎士団の構成員との接触は、その秘匿された能力と、騎士団の動機に関する決定的な情報不足から、すべて厳しく禁じられています。構成員であることが疑われる者は、直ちに機動部隊Ω-1("神聖なる芳香")に報告して下さい。
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リュミエール騎士団に潜入中のエージェントからの報告抜粋:
To: 諜報局フランス支局要注意団体対策課
From: エージェント・戸神(リュミエール騎士団担当)
Subject: 騎士団における異常存在の取り扱い
〈前略〉
リュミエール騎士団の信念は、フランシス・ベーコンの格言「知は力なり」に集約される。騎士団にとって異常存在は第一に学研の対象であり、人類の霊的進化の手段である。
リュミエール騎士団の異常存在分類は、メイン分類である"昇位(Ascensions)"とそれぞれの昇位ごとのサブ分類である"唱別(Chœurs)"の組み合わせで構成される。現時点で判明している昇位は以下の通りである。
第1昇位・能天使: 知性がないか、あっても低いタイプ。物品型や動植物型など。
第2昇位・力天使: 人間並の知性を持つタイプ。人型や異常能力者など。
第3昇位・権天使: 法則そのもの。異常空間や異常現象など。
第4昇位・座天使: 高次元の存在。神格実体など。
第1昇位・能天使の唱別は以下の通りである。
基礎: 能天使は自然の産物である。
変容: 能天使は自然の産物に人が手を加えたものである。
工芸: 能天使は完全な人工物である。
懲罰: 能天使は反キリストにその身を委ねている。
第2昇位・力天使の唱別は…
〈後略〉
To: 諜報局フランス支局要注意団体対策課
From: エージェント・戸神(リュミエール騎士団担当)
Subject: 騎士団員の異常能力に関して
〈前略〉
結論から言えば、リュミエール騎士団は構成員に異常能力を付与する手段を持っている可能性が高い。
本日15:00、探求者の候補生たちによる"秘密のトレーニング"が行われると聞き、私は西ホールの様子を探っていた。周囲には十分警戒していたにも関わらず、何者かに「こらこら、覗きは良くないわよ」と咎とがめられた。樹上のカラスが喋っていること、その声が私の指導官のファビエンヌのものであることに気付いたのは、ほぼ同時だった。
「あなたは超能力者なのですか」という私の問いかけに、彼女はカラスの耳と口を通して答えた。少なくとも、そう解釈しても差し支えない光景だった。「こんなもの、超能力なんかじゃないわ。騎士団のトレーニングを受ければ、あなたも出来るようになる。すぐにね」
〈後略〉
To: 諜報局フランス支局要注意団体対策課
From: エージェント・戸神(リュミエール騎士団担当)
Subject: [未設定]
リュミエール騎士団の教義に穴を見つられないか、矛盾点を暴き出せないか、連日のように光の書と睨み合っているが、未だに果たせていない。その内容は、まさしくフランス語のように理路整然としていて、ヴェルレーヌの詩の如ごとく端麗で、これに難癖を付ける方が愚かだと思えてくる。
私は一度、カウンセリングを受けるべきだろうか。
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シャルル・ド・ゴール空港第2ターミナルに降り立ったJALの旅客機、その搭乗口から天使は姿を現した。お嬢様の"福音の断章"が告げた時刻から1秒のずれもなく。毎度のことながら、その正確さには驚かされる。
天使の外見はごく普通の女性だった。まだ若い。俺より少し年上と言ったところか。滑走路を吹き渡る風に、艶つやのある黒髪をなびかせている。その無駄のない足運びから、武術の心得があるのが見て取れた。おそらくは日本人だろうし、やはりジュードーかカラテか。
一瞬、女性が顔を上げ、確かにこちらを見た。気付かれた? まさか。俺は管制塔の屋根に停まったカラスの目を通して見ているのだ。気付かれる訳が──いや、正体を考えれば、有り得ない話ではない。俺は右目の視界はカラスと共有したまま、左目の視界だけを自分の肉体に戻す。まずは主に報告を。
「お嬢様、天使を発見しまし──」
「まあ、ニコラ、ご覧なさいな!」
リュミエール騎士団が擁ようする特殊能力者、"聖別されし者"のお一人で在らせられるマティルドお嬢様は、アイスブルーの瞳を輝かせながらくるくると周囲を見渡している。このお方こそ、身命を賭としてお使えすべき我が主──もっとも、ご本人は俺を「パートナー」とお呼びになって憚はばからないが。
「何て大きな飛行機なんでしょう。あら、あのお店はスターバックスかしら? わたくし、キャラメルフラペチーノが飲んでみたいですわ!」
ストラスブール分団領のグランドマスター"語らざる"ギヨーム様のご令嬢にして、自らも神に選ばれし者とは言え、まだ十代の少女である。しかも、騎士団の修道院で育てられたせいで、俗世には慣れておられない。ヨーロッパでも最大級のこの空港は、さぞ好奇心が刺激される場所だろう。
とは言え、今は任務に集中して頂かないと困る。
「お嬢様、観光は任務の後に──」
「あら、ごめんなさい。天使様はどちらに?」
天使が施設内に入ったため、俺は視界を梁上のネズミに移す。天使は入国手続きを済ませ、RERの駅に向かうようだ。そう告げると、お嬢様は目を丸くする。
「ニコラはすごいですわねえ」
「──こんなもの、ただの技術ですよ」
"共生"など、騎士団の実働部隊たる"探求者"なら使えて当然だ。"秘才"は騎士団秘伝の修練の賜物たまものとは言え、人間が文明の発達によって忘れた能力を思い出させたに過ぎない。福音の断章のような奇跡とは違う。
俺に特別な点があるとすれば、このお方の従者になれたこと──それだけだ。
天使に先回りすべく、人ごみを掻かき分けて進む。お嬢様がはぐれないよう、お手を繋ぎながら。俺は気恥ずかしさを誤魔化すために──お嬢様は平然となさっているが──、数日前のことを思い出していた。
お嬢様が日課である"光の書"の黙読をなさっていた時のことだった。突如、お嬢様の頭上に光輪が現れ、その緩やかに波打つ金髪を 燦 然 さんぜんと輝かせた。福音の断章が発動したのだ。何度見ても、畏敬の念を抑えられない光景だ。
俺がいつものように"I-Light"──騎士団員に支給される情報端末──をお渡しすると、お嬢様は虚空を見つめたまま報告書作成アプリ"Æden"を起動して、指がぶれて見える程の速度で各項目を記入していく。そう、通常なら苦労して天使を探し出し、危険を犯して性質を探らなければ書けない報告書を、予あらかじめ書いてしまえる能力。それが福音の断章だ。
内容は黙示録のごとく難解な表現が多いが、外れたことは一度もない。加えて、時刻や場所など、間違えようがない情報は常に正確だ。お嬢様はこの能力で多くの天使と接触し、騎士団に引き入れてこられたのだ。
・リュミエール騎士団ハブ(Deepl翻訳) よろしければ、ご批評の参考にどうぞ。堕天使アザナエルはこの記事中に登場する「謎の忠告者」をモデルしています。
◆心配な点
1. 面白いでしょうか? ウリとしては、リュミエール騎士団という日本支部ではあまり知られていないGoIの実像、そこに属する人々のドラマ、アイスヴァインがフランスでもおちょくられる(?)ギャグ展開、かと思いきやまさかの超展開、といったところですかね。
2. リュミエール騎士団フォーマットが活きているでしょうか? できれば正体がアイスヴァインであることは、マティルドの「勿論、あなたをお迎えに上がったのですわ、アイスヴァイン様」まではバレたくないんですよね。
3. 分かりづらい点はないでしょうか? 要するに、アイスヴァインことエージェント・立花には本当にアザナエルという名前の堕天使が憑依していて、彼が神に対抗するためにマティルドをおびき寄せて勧誘したら、守護霊のジャンヌ・ダルクに阻止された・・・というストーリーです。
4. リュミエール騎士団に興味のない方にも楽しんで頂けるでしょうか?
5. 描写不足な場面はないでしょうか? なるべく文字数を抑えようと、かなり急ぎ気味に書いたので・・・。
その他、お気づきの点があれば遠慮なくご指摘下さい。可能であれば代案もご提示頂ければ助かります。
◆用語の翻訳について
リュミエール騎士団ハブを元に、基本的にはなるべく無難な訳を選びましたが、直訳ではどうしてもそぐわない用語は意訳しました。もっと相応しい訳があれば、ぜひご教授下さい。
昇位(Ascensions) リュミエール騎士団による異常存在の分類。第1昇位・能天使(知性が低いか、そもそも自我がない。動物や物品など)、第2昇位・力天使(人間並の知性を持つ。特殊能力者や人型実体など)、第3昇位・権天使(法則そのもの。異常空間やミームなど)、第4昇位・座天使(高次元の存在。神格実体など)。
本来の意味は「上昇」「昇天」。1~4まで順位が存在すること、順位が上がる程に神に近い存在になることから、地位という意味を含ませこのように翻訳しました。
唱別(Chœurs) 昇位のサブ分類。各昇位に4種類存在する。備えた能力、人間に対する態度などで分類される。本来の意味は「合唱団」「所属団体」「同意見の人々の一団」「曲目」「教会の内陣」など。ここでは神が指揮する「世界という合唱」のどの部分を担当しているか、というイメージでこのように翻訳しました。
秘才(Prodiges) 本来の意味は「神童」「天賦の才能」など。隠されていた才能、というイメージでこのように翻訳しました。
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任意A任意B任意C- portal:2257305 (18 Jun 2018 09:42)
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