落月の牢獄

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2/×××-JP LEVEL 2/×××-JP

CLASSIFIED

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Item #: SCP-×××-JP

Object Class: Uncontained


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牢獄の外観、上空に地球型天体が見える


特別収容プロトコル: SCP-×××-JPは未収容です。考古学部門、神話・伝承部門を中心に、SCP-×××-JPへの再接続手段を模索中です。

説明: SCP-×××-JPは1回のみ基底世界との接続が確認されている異常空間、あるいは異世界です。情報が少ないため詳細は不明ですが、大気組成や重力等の物理特性は基底世界の地球とほぼ同様であり、上空には地球と酷似した天体1が観測できます。映像分析の結果、地球型天体とSCP-×××-JPの地表の距離は、月と地球の距離とほぼ等しいことが判明しています。探査された範囲はクレーターのような地形が点在する荒野であり、SCP-×××-JP-1(後述)が"牢獄"と呼称した石造建築物が唯一の人工物でした。

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SCP-×××-JP-1

SCP-×××-JP-1は牢獄の管理者と自称する、若年女性の外見をした人間型実体です。探査担当者に対しやや冷淡な態度ながらも、案内を務めるなど概ね友好的に接しました。空間転移などの異常能力を行使する様子が確認されており、基底世界とSCP-×××-JPを接続するポータルの生成能力も備えている可能性があります。

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SCP-×××-JP-2-F

SCP-×××-JP-2は牢獄内に監禁されている、月を模した球体状の頭部を持つ人間型実体群です。SCP-×××-JP-1は「月としての責務を怠った罰を受けている」と解説しました。発話する様子は観測されず、コミュニケーションは成功していません。探査時に確認されている個体がSCP-×××-JP-2-A~Mにナンバリングされていますが、未確認の別個体も存在する可能性があります。

補遺#1・発見経緯: 財団がSCP-×××-JPを知る発端となったのは、日本支部所属のフィールドエージェント・海野 一三うんの いつみが2022/█/█に自宅で発見した手紙でした。エージェント・海野は「帰宅したら、書斎の机の上に置かれていた」と証言しています。エージェント・海野が単身者である点、エージェント・海野の自宅の鍵は生体認証式で本人のみ開錠可能な点、警備システム2が侵入者を検知していない点などから、手紙は異常な手段で転送された可能性が高いと考えられています。

手紙は羊皮紙製であり、不明な植物由来のインクで筆記されていました。内容は以下の通りです。

海野 一三 殿へ。渡す物があります。受け取りを希望する場合は、以下の手順を実行して下さい。

1. 次の満月の夜に、書斎の天窓から見える月を、あなたの家で最も古い姿見鏡に映す。

2. アルコール度数10度以上の蜂蜜酒を純銀製の盃に注ぎ、姿見鏡の前に供える。

3. 次の呪文を唱える。「今宵、大いなる月輪は満たされた。我、月光酒を捧げ乞う。星海の門を開き、神々の領域に招き入れたまえ」

正しく手順を実行すれば、姿見鏡は門となります。現地到着後は私が案内します。

補遺#2・SCP-×××-JP探査: 諜報局や管区サイト間での協議の結果、異常存在の確保が期待できることから、手紙の手順の実行が決定しました。2022/█/█、不測の事態に備え、エージェント・海野の自宅に警備員を配置した上で手順を実行した結果、姿見鏡の鏡面は光度約1500lmで発光し始めました。空間分析システムにより姿見鏡のポータル化も確認されたため、ドローンやDクラス職員による通過を試みましたが、いずれも境界面に触れた瞬間に原理不明の衝撃で弾き返されました。

ポータルの通過は手紙の受取人のみ可能と推測されたため、実験本部はエージェント・海野の志願を承認しました。通過と同時にエージェント・海野からの通信が途絶しましたが、約17分後に無事帰還しました。以下はエージェント・海野が装備していた隠しカメラに記録された映像です。

探査ログSCP-×××-JP:

 

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日付: 202█/█/█
探査担当: エージェント・海野


〈以下、書き起こし〉


[ポータル先には夜間の荒野のような光景が広がっている](00:01)

エージェント・海野: 海野より本部へ、応答して下さい。繰り返します、応答して下さい。[数秒待機]駄目か。まあ、想定の範囲内だな。以降は自己判断で行動します。[各種測定機器をチェックし]生存に問題はなし。けど…。(00:09)

[カメラが周囲を見渡す。ポータルの出口側は見当たらない](00:29)

エージェント・海野: うーん、どうやって帰ろう。[ため息]まあいいや。帰れなくたって、悲しむ人もいないし。(00:33)

[カメラが上空を向き、地球に酷似した天体が映る](00:39)

エージェント・海野: ここは一体…。(00:42)

[カメラの角度が水平に戻った瞬間、SCP-×××-JP-1が出現する](00:44)

エージェント・海野: [後退して警戒する様子](00:45)

SCP-×××-JP-1: 海野 一三ですね。(00:50)

エージェント・海野: あ、はい。もしかして、あなたが手紙を?(00:54)

SCP-×××-JP-1: そうです。[エージェント・海野に背を向けて]ついてきなさい。(01:04)

エージェント・海野: あの、僕に渡したい物とは?(01:09)

SCP-×××-JP-1: 来れば分かります。(01:12)

[SCP-×××-JP-1が歩き出し、エージェント・海野が追従する。周囲にはクレーターのような地形が点在するが、人工物は存在しない] (01:13~0:29)

エージェント・海野: ここはどこなんですか?(01:30)

SCP-×××-JP-1: 神々の領域、それだけ知っていれば十分です。(01:34)

[SCP-×××-JP-1とエージェント・海野は無言で歩き続ける。エージェント・海野は「彼女の威厳に圧倒されて話しかけられなかった」と説明している](01:35~04:44)

SCP-×××-JP-1: ところで、先程の言葉はどういう意味ですか。(04:44)

エージェント・海野: え?(04:48)

SCP-×××-JP-1: 自分が帰らなくても、悲しむ者はいないと。(04:49)

エージェント・海野: ああ、いえ、大した意味はないですよ。家族は皆亡くなっているし、他に親しい者もいないので。別に不幸だとは思いませんよ。いつ死んでもおかしくない仕事ですし、いっそ気楽なぐらいです。(04:52)

SCP-×××-JP-1: あなたの親が聞いたら、どう思うでしょうね。(05:07)

エージェント・海野: 死者には何も聞こえませんよ…あ。(05:12)

[カメラに石造建築物が映る。高さ約15mの壁に囲まれており、敷地面積は約200m2と推定されている](05:14)

SCP-×××-JP-1: 私が管理する牢獄です。(05:16)

エージェント・海野: 牢獄…。(05:20)

[SCP-×××-JP-1とエージェント・海野が牢獄の正面門に接近する。SCP-×××-JP-1が右手を上げると、門が開き始める] (05:20~05:32)

SCP-×××-JP-1: 渡す物はこの中に。(05:34)

[牢獄内は暗い上に装飾に乏しく、建築様式などの分類は困難。随所に設置された松明や採光窓で、歩行に支障はない](05:34~05:47)

エージェント・海野: あれは…。(05:48)

[カメラに鉄格子で区切られた独房が映る。内部には1体のSCP-×××-JP-2 (SCP-×××-JP-2-Aにナンバリング)が座り込んでいる。体型は幼年男性のもので、和服に似た服装をしている](05:51)

エージェント・海野: 月の、囚人?(05:53)

SCP-×××-JP-1: ええ、月としての責務を怠った、愚か者どもです。(05:56)

エージェント・海野: 彼は何か悪いことを?(06:02)

[SCP-×××-JP-1が鉄格子に設置された金属板を指差す。金属板には未知の文字が記されていたが、カメラのピントが合うと不明な原理で日本語に変化する。以下はその内容](06:07)

  • 囚月番号: 140
  • 犯した過ち: 十五夜の月見団子を盗んだ。
  • その結果: 子供たちが濡れ衣を着せられた。
  • よって神々は: この月に禁固100年を言い渡す。

[エージェント・海野はSCP-×××-JP-1に追従して牢獄内を歩き続ける。以下はその間に目撃したSCP-×××-JP-2の特徴と、金属板に記された文章のリストアップ](06:04~14:56)

SCP-×××-JP-2-B(若年男性の体型、ヒンドゥー教の修行僧風の服装)

  • 囚月番号: 56
  • 犯した過ち: 大いなる盃を落として割った。
  • その結果: 砂漠に洪水を、東の国に干ばつを引き起こした3
  • 故に神々は: この月に禁固2000年を言い渡す。

SCP-×××-JP-2-C(中年女性の体型、古代中国の女官風の服装)

  • 囚月番号: 21
  • 犯した過ち: 人々に不老不死の仙丹の製法をもらした4
  • その結果: 中央の国に仙人というあり得ざる存在を溢れさせた。
  • 故に神々は: この月に禁固7000年を言い渡す。

SCP-×××-JP-2-D(中年男性の体型、頭部が鏡面状になっており、衣服は焼け焦げている)

  • 囚月番号: 72
  • 犯した過ち: 太陽に等しい輝きを求め、自らの顔を鏡のように磨き上げた。
  • その結果: 陽光の反射で南の国を焼き、人々の肌を黒く焦がした。
  • 故に神々は: この月に禁固5000年を言い渡す。

SCP-×××-JP-2-E(老年男性の体型、中世ヨーロッパの農民風の貫頭衣)

  • 囚月番号: 34
  • 犯した過ち: 安息日に薪を集めた男を逃がした5
  • その結果: 人々は休日にも労働を強いられるようになった。
  • 故に神々は: この月に禁固9000年を言い渡す。

SCP-×××-JP-2-F(若年男性の体型、袖なしシャツとデニム地のズボン)

  • 囚月番号: 112
  • 犯した過ち: 新興国から賄賂を受け取り、星海を渡った証拠を捏造6した。
  • その結果: 新興国は偽りの栄光で人々を欺き、帝国へと成り上がった。
  • 故に神々は: この月に禁固1969年を言い渡す。

[SCP-×××-JP-1とエージェント・海野が中庭のような場所に出る。その中央には、若年女性の体型にイブニング風のドレス姿のSCP-×××-JP-2(SCP-×××-JP-2-Mにナンバリング)が縄で縛られて跪いている] (15:00)

エージェント・海野: ここは…。(15:02)

SCP-×××-JP-1: 処刑場です。(15:04)

エージェント・海野: 処刑場!?(15:06)

SCP-×××-JP-1: この月は最も重い罪、即ち、勝手に軌道から外れるという罪を犯したのです。おかげで時の理が乱れ7、星々の配列にずれが生じ、運命は神々にも予知できなくなりました。到底、許される罪ではありません。[SCP-×××-JP-1の手に大型の鎌が現れる]故に神々は、この月に死刑を言い渡す。(15:08)

[SCP-×××-JP-1が鎌でSCP-×××-JP-2-Mの頸部を切断する。流血は見られない。SCP-×××-JP-2-Mの頸部より下は、銀色の粒子に変化して消散する](15:30~15:34)

エージェント・海野: その、何のために、彼女はそんなことを?(15:38)

SCP-×××-JP-1: [エージェント・海野を睨む]あなたを助けるためですよ、海野 一三。(15:45)

エージェント・海野: 僕のため?(15:51)

SCP-×××-JP-1: 最近、人狼を退治しましたね。(15:55)

エージェント・海野: 何のことで…[ため息]隠しても無駄か。ええ、ボコボコにされて、銃も効かなくて。もう駄目だと思っていたら、急に敵の変身が解けて、その隙に…え? もしかして。(16:01)

SCP-×××-JP-1: この月が軌道を外れて、満月状態を解除したのです。死に値する罪だと、承知の上で。(16:22)

エージェント・海野: なぜ、彼女はそこまでして僕を? (16:30)

SCP-×××-JP-1: 難産だったあなたの誕生を手助け8したのが、この月だったからかもしれません。母親にでもなったつもりだったのでしょうか。[小声の呟き。音声分析の結果「本当に馬鹿な子」であることが判明](16:35)

エージェント・海野: その、何と申し上げたらいいか。(16:52)

SCP-×××-JP-1: 謝罪させるために呼んだ訳ではありません。(16:57)

[SCP-×××-JP-1が鎌の柄でSCP-×××-JP-2-Mの頭部を粉砕し、破片の中から直径約5cmの白い石を摑み出す](17:02)

SCP-×××-JP-1: 呼んだのは、これを渡すためです。この月の最後の願いでした。どんな形でもいいから、あなたの傍に居たいと[エージェント・海野に石を差し出す]。(17:08)

エージェント・海野: 僕にそんな資格は…。(17:23)

SCP-×××-JP-1: 要らないなら捨てますよ。(17:27)

エージェント・海野: いえ、頂きます! [SCP-×××-JP-1から石を受け取る]ただ、僕の私物にできるかどうかは…。(17:32)

SCP-×××-JP-1: 好きになさい。[地球型天体を見上げて]さあ、もう戻る時間ですよ。あなたが生きるべき、あの星へ。(17:38)

[カメラの視界が白い光に覆われる](17:44)


付記: この直後、エージェント・海野が帰還し、同時にポータルは消失した。カメラの視界が白い光に覆われてから帰還するまでの経緯に関して、エージェント・海野は「記憶が曖昧だが、懐かしい気分だった」と述べている。

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エージェント・海野がSCP-×××-JP-1から受け取った石

補遺#3・オブジェクトクラス再分類: 手紙に書かれた手順を再実行しても、姿見鏡はポータル化しませんでした。基底世界とSCP-×××-JPを接続する手段が他に存在する可能性は不明ですが、探査ログの内容から両世界には何らかの関係性が存在すると推測されるため、オブジェクトクラスはUncontained(未収容)に分類されました。

エージェント・海野がSCP-×××-JP-1から受け取った石は、非異常の月長石と判明しました。本人の希望により、エージェント・海野が自宅に保管しています。

  • scp
  • jp
  • esoteric-class
  • エージェント・海野
  • 異次元
  • 可視光
  • 儀式
  • 人間型
  • ポータル
  • 未収容
  • 夜行性
  • 歴史

◆心配な点

1. 面白いでしょうか? ウリは幻想的な世界観、月の多様な象徴性を用いた表現、悲しくも少し心が温まる結末、と言ったところですかね。

2. ストーリーが伝わっているでしょうか? SCP-×××-JP-1が海野に「こんな奴、そこまでして救う価値があったのか」とツンツンしながらもSCP-×××-JP-Mの遺志を尊重する心理、海野がそんな二人の想いに触れて生きる気力を取り戻す流れが、ちゃんと描けているでしょうか?

3. SCP-×××-JP-M に感情移入しづらくないでしょうか? 遠くから海野を見守ることしかできないので、仕方ないと言えば仕方ないのですが……。その分、SCP-×××-JP-1を通して間接的に「いかに海野を大切に思っていたか」を描写したつもりです。

4. SCP-1580-JP - 朧なる人造月光とネタ被りしていないでしょうか? 月の化身が遺品を残して消えるというオチが、ちょっと被っている気もしますねえ。

その他、お気になる点ございましたら、遠慮なくご指摘下さい。可能であれば、代案もご提示頂ければ助かります。

◆なんでエージェント・海野を主役にした?

顔を覚えてもらえないという異常性のせいで、私生活が寂しそうなイメージがあったので(ひどい)。


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