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まずは、きっかけから話さないといけないですね。確か先月の初め頃だったと思うんですけど、僕の家に変な訪問者が来るようになったんですよ。毎日、夜の8時から9時ごろかな?必ずうちに来て、インターホンを押すんです。モニター越しに見たら20代ぐらいの青年なんですけど、当然知らない人だし、怖いから出ないじゃないですか。でね、出ずにいると、ドアの前で何か叫んで、帰って行くんです。
叫んでる内容は、最初はよく聞き取れなかったんですけど。3回目ぐらいで分かるようになりました。「こんにちは。トホウノタミです」って言ってるんですよ。トホウノタミって何ですかって、僕が聞きたいですよ。検索しても何も出なかったし、心当たりなんか一切ありません。最初は聞き違いかと思いましたよ?でも、何回聞いてもそうなんです。漢字を当てるとしたら「途方の民」ですかね?まあ無視してると帰って行くんで実害は無いんですけど、毎日来るんですよ。やることは毎回同じですね。インターホン鳴らして、「こんにちは。途方の民です」と言って、帰っていく。それだけです。
何がしたいのか、全く分からないじゃないですか。正直、インターホンに出てみようかと思った事もあるんですけど……結局怖くて出られませんでした。だって、意味が分からなさすぎるでしょ?訪問販売だったら何か売りつけられるんだろうし、宗教だったら入信を勧められるんだろうって分かりますけど、途方の民は分かりませんよ。推測もできません。だから、何回来ても応対はせずに、ずっと放ってました。
で、それから1ヶ月ぐらい毎日そいつがインターホンを鳴らして、無視し続ける日々が続いたんですけど。ある日、気付いたんですよ。うちの隣の家のドアに、「途方の民お断り」っていう貼り紙がしてある事に。そうなんです。やつは僕の家だけに来ていた訳では無かったんです。隣の家でも同じ事をしていたんですね。都内のアパートで近所づきあいも薄いんで、知らなかったんですけど。
しかし、隣の人は貼り紙に何を書こうか悩んだでしょうね。訪問販売だったらセールスお断りって書けばいいし、宗教だったら宗教お断りって書けばいいですけど、何しろ今回は相手がなんだか分かりませんから。分かるのは途方の民って言葉だけです。だから「途方の民お断り」って書くしかないですよね。
で、早速僕も真似しました。貼り紙したら来なくなるかは分かりませんでしたけど、正直困ってたし、何でもいいから行動を起こしたかったんですね。そしたら、来なくなったんですよ。「途方の民お断り」っていう張り紙をしたら、ヤツは来なくなったんです。
それも結構、驚いたんですけど。さらに驚いたのは、1週間もしたら同じアパートの全部の部屋が、「途方の民お断り」の貼り紙をするようになった事です。ヤツはアパートの全部の部屋に来ていたんですよ。そして誰かが教えたのか、僕みたいに勝手に真似したのか分かりませんけど……みんな貼り紙に効果がある事を知って、貼り紙をするようになったと。
で、気付いたのはその時です。これが目的だったのかなって思ったんですよ。これっていうのは、貼り紙です。考えても見てください。全部の部屋に「途方の民お断り」っていう貼り紙がしてあるアパートなんて、明らかに異様でしょ。仕事帰りなんかにふとその光景を見ると、正直かなり気持ちが悪いです。自分は理由を知ってるからまだ良いんですけど、通りすがりの人なんかが見たらどう思うか。この、異様な光景を作り出す事自体が目的だったのかなって思うんですよ。
いや、作ってどうするんだって言われても分からないですし、僕の考えが合ってるかも知らないですけど。ただね、全部の部屋にそういう貼り紙がされるようになってから、1週間ぐらい経った頃ですかね。1つだけ気になる出来事があって。
確か、午前2時ぐらいだったかな?ピンポーンって、インターホンが鳴ったんですよ。久々にあいつか、でもいつもと時間が違うなって思いながらモニターを見たんですが、何も映っていなくて。何も映っていないっていうのは、人が映ってないって事じゃなくって、モニターが真っ暗で、本当に何も映ってないんです。手か何かでカメラを覆っているのかと思ったんですけど、そんな感じでも無くて、完全に真っ黒なんですよ。で、もう1回インターホンが鳴ったんです。いつもの言葉はありませんでした。で、かなり迷ったんですけど、出たんですよ。正直気になったし、インターホン越しに話すぐらいなら何ともないだろうって。で、応答ボタン押して、「はい」って言ったら、
「なんでですか。かなしいです」
って聞こえました。声はくぐもった大人の男の声みたいで、今までのとは違いましたね。で、こっちが黙ってたら、それっきりです。そいつが何者で、何をしに来たのかは分かりません。その後は、変なことは特にありません。貼り紙はまだ残してありますよ。多分ずっとそのままです。
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- portal:2165171 (09 Jun 2020 11:32)
現状DVです。恐ろしさを感じられませんでした。依談はある種の怪談・ホラーであり、読者の恐怖心を駆り立てるものかと思います。しかし「恐竜責任状態」というワードは恐ろしさよりもシュールさを醸し出すものであり、読者を怖がらせるための依談という枠組みの中ではかなり強いノイズになっています。
「恐竜」というワードが持つイメージは多岐に亘ります。例えばNHK『おかあさんといっしょ』の歌で流れる子ども向けの明朗なテーマであったり、Twitterでよく流れているようなティラノサウルスの着ぐるみのコミカルな様子であったり、あるいは『ジュラシック・パーク』のようなパニック描写が主なものではないでしょうか。あるいは、ちょっと深い興味を持つ者であれば化石発掘やタンパク質の抽出といったバイオロジー・ジオロジー・パレオントロジーの学術的視点を想起する者もいるでしょう。これらは依談が得意とするホラーとは繋がりにくいものです。ヴェロキラプトルの鉤爪がコツコツと音を立てながら間近に迫る様子であるとか、彼らの吐息がうなじを伝っていく様子であるとか、そういった身に迫る恐怖を描かなければ恐竜を扱うのは悪手であると判断します。「恐竜」というワードだけが登場するため、前述したティラノサウルスの着ぐるみに近いシュールギャグに見えました。
また上記とも一部関連しますが、現状では恐竜を扱う必要が一切無いように見受けられます。恐竜ならではの要素を採用しないのであれば、別に張り紙や発話の内容はスッポンでも月でも良いですし、極論白紙の張り紙や無言電話でも成立してしまいます。電話や張り紙を通して正体不明の何かが伝播していることをミソにされたいのであれば、むしろ空白にしてしまうか(無をお断りすることで奇妙さの演出は出来るのではないかなと思っています)適切な題材を模索してみることをお勧めします。
Tutu-sh
批評ありがとうございます。
「恐竜責任状態」という言葉を採用したのは、実際にそう言っている訪問者が我が家に来たからというだけで、特に強い思いも無かったので、怪談らしそうな言葉に変更しました。
個人的には怪談にも出てこないような謎の主張が不思議に思え、興味深かったのですが、自分にとっては実体験でも読者にとっては読み物であり、見方も違うので、ちょっと独りよがりだったようですね…。
追記:言葉を変えるだけだと不足しているように感じたので、改稿のため批評中断状態にしました。
改稿したので再開しました。