財団Web放送配信録 -オモテの職業について- 

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皆様は「組織内広報」というものを御存じでしょうか。その組織の中で内輪向けに行われる広報活動の事で、一般的な企業では社内報、官公庁では庁内報などが一般的です。

これらは昭和の頃は盛んだったようですが、次第にコストの無駄とみなされるようになりバブル崩壊後はあまり見なくなりました。

しかし、この令和の時代になってから組織内広報の重要性が見直されつつあります。

近年は転職が一般的になり、人材の確保に苦労する企業が増えてきました。そこで社内の価値観の共有化、企業風土の醸成、社員のモチベーションアップといった観点から組織内広報に力を入れる企業が増え始めているのです。

我ら財団も、人材確保や職員のモチベーションアップに腐心しているのは言うまでもありません。他組織に負けぬよう、組織内広報に力を入れるべきではありませんか。

しかし機密保持の観点から、紙媒体による広報は推奨されません。財団の内部事情を書いた紙を印刷し、各拠点へ配る事はそれだけで大きな情報漏洩リスクとなります。

よって、財団においてはWebを使用した広報活動が最もと適切と考えられます。また、形式としては視聴者間の一体感の創出、コミュニケーションの活性化といった観点から生配信が望ましいと考えております。まずは財団イントラネット内に生配信を行う事のできるページを用意し、「財団Web放送局」として内部向け配信を行う事を提案します。

財団日本支部 総務本部 人事部 人材開発室 中村洋一

提案を許可する。まずは昼休みの時間帯に週1回、15分から30分程度の配信を行う事とする。
財団日本支部 総務本部長


皆さん、こんにちは。財団総務部内部広報室よりお送りする、財団Web放送。本日、記念すべき第1回目の放送は私、内部広報室長の中村がお送りします。

内部広報室というのは新設された部門でして、私を含めて3人の職員がおります。まあ今の仕事は週に1回のこの放送くらいですから、全員他の仕事と兼務なんですが……これからの需要次第では専任の職員を置きたいと考えております。皆様、末永くよろしくお願いいたします。

さて、第1回の放送内容なんですが、事前に皆様にアンケートをさせて頂いたところ、希望する内容として「他部署や他の職員の事が知りたい」という声が多く寄せられました。まあ無理もないでしょう。財団の仕事は秘密だらけですから、隣に座っている人が何をやっているかすら分からないという事も珍しくありません。他の職員が何をやっているか、気になりますよね。

ただ、流石に機密情報を配信する訳には参りません。セキュリティインシデントに繋がらない形で、皆様のご要望にお応えする方法を考えましたが……その結果、第1回放送のテーマはこちらになりました。題して、「職員の、オモテの職業聞いてみた」です!

皆様もご存じの通り、財団職員は家族にすら自身の職業を明かす事ができません。よって、全ての財団職員は表社会で名乗る用のオモテの職業を持っています。多くの職員はフロント企業の社員という事になっていると思いますが、公務員という方も少なくありません。他の職員のオモテの職業が何かは皆さんも意外と知らないのではないでしょうか。ちなみに私は銀行員の設定でおります。リーマンショックの折は、ずいぶん妻に心配されましたね。

さて、今回は事前にアンケートを実施しておりまして、財団職員が最もよく名乗っているオモテの職業をお調べいたしました。それをランキング形式で、順に発表していきたいと思います。それでは早速参りましょう。まずは、第1位から!


1位: 自衛官

まあ、大方の予想通りですよね。防衛省と財団は繋がっていますし、財団職員には自衛隊から転籍して来られた方も大勢います。そういった方はほとんど引き続き自衛官を名乗っていらっしゃいますね。機動部隊の方などは半分以上自衛官を名乗っているのではありませんか。土日に勤務したり、身体を鍛えていても自然なのが大きいですよね。また自衛官の職務内容は国家機密として扱われる場合が多いようですから、仕事内容を家族などに秘密にしやすいのも良いですよね。

2位: サラリーマン

フロント企業で働くサラリーマンという設定の方は多いですよね。博士ならメーカーの研究職、私のような総務部の者は一般職を名乗る場合が多いようです。ただ、土日や深夜に勤務する事が多いエージェントの方はサラリーマンを避けるようです。普通のサラリーマンが何週も続けて土日や深夜に出社していたら、おかしいですからね。

3位: 警察官

自衛官同様、警察から転籍して来られた方も多いですね。まあ日本政府、特に治安維持や防衛を管轄する所は財団と連携する事も多いですから、自然とそうなりますよね。ただ、警察官って基本は都道府県ごとの採用になるんで、他府県に転勤する事が無いんですよ。出張も、そう頻繁には無いんじゃありませんか。財団職員は転勤も出張もしますから、そのあたりが問題ですよね。

4位: 消防士

まあ、理由は警察官と大体一緒ですね。やはり現場で働くエージェントの方は体を鍛えていらっしゃる方が多いですし、消防士を選ぶ方は少なくありません。ただ、これは自衛官の方なんかにも言えるんですが、住んでる地域で大きな事件が起きると怪しまれる事があるんですよね。私の同期に消防士を名乗ってる者がいるんですが、運悪く休みの日に近所で大きな火事があったんですよ。あなた何してるの、行かなくていいのって奥さんに言われちゃって、仕方なく用も無いのに出かけて公園で時間潰してたそうです。

5位: 探偵

探偵を名乗る方、意外と多いんですよ。警察や消防士と違って転勤もありえますし、土日や深夜にも仕事しますし、仕事内容は守秘義務のため家族にも話しませんから、財団職員が名乗るのにうってつけなんですね。ただ、全財団職員がこれを名乗ると世の中が探偵だらけになりますから、ある程度は絞っているようです。

6位: サービス業

まあ世の中でやっている人が多い職業ですし、自然と名乗る人も多くなりますね。財団もいくつか飲食店などのフロント企業を持っています。ただ、今度店に行くよなんて言われちゃうと困りますから、基本はキッチン担当とか、裏方の設定で行くようです。しかし、飲食業界をオモテにしてる人はこの1年、大変でしたでしょう。緊急事態宣言出てるのに残業してたらおかしいからって、早く帰らされて。ボーナス増えてたら怪しまれるって、ボーナス減らされた人までいるんですよ。まあ、そういうのはちゃんと後で穴埋めして貰えるんですけど。


はい、以上1位から6位でした。7位以降は官僚、研究機関職員、県や市の職員、テレビ番組製作スタッフと続きます。まあやっぱり公務員系は多いですよね。日本政府とは繋がってますし、財団には政府を監視する役目もありますからどうしてもそうなります。後は土日・深夜に働いても不自然じゃない仕事が人気ですね。

さて、ここからは名乗っている人の少ない、珍しい職業をご紹介していきましょう。まずは、ヤクザ!これは珍しいですね。オモテの世界で名乗るためにオモテの職業を持つのに、名乗りづらい職業にしてたら意味が無いような気がしますが……。しかし考えてみたらヤクザは土日や深夜も働きますし、家族にも仕事内容は秘密という事で意外と財団職員に近いのかもしれません。

あとは、プロ野球選手?少なくともシーズン中はずっと表舞台にいる必要があるので、財団職員にはもっとも不向きな職業のような気がしますが……この方は、野球が特別収容プロトコルに組み込まれているオブジェクトの担当のようです。つまりプロ野球選手を騙っているのでなく、本当に財団職員兼プロ野球選手として働かれているのですね。

他に珍しいのは……あれ?これはどういう事だろう。1人だけ、「なし」と書かれた方がいます。無職を名乗っているという事ですかね?違うな、但し書きがしてある。何々、「私には家族も友人も恋人もいないので、職業を騙る必要が全くありません。よって、名乗るための職業は持っておりません」えーと、これは……人間関係を消すオブジェクトの影響という事なのですかね?それとも単に……やめましょうか。あー、しかし、オモテの職業が無いという方はいないと思いますよ。財団の給料は基本的に銀行振込ですし、振込人の名義を財団とする訳にはいきません。必ず何らかの一般企業や団体の名義を使っています。ですからこの方はオモテの職業を持っていないという訳ではありません。名乗る場が無いからご存じないというだけで……何のフォローにもなってませんね。

はい、そろそろ終了のお時間となってしまいました。いろいろ興味深い答えや、珍しい職業の方もいらっしゃいましたね。この財団Web放送局では、毎週水曜12時から職員の皆さんの疑問や悩みに答える放送をやっていきます。来週も、是非見てください!それではさようなら!


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  1. portal:2165171 (09 Jun 2020 11:32)
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