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出店やステージ公演が盛大に開かれるという祭りを目当てに鈴鳴神社を訪れた、その青年は。
もうすっかり暗くなっている、祭り会場の隅に──見慣れない、屋台を見つけた。
「あれ、あんなところに屋台なんてあったっけ」
彼は夕刻から、その祭りに赴いていた。そのため屋台を含め、大抵の出し物には一通り目を通していた筈だったのだが。ひとが二、三人ほど前に立てば見えなくなってしまうような、その小さな屋台は、全く自分の記憶になかった。
今までは誰かが前に立って屋台を見ていたから、気付かなかったのだろうか。いや、だとしても屋台そのものの存在には気付くだろうし。
そもそもあの屋台には、人が見に来ている気配などはどこにも無かった。
青年は、周囲を見回す。がやがやとした、祭りの喧騒。
少し袖の短い浴衣を着て、ぶどう飴をなめている少女も、違う色のシロップが掛かったかき氷を互いに交換しているカップルも。其処にいる誰もが、この屋台には目もくれずに歩いていた。
他の屋台からは少し離れた場所にある、ちいさな屋台に──気付いていないというよりは、認識の外にあるような、そんな風に感じた。
だからこそ、なのだろうか。
何となく興味を惹かれて、彼はその屋台の前に立った。
それは、覗きからくりと言われる出し物であった。箱状になった台に丸い孔が開いており、そこから片目を覗くと、レンズ越しに見えるとりどりの絵が移り変わる。
屋台の中は暗く、向こうにいるのであろう屋台の店主の姿は見えない。しかし。
声は聞こえた。
「さあさ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。御代は決して頂きません、少しの時間を戴きまする」
胴間声というほどでもないが、妙に通る男の声である。
声質は少しばかり高く、何となく若い男だろうと思った。
「ええ、聞くも涙、語るも涙。今日の外題は皆様ご存じの大悲劇。罪無き娘が涙ながらに罷るに及ぶ、悲しや悲しの物語にございます」
その口上を聞きながら、少し思案する。
金をとらないなら、ちょっと見てみても良いか。暇つぶしにはなるだろう。
僕は。
左目を閉じて、孔の中を覗いた。
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:2162119 (25 Apr 2019 15:20)
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