306号室の残夢

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SCP-XXX-JP内部、北東側の壁

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを含有するアパートメントは財団フロント企業によって買収されており、その一部区画が███地区で活動するエージェントのセーフハウスとして活用されます。SCP-XXX-JPの入口は施錠され、メンテナンス作業及び実験検証の際を除き、あらゆる人物の立ち入りを制限します。

Dクラス職員を用いた実験検証を行う場合、睡眠を行う被験者には可能な限り簡易拘束具を装着させる必要があります。また、覚醒直後の被験者に対する聴取は、常に1人以上の警備スタッフ付き添いの元で実施されなければなりません。

説明: SCP-XXX-JPは、京都府██郡███に位置するアパートメントの306号室です。常態的な居住が1ヶ月程度継続している場合、居住者の1人(以下、被験者)は不明な時期から、後述する"壁の中から聞こえる様々な音"(以下、異音)を報告するようになります。しかしながら、被験者以外に特筆すべき異音等が聞こえることはなく、異常な音源も室内及び周辺からは発見されていないことに留意ください。今までに報告された主な異音は、以下の通りです。

  • 携帯電話のバイブレーション音
  • ケトルが水の沸騰を知らせる笛吹き音
  • 激しいノック音、引っ掻き音
  • 被験者自身を含む、複数人分の悲鳴や叫び声

上記異音は共通して被験者の覚醒直後、室内北東側の壁より発生していると主張されます。また、被験者は異音の発生に際して激しく取り乱し、他者へと報告1を試みる他、"壁の中から音源を取り除く/壁の中に囚われている誰か(あるいは自分自身)を助け出すため"等の主張から、可能であれば当該の壁を破壊しようと試みます。

しかしながら、上記のような異音に関する主張・報告は、覚醒からほとんどの場合で10~30秒、最長でも300秒程度で撤回されます。そして、直前の自身の異常行動や取り乱していた理由に関しても、"寝ぼけていた"等の曖昧な説明を行うに留まります。以上の性質のため、被験者による壁の破壊が成功することはありません。なお、SCP-XXX-JP外で睡眠を行った場合に、被験者が異音の報告を行ったケースは今まで確認されていません。

SCP-XXX-JPは20██/██/██、相次ぐ306号室居住者よりの異音に関する管理会社への報告が財団の注目を引き、発見・回収へと至りました。調査の結果、今までに5人の居住者が異音を聞いていたと判明しました。その一方で、部屋を引き払った後のいずれの元居住者からも、身体的・精神的な異常や問題は確認できず、特筆すべき経歴も見受けられませんでした。

財団収容以前、SCP-XXX-JP内へと管理会社による訪問が度々行われていました。しかし、ほとんどの場合、上記のような居住者による"寝ぼけていた"等の回答のため、壁に関する詳細な調査は実施されていませんでした。それに加え、回収後に実施されたX線デバイスを用いた透過モニタリングにおいても、当該の壁内から異常な実体を発見できませんでした。

補遺1: 当初、被験者はSCP-XXX-JPの異常性によって、一種の幻聴症状に見舞われていると考えられていました。その一方で、異音を報告している際中の被験者の神経活動ログ解析の結果は、被験者が幻聴症状下や騒音環境等に曝されていないことを示唆するものでした。これを受け、各被験者の報告自体が虚偽であった疑いも持たれました。

しかしながら、追って実施された聴取や自白剤等を用いた尋問でも、被験者からの虚偽報告を行っていたとする自供は得られず、代わりに"寝ぼけていた"、"夢を見ていた"、"勘違いだった"等の典型的な回答が得られたのみに留まりました。現時点において、異音に関する被験者報告の真偽性を明らかにする確証は得られておらず、議論は一時的に中断されています。

補遺2: 以下は、20██/██/██の実験検証で行われた特殊尋問記録からの抜粋です。

インタビューログ███-█

被験者: D-81XXX(男性, 42歳)

担当者: ███████

付記: 尋問に際し、睡眠中の被験者を強制的に半覚醒させた上で、投薬を行って一種の酩酊状態に近い心理状態へと誘導した。なおこの手法は、事前研究にて"被験者意識の明晰度合いによって異音が聞こえ続ける時間も変化する"という可能性が示唆されたことから、尋問時間を延長する目的で実施された。


<記録開始>

担当者: さあ、起きてください。音は聞こえますか?

被験者: なんだ? 先生? [呻き声]あの壁だ。壁の中から聞こえる。

[被験者は身体をよじって起き上がろうとするが、拘束具により身動きが取れない]

担当者: 今日はどんな音が聞こえますか?

被験者: ああクソ、これは叫び声とか悲鳴だ。知らない男と女の声、それと俺の声も混ざっている。なあ、頼むからこれ、脱がせてくれよ。これじゃ、動けない。すぐに壁を壊さないと。

担当者: なぜ壁を壊す必要が?

被験者: [さらに身をよじらせる]なぜって、壁の中に閉じ込められているんだよ。たぶん、俺と、何人かが。

担当者: 変なことを聞くようですが、壁の中にも貴方がいるとは、どういう意味でしょう。

被験者: あっちは[唸り声]そうだ、夢の中で見たんだ。狭い場所、暗くて窮屈で、みんな行き詰まっている。

担当者: その夢について聞かせてください。

被験者: なあ、いいか俺は見たんだ。夢で俺と何人かが壁の中に埋まっているのを。だから、分かるだろ? あれは俺なんだよ、声だって俺だ。壁ン中でいたぶられている夢の俺が、現実の俺に助けを求めているんだよ。違いない。分かったなら先生、頼むから壁を壊させてくれ。[一層強く身体を揺さぶる]

担当者: どうか落ち着いて。質問が終われば、私たちも善処しますので。

被験者: ああクソ、分かった分かった。それで何が聞きたい。

担当者: では、夢の中の貴方が、壁に埋まってしまった経緯は分かりますか?

被験者: そんなもん、埋められたからに決まっているだろ。誰が好き好んで壁にハマるか。

担当者: 誰に埋められたのですか?

被験者: [唸り声]知るかよ。バカ長い時間も掛けて、ゆっくり俺を壁に引きずり込んだバカのことなんて。

担当者: いいでしょう。では、その人物について、他に説明できることはありますか?

被験者: そいつはあそこだ、それしか知らない。いや、むしろ、知りたくもない。[顎で壁の方を指す]

担当者: 壁の中? 夢の中で、貴方たちと一緒に閉じ込められているということですか?

被験者: ある意味そうだ、と思う。でも違うのは、あいつは夢の俺を擬餌にして、現実の俺を待っているんだ。だから言っているだろうが、俺は壁を壊して俺を助け出すんだ。[再び興奮し、身体を揺さぶり始める]

担当者: 落ち着いて、深呼吸をして冷静に。

[不意に被験者は静止し、10秒間沈黙]

被験者: あー、何? 何か言っていた? 先生?

担当者: はい?

被験者: いや、俺は[欠伸]夢を見ていたものかと。先生、何かあったのか?

担当者: [咳払い]意識が完全に覚醒したようです。終了しましょう。

<記録終了>

終了報告: 尋問終了後、改めて聴取が実施されましたが、被験者は自身の発言に関する一切の記憶を有していませんでした。また、同様の特殊尋問が追って複数回実施されましたが、多くは成功しなかったか、初回以上の情報を得ることはできませんでした。壁の破壊検証の必要性に関しては、議論が継続中です。



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