506号室の郷夢

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SCP-XXX-JP外観

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを含有するアパートメントは財団フロント企業によって買収されており、その一部区画が███地区で活動するエージェントのセーフハウスとして活用されます。SCP-XXX-JPへの入口は常に施錠され、メンテナンス作業及び実験検証の際を除き、あらゆる人物の出入室を制限します。

SCP-XXX-JP-αは基本的にSCP-XXX-JP内で収容され、担当職員が必要であると判断した場合を除けば、室外へと移動させることは許可されません。室外実験時、SCP-XXX-JP-αにはGPS装置と小型カメラを装備させ、実体の消失後は規定手順に従って再回収を実施してください。また、必要に応じて、SCP-XXX-JP-αに対する心理カウンセリング、もしくは投薬が許可されます。

説明: SCP-XXX-JPは、京都府██郡███に位置するアパートメントの506号室です。常態的な居住が1~4週間程度継続した場合、居住者の1人は解明されていない不明なタイミングで、後述するSCP-XXX-JP-αとしての異常性を獲得します。

SCP-XXX-JP-αは当該室内で睡眠を行う度に、数種の類似した内容の夢を経験します。覚醒後に記憶されていた内容の1例としては、「誰かと会話を弾ませる/お茶や食事を楽しむ」等の比較的ポジティブな展開・構成が報告されました。その一方で、全てのSCP-XXX-JP-αは上記のような夢の内容とは無関係に、漠然とした不快感の存在やストレスを覚える旨を主張します。

この継続する"悪夢"の経験から、大半のSCP-XXX-JP-αは"この部屋が何かに呪われている/憑かれている"と考えるようになり、SCP-XXX-JPから立ち退こうと試みます。しかしながら、後述する更なる異常性のために、この試みはいずれも成功しません。

SCP-XXX-JP-αが当該室外で睡眠を行った場合、当該実体は誰にも直視されていない状態下に置かれると、その場から不明な原因でもって即座に消失します。この消失現象は、あるケースでは観測者の瞬きの間に発生した他、ハイスピードカメラを用いた検証時には11000フレーム/秒という瞬時的な速さでの発生が観測されました。

消失から一定時間の経過後、SCP-XXX-JP-αは上記アパートメント周辺で再発見することが可能になります。この際、当該実体は共通して、夢遊病患者と概ね酷似した挙動を見せます。第三者によって覚醒させられることなく、この夢遊病状態が看過され続けた場合、実体はSCP-XXX-JP内へと自発的に帰宅し、最終的に自室のベッド/布団の上に横たわって行動を終了します。

上記のような挙動・状態にもかかわらず、アパートメント周辺以外で消失後のSCP-XXX-JP-αが発見・目撃されたケースはありません。また、GPS装置を用いて消失後の現在位置・移動ルートを確認した際には、消失地点から徒歩と同程度の速度でアパートメントへと向かう様子が確認できた一方、GPS装置が示す現在位置座標にて実体を観測することには成功しませんでした。

更に、夢遊病状態からの覚醒後、ほぼ全てのSCP-XXX-JP-αは共通内容の夢の経験を報告します。これら報告より、その主要な内容は、"奇妙/危険な場所へと迷い込んだ自身が、安全地帯まで逃避行する"という旨の展開のみで構成されていることが確認されました。なお、複数の検証試行より得られた報告内容を考慮した結果、"各SCP-XXX-JP-αは自身の消失地点からアパートメントまでの帰路を、夢の中で異なる描写・構造へと変換した上で再認識している"と考える説が現在では有力視されています。

20██/██/██当初、当該アパートメントは別オブジェクトの収容及び隠蔽サイトとして活用するため、財団が既に買収している状態でした。中でも、506号室は実験要員となるDクラス職員宿舎の1つとして利用されており、結果的にSCP-XXX-JPの異常性発覚、収容に繋がりました。なお、収容以前での506号室に関する不審な報告例や異常の兆候は一切確認されておらず、アパートメント買収時点で当該室には10年以上居住者がいない状態でした。

付録: 20██/██/██、消失中のSCP-XXX-JP-α捜索・追跡を目的とした初期実験が行われました。実験に際し、被験者にはGPS装置と小型カメラが装備され、当該アパートメントから5km程度離れた位置で意図的に消失現象を発生させました。

実験の結果、GPS装置の移動履歴は、被験者が"明らかに不可解なルート"を通ってアパートメントへと帰還していた事実を示しました。また、カメラが記録した映像は、概ね画面の暗転やスノーノイズにより認識不可能でした。その一方で、認識可能な一部映像からは、撮影位置には存在しなかったはずの光景や物体の姿も確認されました。なお、上記移動ルートや映像の光景は、被験者が実験後に報告した夢の内容と、概ね符合していた点に留意ください。

映像ログXXX-JP

被験者: D-XXX002

付記: 以下は、対象者が506号室へと帰還するまでを撮影した映像記録(全4時間37分)の中でも、比較的に認識良好な映像範囲を抜粋したものです。


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抜粋画像01: 路地裏

抜粋区間01: 《00.27.36 ~ 00.30.07》

位置座標情報より、被験者は同時間帯、消失視点から約500m進んだ位置にあるビル群の路地裏を歩行している。映像に一部劣化が生じている点を除けば、記録された建造物や描写は、実際の光景と概ね一致している。

映像からは、被験者の視線が頻繁に、ビルの谷間から覗く上空へと向けられている様子が確認できる。見た目上、空は微かに曇っているようだが、当時の時刻(午後2時)とは無関係に、周囲は一定の明るさが保たれている。

しばらくすると被験者は歩行を停止し、空を見上げ続けるようになる。この状態が数秒継続した後、空に不鮮明な影像が確認され、直後に被験者の視点が素早く地面へと向けられる。

以降、映像が再び不鮮明に戻るまでの間、被験者が地面に視点を向けた状態で小走りに路地裏を進み続ける。


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抜粋画像02: コンテナ群

抜粋区間02: 《01.44.11 ~ 01.51.54》

位置座標情報より、被験者は同時間帯、消失視点から約2000m進んだ位置にある商店街を歩行している。しかしながら、映像に記録された光景は実際のものとは異なり、シャッターが下ろされた不明な建造物・コンテナ群が映し出されている。それに加え、この区間内の映像は、赤褐色のフィルターに常時覆われ続けている。

被験者はいくつかのシャッターを叩いているが、それに対する反応や変化は確認できない。この試行は5度繰り返される。

不意に被験者が振り向き、視点が変わる。映像から、先ほど被験者が叩いていたシャッターの1つが、僅かに開いていることが確認できる。しかし、その隙間から中を識別することはできない。

直後に被験者は走り出し、映像は再び不鮮明な状態に戻る。


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抜粋画像03: トンネル内

抜粋区間03: 《03.18.21 ~ 03.40.58》

この時間帯の前後にて、被験者の位置座標情報は一時的に途絶えている。被験者が直前に、消失視点から約3500m離れた上下水工事現場に位置していたことから、下水道などの地下設備内を移動していた可能性が考えられている。なお、映像にはトンネル内を進む様子が記録されていたものの、近隣での酷似する構造物は確認できていない。

この区間の映像は他よりも比較的鮮明であり、トンネルの天井から何かの皮膜が垂れ下がっていることが見て取れる。また、被験者が懐中電灯等の出自不明な光源を、手に持っていることも分かる。しかし、次の映像の暗転後、当該の光源は失われる。


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抜粋画像04: エレベーター内

抜粋区間04: 《04.02.54 ~ 04.15.32》

被験者は同時間帯、当該アパートメントのエレベーター内に夢遊病状態で存在しており、1階から5階へと実際に移動している。それにもかかわらず、記録されていた映像の光景や行動が、実際のものとは異なっていた点には留意が必要。映像でも被験者はエレベーター内に存在しているが、実際のアパートメントに存在しない階層のボタン類が確認できる。

実際に被験者を載せたエレベーターが目的階へと到着するものの、被験者は下りる様子を見せない。一方で、同時間帯の映像側のエレベーターは未だに上昇を続けている。また、エレベーターが停まる目的階は、被害者の視点からは識別できない。

13分程度経過した時点で映像側のエレベーターは不明な階に停止するが、被験者は下りる様子を示さない。被験者はエレベーターの外へと頻繁に視線を配りつつ、閉ボタンを何度も押し続けている。直後、映像が暗転する。


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抜粋画像05: アパートメント廊下

抜粋区間05: 《04.28.47 ~ 04.30.05》

被験者は同時間帯、当該アパートメントの5階廊下に夢遊病状態で存在しており、506号室へと向かって歩行を続けている。映像に記録されている光景は、現実の廊下構造と概ね一致している。その一方で、不明なフィルターで映像全体が覆われているだけでなく、異なる形状の廊下の映像が"重なる"ように映し出されている。

日が昇り始め、実際の廊下は明るくなり始めているにもかかわらず、劣化を考慮しても映像に記録された廊下は全体的に薄暗いことが見て取れる。それに加え、複数の照明器具が頻繁に明滅を繰り返している。

しばらく歩行を続けた後、被験者は506号室前へと到着する。そして、玄関扉を解錠して帰宅すると、ベッド上で横になった。この一連の動作中、映像では玄関扉が自発的に開く様子が記録されており、そこから続く室内は非常に暗く、一切識別できない。映像側で被験者が室内へと一歩踏み出すと、以降の映像にはスノーノイズのみが記録されていた。

追記1: 20██/██/██、SCP-XXX-JP研究規模の暫時的縮小が決議され、後続研究班への資料・データ引継ぎ作業が実施されました。しかし、その作業中、データ移行担当者はローカルフォルダ内よりSCP-XXX-JPに関連する非公式的なインタビューログを発見しました。このログデータに関して、SCP-XXX-JP研究に携わったいずれの職員も、その存在を把握していませんでした。

解析の結果、当該ログは財団によるアパートメント買収が決定した時期に記録されたものと判明しました。更にその内容は、"506号室の住人"を自称してアパートメントからの立ち退きを拒否する女性と、当時アパートメント買収計画の実行担当者の1人であったエージェント・██の間で行われたと思われる電話を介した会話でした。以下は、インタビューログからの抜粋です。

<ログ開始>

インタビュアー: 立ち退きを拒否なされている理由について、改めてお話しいただけますか。

対象者: いえ、だから、私は別に立ち退きたくないと言っているのではなくて。ただ、どうやっても、この部屋から引っ越すことができないと、そう言っているんですよ。

インタビュアー: つまり、引っ越したくても引っ越せない理由があると。

対象者: それも既に説明しました。この部屋は呪われている。私は、部屋に囚われているんだと。

インタビュアー: では、その呪いについても、改めて聞かせていただけますか。

対象者: いいですか、呪いのせいで、私はこの部屋外へと出られないんです。外に出たと思っていても、何の前触れもなく意識が遠退いて、気が付けば部屋のベッドの上で目を覚ます。いつもこの繰り返し。

インタビュアー: その現象について、家族や知人等、誰かにご相談されたことは?

対象者: ええと、多分話したはず。確か、いえ待って。ああ、分からない。

インタビュアー: 落ち着いてください。

対象者: ごめんなさい。前に数回、実家の親に相談したはず、だったのに。あれも悪夢の出来事?

インタビュアー: すみません、悪夢とは何の話でしょうか?

対象者: あの、この部屋に越して来てから、変な夢を経験するようになったんです。夢の中には、故郷に似たどこか懐かしさを覚える風景や、家族や古い友達なんかも出てきて。私はこの部屋で眠る度に、そんな夢の中で、夢の中に出てくる知り合いとの穏やかで静かな時間を過ごしているんです。

インタビュアー: お話を聞く限り、悪夢と言える内容には思えませんが、何か理由が?

対象者: ええ、私も最初は嫌ではなかったですし、故郷を離れてホームシックになったのか、なんて軽く考えていました。だけど繰り返す内に、夢の中の風景や出来事が、上手く似せただけで、どこか上っ面だけの気持ち悪い感じに思えてしまって。そうしたら、気が付いてしまったんですけど。ええと、あの。

インタビュアー: 大丈夫です、続けてください。

対象者: その、私は今、本当の自分の故郷のことを、詳細に思い出せないんです。いいですか、夢の中の故郷で、夢の中の知人と過ごす度に、私の本当の故郷の思い出が塗り潰されて行っている。だから思ったんですよ。呪われたこの部屋が、私を捕らえ続けていたがっている。外で起こる出来事も、私への罰なんだって。ああそうか、つまり私は、部屋を怒らせてはいけないんだ。

インタビュアー: どうか落ち着いて。では、これよりお部屋の方に伺ってもよろしいでしょうか? 弊社の方で、いくつか部屋の確認や検査をさせていただきたいと思いますので。

対象者: ええと、分かりました。お願いします。

インタビュアー: それでは、これより506号室へと向かいますので、暫くお待ちください。

<ログ終了>

追記2: 現時点において、インタビュー対象者であった女性の再発見には成功していません。また、エージェント・██もインタビューへの関与を否定し、ログ内での遣り取りは一切記憶にないと主張しました。なお、上記説明でも述べられている通り、506号室は財団によるアパートメント買収時点で、10年以上居住者が存在していなかった点に留意ください。調査は継続しています。



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