理由なんてクソくらえ！

管理官、お話があります

勢い億扉を開け、執務室に突然乗り込んでくる博士、そのすぐ後ろに秘書が続く

も、申し訳ありません、お止めしたのですが

いや、気にしないでくれ

それで博士、これで何度目だ

いいえ、何度でも言わせてもあります

バケモノたちと一緒に働けない、普通の職員は居ないのですか？

あんなの、オブジェクトと何ら変わりない

異常性があれど、理由があるから彼らは財団に雇用される

ある者は、高い忠誠度を示し、自ら檻に繋がれながらに財団へと貢献することを

ある者は、何十もの制約、制限を承知で研究に携わることを

そして何より、そんな多重の制約を強いてでも、我々の活動には彼らの知識と技術が必要なのだ

理由がなんだって言うんです、そんなものクソくらえだ

奴らといるだけで胸がむかついてくる、危険な隣人など、研究にも集中できない

どんな理由があろうと、気味が悪いものは気味が悪い

そうか、それは残念だ

だが、私たちの方はこんなにも我慢しているというのに

多くの者は「二足歩行の猿みたいなバケモノ」と働くなど気色が悪いと思っているが、それを我慢しているのに

なんですって

袖をめくるとそこには錆びついた発条の腕

背後には頭部が眼球に置き換わった男

気付いていなかっただろうが、君はすでに少数派なのだよ

そんな少数派の君が、未だに財団に居られることにも理由がある

しかし、君は「理由なんてくそくらえ」という、さてどうしたものか

[博士は謝罪して帰って行った]

良かったんですか？

そういって、目玉のマスクを脱ぐ

自分も錆鉄の右腕を、肌色の右手で外す

愚か者を懲らしめるジョークに、理由なんて必要かな？

マスクを顔に当て、苦笑いを隠した

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