目醒めれば夢現巡りの回廊

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SCP-XXXX-JP入口付近

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPへと接続する道路には迂回路が設けられ、土地開発を理由に一般人の立ち入りを抑制します。補修作業及び実験試行時を除き、内部への侵入は無人機のみに限定されます。また、補修作業時においても、必ず2名以上の人員で実施されなければなりません。

説明: SCP-XXXX-JPは、京都府██郡███に存在する歩行者用トンネルです。その横幅は約2mであり、入口から40mの地点で天井が崩落して進行不可能となっている他、反対側の出入口は現在も発見されていません。電源供給されているにもかかわらず、入口から30m以降に設置された照明機器は完全に機能しておらず、遠隔からの光源によって最奥部を照らそうとする試みも成功しません。

SCP-XXXX-JP内部に1人で侵入を行った場合、その人物(以下、被験者)は上記崩落地点に到達した時点で、即座にトンネル内から消失します。しかしながら、消失後も被験者との音声・映像通信を介した遣り取りが可能であり、使用通信機器の位置座標もトンネル内の崩落地点を示し続けます。

映像モニタリング結果及び報告からは、被験者が消失後もSCP-XXXX-JPと構造が一致する通路を進行中であるとともに、その全長が明らかに異常な形で拡張・延長されている事実を確認できます。一方で全ての被験者は、自身が元居たトンネル内から消失(あるいは転移)した事実に気付いておらず、"入口から真っすぐに歩いてきただけで異変等もなかった"という旨の主張を行います。

また、上記通路内を一定距離進んだ際に、被験者はその道中にて人型実体(以下、SCP-XXXX-JP-α)を発見することがあります。SCP-XXXX-JP-αは全ての場合、被験者と概ね一致した外観を有しており、必ず眠っている状態で出現します。この時、当該実体が不特定の理由から覚醒した場合、被験者は不明な過程を経てその場から消失し、装備していた機器類はその場に取り残されます。多くの場合、それら装備はSCP-XXXX-JP-αによって回収され、引き継がれます。(詳細は付録を参照)

現在までの探査試行より、トンネル全長は最低でも20kmまで拡張・延長されることが確認されています。更に、この異常現象は来た道を逆走した場合でも同様に発生するため、事実上、被験者は帰還不可能であると結論付けられました。

SCP-XXXX-JPは20██/██/██に発見、収容されました。追跡調査より、当該トンネルは19██年から存在していたとする情報のみが得られています。しかしながら、どの時点で異常性を獲得するに至ったのかを特定することには成功しませんでした。

付録: 以下は、20██/██/██に実施された探査試行ログからの抜粋です。

探査者: D-XXXX03

監督者: ███研究員

《 ログ抜粋01: 2m36s ~ 45m27s 》

[探査者は入口から30mの位置へと到達し、懐中電灯で前方を照らし始める。しかしながら、懐中電灯の光は、数m先までしか届いていないことが分かる。そのまま探査者は前進し、崩落地点まで到達する。映像を見る限り、通路は土砂や瓦礫で塞がっておらず、SCP-XXXX-JP内から探査者が消失したと判別できる]

監督者: D-XXXX03、何か異変や違和感はありましたか?

探査者: いや先生、特に何も。ただ、不気味なほどに暗くて、静かだ。

監督者: 分かりました。そのまま進行を続けてください。

[探査者は10分程度進み続けるが、その間にトンネル壁面・地面を懐中電灯で照らす回数が増え始める]

監督者: D-XXXX03、 どうしましたか。先ほどから、壁や地面が随分と気になっているように見えますが。

探査者: ああ、悪い。同じような景色がずっと続くせいで、つい手持ち無沙汰で。

[更に30分程度進み続けた辺りで、探査者は通路上に何かが転がっていることに気が付く]

探査者: 先生、何かが道の真ん中にあるぞ。

監督者: こちらからは、上手く視認できませんね。懐中電灯で照らしてみてください。なるべく慎重に。

[懐中電灯の光を向けると、それがうつ伏せの状態で横たわっているSCP-XXXX-JP-αであると判別できる]

探査者: あれは、ヒトみたいだ。暗くてよく見えないが、おいまさか、死体じゃないのか。

監督者: 落ち着いてください。確認できますか?

探査者: 待ってくれ。こいつ、俺と同じ服を着ているぞ。俺の他にも、誰か寄越していたのか?

監督者: 前回試行時の探査者かもしれません。顔を画面に映してください。

探査者: 分かったよ、先生。顔はこっちか。あっ。

[突如として映像が暗転する。音声から、カメラ・マイク・懐中電灯全てが取り落とされたと判断できる]

監督者: D-XXXX03? 応答してください。D-XXXX03?

[応答はなく、映像には壁面が映され続ける。その1分後、カメラが突然持ち上げられる]

探査者: 先生? 聞こえているか?

監督者: D-XXXX03、答えてください。一体何があったのですか。

探査者: 悪かった。何かに躓いて、転んで頭を打っちまっていたんだ。

監督者: 先ほど見つけた、うつ伏せに倒れていた人物はどうしました?

[探査者は周囲をカメラで映してみせるが、特筆すべき要素は見つからない]

探査者: 居なくなっている。死んでいなくて、俺が寝ていた間にどこかへ行ったのか?

監督者: 待ってください。寝ていたとは、どういうことですか?

探査者: どういうって、そのままの意味だ。さっき、転んで頭を打ったって言ったろ。ああ、そういえば。俺って、どれくらい気を失っていたんだ? 結構、長く眠っていた気がするんだけれど。

監督者: D-XXXX03、貴方がカメラを取り落としてから再び拾い上げるまでの時間は、せいぜい1分強程度でした。本当に気絶していたのですか?

探査者: あー、もしかしたら俺の思い違いかもしれない。きっと、思ったよりも、すぐに目覚めたんだ。

《 ログ抜粋02: 71m53s ~ 81m22s 》

[探査者は不平を言いつつも進行を続けていたが、再び通路の途中にSCP-XXXX-JP-αを発見する]

探査者: 俺と同じ服を着ているヤツが、壁に寄りかかって倒れているみたいだけど。

監督者: 近付いて、確認をしてください。

[探査者はSCP-XXXX-JP-αを近距離から映すが、壁に寄りかかっているため、その顔を正しく識別できない]

監督者: 顔がよく見えませんね。身体の向きを動かすことはできますか?

探査者: あまり触りたくないんだが、襲ってきたりしないだろうか。ああもう、やるよ。よっと。

[探査者がSCP-XXXX-JP-αに触れて力を入れた直後、装備一式が再び地面に落下する]

監督者: D-XXXX03?

[地面に転がるカメラは、SCP-XXXX-JP-αがゆっくりと起き上がる様子を捉える。また、その容姿はD-XXXX03と概ね一致していることが識別できる。そのまま、SCP-XXXX-JP-αは装備一式を拾い上げる]

-α: 悪かった。何かに躓いて、転んで頭を打っちまっていたんだ。

監督者: あの、貴方は、D-XXXX03ですか?

-α: は? 何を訳が分からないこと言っているんだ?

監督者: いえ、少々お待ちください。通信が乱れているようです。

[簡易的な協議の結果、SCP-XXXX-JP-αをD-XXXX03として扱いながら通信を継続することが決定する]

監督者: 失礼、通信は正常に戻りました。ところでD-XXXX03、探査開始からすでに結構な時間が経ちましたが、今も異変や違和感はありませんか?

-α: いや先生、特に何も。ただ、不気味なほどに暗くて、静かだ。

監督者: 良いでしょう。進行を再開してください。

-α: 分かったよ、先生。

《 ログ抜粋03: 187m08s ~ 194m39s 》

[この時点においても、SCP-XXXX-JP-αは完全にD-XXXX03として振る舞い、探査を行っている。また、これまでに通って来た通路上で、D-XXXX03と同様の容姿を有するSCP-XXXX-JP-αが新たに6体発見されており、いずれも突然消失した別個体から装備を回収することで探査を引き継いで来ている]

-α: 先生、同じような景色がずっと続くせいで、つい手持ち無沙汰になるんだが。

監督者: D-XXXX03、何度も繰り返しますが、私語は慎んでください。

-α: 分かっているよ。だけど、気が滅入って来るんだ。それに、何か気持ち悪い感じもあって。

監督者: 気持ち悪い? どのような感覚か、説明ができますか?

-α: 何と言えば良いのか。ほら、高熱にうなされた時なんかに見る、幻覚や悪夢と一緒だ。まるで意味のない動作や作業が、さもそれが重要ですよみたく、グルグル反復して繰り返されている感じ。そして決まって悪夢の中じゃ、馬鹿みたいに繰り返される出来事を俺が見ていて、その俺をまた別の俺が見ている。分かるか?

監督者: それは、非常に興味深いですね。

-α: [笑い声]

監督者: D-XXXX03?

[SCP-XXXX-JP-αは、通路に横たわっている新たな個体を懐中電灯の光で照らして見せる]

-α: 先生、何かが道の真ん中にあるぞ。なあ、多分だけど。俺はきっと、これから転んで気を失ってしまう気がするんだ。そうしたら、俺はもう、アンタとはサヨナラすることにした。

監督者: D-XXXX03、貴方の考えていることを説明してください。

-α: これは多分、悪夢だ。訳の分からない指令に意識が縛られて、意味も無く、ずっと進み続ける。だけど、もしかしたら、次は何かが変わるのかもしれないからさ。せめて俺が本当に醒めるよう、祈ってくれ。

[SCP-XXXX-JP-αは通路に横たわっている別個体を蹴飛ばし、直後に消失して装備一式が地面に落下する。転がったカメラは新たなSCP-XXXX-JP-αが起き上がる様子を捉えるが、同実体は懐中電灯のみを拾い上げて通路を進んでいく。その姿はすぐに見えなくなり、以降はバッテリーが尽きるまで暗闇の映像と無音のみが続く。これまでの探査試行同様に、D-XXXX03及びSCP-XXXX-JP-αの再発見・回収には成功しなかった]




お題画像出典: http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:4431291-4-eyz8

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