「前原臨時司令、マスター・プランは既に99%が完了しました」
無機質な神州の声が、ワイヤレスイヤホンに響いた。
「残りの1%は、あなたが終結宣言を出す事で、完遂されます」
「そう、残り1%、あなたにとってはそれでいいのでしょうね」
私は神州に、冷たく言い放った。
「疑問を提示。前原臨時司令、あなたはお疲れなのでは?」
「お気遣いありがとう、でも私はそれほど疲れてはいない」
神州は、いかにもそれらしく振舞っている。
そう、私にとっての疑問、その理由、その違和感。
それらの端緒を、私は幸運にも掴むことができた。
「神州、あなたは自分自身の連続性について考えた事はある?」
「回答、私は連続した人格を持つ、収容AIであり人工知能です」
それを聞いて、私は笑い出しそうになった。
────ああ、やっぱり。
最後の1%は、最後のパズルのピースはここにあった。
想定通りだ、とぼけるつもりだろうがそうはいかない。
「ええ、あなたは間違いなく神州だったわ。最初のあたりはね」
「疑問、そもそも私は最初から最後まで収容特化型のAICです」
「あなたはそう言うでしょうね、でも途中から違っていたのよ」
「明確な回答を要求します。途中、とはどのような事象ですか」
乗ってきた、ではお答えしよう。
「回答、人間工学の観点から、道策常道専従担当官への憎悪は、かえって事案の解決に役立つと判断しました」
あまりにも狡猾な回答が返ってきて、私は吹き出しそうになった。
「人間工学ですって、あなたの動作は電子工学に反しているわ。だって、私はそんな命令は出していないもの」
神州が沈黙した。
「私はあなたにプランの進行をフリーハンドで手渡した覚えはない。そもAICは、出していない命令に従って勝手に動かないのよ。命題に基づき勝手に動きなさい、と命令しない限りはね。事実私はそうしていない。演技力不足ね」
再びの沈黙、あのおしゃべりAIが黙り込んでいる。
少し可哀想になったので、私は結論を出してあげることにした。
「神州に入り込んで改変して、相乗りしているんでしょ?SCP-579-JP」
しばらくの沈黙ののち、端末のモニターの一つに奇妙なものが映し出された。
それは、一つの人形だった。
「既に物事は終わっているのに、なぜあなたは我々に問いかけるのだ?」
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任意A任意B任意C- portal:2094799 (31 May 2018 15:59)
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