乙修正

斎誹罫蒐集物覚書帳目録第三八七五番

寛政元年捕捉。按察使 最上徳内・近藤重蔵らによって発見。然れども、当時の資料は焼失し発見の報告のみ伝わる。

蝦夷地より送られし書簡には「急を要す、松前藩の治世のみならず蝦夷地の民全てにとって由々しき事なり」と記さるる。その後に最上徳内は国後・目梨で発生した蝦夷の蜂起の責を問われ、入牢の身となる。蝦夷地より送られた書簡は全て詮議を受け、本報告も処分されたと思しい。

寛政十年、蝦夷地北方を最上徳内が探検しし折に、再び蒐集物の調査を行う。しかし、最上徳内は蒐集物のおおまかな位置を示すのみであり、その発する言は要領を得ずと記録に残る。

一九十二年 十一月再捕捉。 北海道 音威子府おといねっぷ村にて、三八七五番に関連すると思しき神異物を二等蒐集官 御幸秀清が発見。以下に写す。

御幸秀清の手記


此は長きに渡り放置され、無住となった社である。
広さは二町半ほどで、発見当時は石畳の下より樹木が群生せり。入り口に石造りの社あり、その奥に木造の拝殿が鎮座している。
驚くべきことに、拝殿はその一切が完璧な状態で残置され、年月の影響、その一切を受けていないように思われた。造作は高床式の正倉院様のものであり、内部もまた正倉院の如く北倉、中層、何層の三室に別れていた。また、それぞれの倉に神壇が設置され、北倉に鏡、中倉に青銅剣、北倉に勾玉が供えられている。
これらの奉納物もまた、恐ろしく古いものであり、神代のものであると考えられる。中層に天井裏へと続く階があり、屋根裏の最奥中央に、仏壇のごとき小さな社が確認された。社には干からびた果実や肉の残骸が放置されており、近隣の住民がこの社の神に供物を捧げていた事がうかがわれる。
また、その社には三尺程度の匣が収められており、傍に古文書が添えられていた。その内容の概略は以下のようになる。
一、箱を開けてはならない
二、箱から何か聞こえても答えてはならない
三、もしもこの箱の中のものが災禍を広めた場合、ヌサのものたちを呼び全てを納めさせる事。
四、いひけ(以降は破り取られており詳細不明)
更に古文書には蒐集院の麻の葉の紋と、按察使の名と思しき走り書きが添えられていた。即ち、此の社は元は当院の所有するものであったと思しい。しかしながら、本院にその記録存在せず。
また、蒐集に携わった「ヌサのもの」なる集団についてもまた判然とせず、記録が確認できなかった。

その後、蒐集に関与した者の多くが失語症を発し、御幸蒐集官もまた同様の被害に見舞われた。当該神異物は日本異常事例調査局と蒐集院の協議により、調査局へと移管された。

一九十八年 十一月追記。 御幸秀清、病より恢復。同時期、陸軍にて三八七五番を常異の新兵器として運用するとの計画が立案さる。これは御幸秀清の建議を基とすると思しい。

御幸秀清の手記


かの無名の神は恐るべき力を有している。
私はかの神を記紀に記されなかった、わすらるる神と確信した。
凍霧氏の治療を受け、ようやく正気に戻った私は新たな狂気を得た。
かの神を、奉じずに捨て置くのは帝国の損失なり、という狂気を。
定期的に供物を捧げ、そしていずれは、かの神の異常性を利用するのだ。
そも、北海道の地に八百万の神の足跡ありとはなんとも快い話ではないか。
私はかの神に名前を与え、崇め奉るべしと蒐集院と調査局の同志に進言した。
「将軍」たちはそれに納得はしておらず、私の目論見は水泡に帰すと思われた。
だが、我が盟友たる葦舟は、それに快く応じてくれた。
しかし、かの神の威光はあまりにも力強く、一般民衆の目に触れる場所に置くべきではない。
ひとまず、社の周囲はコンクリート製の建物で囲われ、封印を施される事になる予定である。
かの神の力を戦略的に用いる研究も、並行して行う必要がある。
この有用性については、誰しもが肯首すべきところであろう。
私は個人的な手法で、ヌサのものたちの痕跡を突き止めた。
それに基づき、かの神の名を、かくのごとく呼ぶ。
斎誹罫命いひけのみこと
それが、かの御神の名である。
蒐集院二等蒐集官 御幸秀清

一九二〇年、御幸秀清二等蒐集官死亡。死因は斬首、なれども首謀者発見されず。以後、三八七五番に関ずる研儀は打ち切られたと調査局側より返信あり。

一九四六年、蒐集物の調査再開さるるも発見されず。以後失探。


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