信じられるのは貴女だけ

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-81██の人型実体居住用セル内に2体揃った状態で収容されます。実験等、何らかの理由でセル外に出す際は2体同時に行動させるよう徹底してください。現在、SCP-XXX-JPは両者とも収容に対し概ね協力的です。この状態を維持するため、収容担当職員の指示のもと、亜現実-XXXについての虚偽の情報を伝えてください。

1週間に1度、SCP-XXX-JPに対し精神科医によるカウンセリングが行われます。SCP-XXX-JPは互いに強い依存状態にあると見られ、限定的な反ミーム性を持つ知性実体に対する心理学・精神医学的アプローチの貴重なサンプルとして記録・保存されます。

説明: SCP-XXX-JPは、SCP-XXX-JP-AおよびSCP-XXX-JP-Bとして指定される、2体の人型実体です。SCP-XXX-JP-Aは古賀美里、SCP-XXX-JP-Bは松尾舞香という氏名を自称し、共に███高等学校に所属する学生であると主張していますが、該当する人物の記録はなく、該当する名称の教育機関も日本国内に存在しません。

各実体の身体的特徴は一般的な10代後半の日本人女性と概ね一致していますが、2008年の収容以降、加齢の兆候を示していません。それにも関わらず、SCP-XXX-JPに対する身体検査の結果は、一般的な女性との間に明確な差異を示さないことが判明しています。

SCP-XXX-JPは限定的な反ミーム性を有しており、この性質はSCP-XXX-JPを観測する全ての人物及び記録機器(以下、観測者)に対して作用します。SCP-XXX-JP-AとSCP-XXX-JP-Bの距離が約7m以上離れると、両実体は観測者から認識不可能になります。この間、SCP-XXX-JPだけが互いを認識することができるとされています。また、両実体が離れていない場合であっても、観測者はSCP-XXX-JP-AまたはSCP-XXX-JP-Bのどちらか一方しか認識することができません。この際、認識可能な実体がどちらであるかは不定期に切り替わります。

SCP-XXX-JPは2008/8/██、東京都██区███において、「消えたり現れたりする女子高生」についての報告があったことから収容に至りました。SCP-XXX-JPの出現は我々が存在する現実(基底現実)とは異なる現実(亜現実-XXXと指定)からの転移であったと推測されています。詳細は補遺を参照してください。

補遺1: インタビュー記録

対象: SCP-XXX-JP-A、SCP-XXX-JP-B

インタビュアー: ██博士

備考: SCP-XXX-JP収容から3日後に実施された。

<録音開始>

インタビュアー: こんにちは、SCP-XXX-JP-A。

SCP-XXX-JP-A: んー、まだ番号呼びは慣れないなあ。こんなことになっちゃった以上仕方ないけど。

インタビュアー: ご理解感謝します。

SCP-XXX-JP-A: それよりさ、私たちいつになったら家に帰れるの？この特異体質的なのが治ったらちゃんと家に帰してくれるんだよね？

インタビュアー: ええ、もちろん完治すれば…ですが。

SCP-XXX-JP-A: 治療法見つけるためだったら色々協力するからさ、この子もそう言ってるし。

インタビュアー: それでですね、その、あなた達の氏名と所属について我々の方で調べさせて頂いたのですが、どうにも不可解な点が多くてですね。

SCP-XXX-JP-A: はぁ？私は古賀美里、この子が松尾舞香。2人とも███高校の2年。それで何か文句あるわけ？

インタビュアー: あなた達の情報に合致する人物の記録は見つかりませんでした。そして███高校という教育機関は存在しません。

SCP-XXX-JP-A: え？なにそれ。意味わかんないんだけど。…ちょっと舞香落ち着いてよ。

インタビュアー: 大丈夫ですか？続けますよ。

SCP-XXX-JP-A: 舞香が「悪い予感が的中した」って…。

インタビュアー: …続きは後にしたほうがいいかもしれませんね。

<中略>

インタビュアー: 先程までのお話は聞いておられましたね？「悪い予感」についてお聞かせください。

SCP-XXX-JP-B: はい。まず、いきなり九州の山の中から東京の街中に移動したわけですから、これは普通じゃないと思いました。それで、ビルの広告にいくつか名前も聞いたことのない企業があったので、なんと言いますかその、SFの読みすぎと言われるかもしれませんけど、「違う世界」に来てしまったのではないか…みたいな。

インタビュアー: ええ、我々もその可能性を考えています。転移した時のことを詳しくお話ししてもらえませんか。

SCP-XXX-JP-B: オカルト部のことは前に美里ちゃんが話したと思うんですけど、うちの部長が夏休みに活動レポートを書いてこいって言ったんです。9月にある文化祭で発表しようって。

インタビュアー: 活動レポートですか。

SCP-XXX-JP-B: 他の部員達は心霊スポットとかUFOを呼ぶ儀式とか色々やってました。夏休みも終わりに近づいていましたし、私たちも負けてはいられないと思って、廃墟探索に出かけたんです。きっとそこがポータルみたいなものだったんだと思います。

インタビュアー: その廃墟の詳しい位置を教えてください。

SCP-XXX-JP-B: えっと確か、██山の中腹辺りの…地図描きましょうか？

<録音終了>

終了報告書: ██山の調査の結果、該当するような施設は存在しませんでした。現在、時空物理学者のチームによって現実間転移の可能性が模索されています。

補遺2: 亜現実-XXXについての記録
2010/5/██、亜現実-XXXとの接触に成功しました。亜現実-XXXにおける基底現実の財団に相当する組織(亜財団-XXXと呼称)との通信が確立され、SCP-XXX-JPについての情報が得られました。以下はそのリストです。

• SCP-XXX-JP に該当する人物は現在も亜現実-XXXに存在している(記憶や同一性の共有は見られない)。そのため、単なる現実間転移ではないと考えられる。ただし、基底現実のものとほぼ同一の異常性を持っており、関連性は強く疑われる。
• SCP-XXX-JPの認識可能/不可能状態の不定期な切り替わりは、亜現実-XXXにおける切り替わりとちょうど反転した状態で同期している。
• ██山を調査した結果、廃棄された建造物が発見された。この建造物は亜財団-XXXが要注意団体に指定している組織が使用していたものと考えられる。内部で時空間異常の痕跡が発見された。
• ███高等学校オカルト部についての調査は、組織そのものは非異常性であることを示している。
• 亜財団-XXXは財団と友好関係を持ちたいと考えているが、他の多くの超常組織は基底現実に対し敵対的な思想を持つ可能性が高い。基本的にこれ以降の亜財団-XXXとの接触は避けるべきである。

補遺3: 申請記録 20██/█/██

SCP-XXX-JP両個体への記憶処理の許可を申請します。現在SCP-XXX-JPは収容初期と比べ、著しく非協力的です。その反ミーム性から収容違反が発生した場合の被害は予測がつかず、早急に手を打つべきかと思います。心理学的データは一通り取得できましたので、記憶処理による収容状態の改善を提案いたします。ガスを用いれば認識できない相手でも問題ないでしょう。

SCP-XXX-JP収容担当 ██ ██

申請は現在審議中です。

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  FattyAcid 11 Jun 2019 03:53

  amamiel氏の<虚構の子どもたち>
  solvex 氏の<すべての次元へ通じる電波>
  を元にしています。

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