アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid(Safeへの再分類検討中)
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP周辺には簡易監視所が設置されます。SCP-XXX-JP-Aが区域外への脱走を行った際は速やかに対象を無力化してください。SCP-XXX-JP-Aの管理法に関しては現在保留中です。一般人の侵入があった場合は速やかに拘束し、記憶処理を行った後に開放してください。近隣には立ち入り禁止令を発令し、カバーストーリー「地盤沈下」が適用されます。
説明: 以下の報告書はエージェント・萩野 慶(コードネーム・ピクス。以下、エージェント・ピクスと表記)の報告記録を基に作成されました。しかし、その当時の詳しい状況に関する情報をサイト-8163は所有していないため、不確定な情報を補完するための編集点が幾つか設置されています。
2███年現在、活動可能なSCP-XXX-JP-Aの個体数は激減し、SCP-XXX-JPの指定範囲の縮小が議論されています。その為、今後はSCP-XXX-JP関連の小規模な監視体制のみの活動が中心に行われます。
SCP-XXX-JPは██県███地区の森林内に存在する総面積███㎢の区画です。現在SCP-XXX-JP内には総勢54体9体の人型実体(以下、SCP-XXX-JP-A)が確認されており、2███年に発生した事案XXX-JP-56732以降は全身が青色の炎で覆われる形で常に炎上している状態を維持しています。なお、このような状態においても対象は未だ生命活動を継続しており周囲を徘徊する様子などが確認されています。
サーモグラフィカメラを用いた調査の結果、これらの炎は周囲の植物に引火する様子も無く通常の外気温と大差ない温度を維持している事が判明しています。ですが、SCP-XXX-JP-Aの挙動からこの炎には痛覚に作用する何らかの効果があると推測されており、時折大音量の発声を行ったり全身を掻きむしるなどの様子が確認されています。現在、SCP-XXX-JP-Aの肉体は殆どが既に炭化しており、軽度の接触であっても崩壊します。しかし、崩壊後もSCP-XXX-JP-Aは活動し生存し続けます。
SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP内でのみ活動が可能であり、この区画からの脱出は不可視の障壁(これはSCP-XXX-JP-Aにのみ作用します)の出現により阻害されます。Dクラス職員を起用したSCP-XXX-JP-Aの運搬作業も同様の影響により失敗し、事実上SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP内に収容されています。
SCP-XXX-JP-Aに関するさらなる特異性として、回復能力を有さない高度な生存能力が確認されています。この特異性に関する考察はエージェント・ピクスの報告記録を基に行われており、前述した肉体崩壊後も生存し続けます。2███/█/██、SCP-XXX-JP-Aの内の1個体の活動停止が確認されました。この事から、SCP-XXX-JP-Aを炎上させている炎には記録されている生存能力を剥奪する特異性があるのではないかと研究部門は分析しています。未だ炎の正確な成分分析は成功していません。
補遺: SCP-XXX-JPは2███/█/██に発生したエージェントの失踪事件を切っ掛けに発見されました。当時、エージェント・ピクスを含む4名のエージェントは異常物体(後のSCP-████)の影響下に置かれた地点の状況確認を目的とした収容任務K-0027に参加しており、その際、███地区内にて全員が失踪するという事案が発生しました。捜索班は失踪したと思われる地点を捜索しましたが発見には至らず、それらしい痕跡も消失していました。しかし、その約5ヵ月後、エージェント・ピクス自身の通信によりその所在が判明しサイト-8163によって救出され、それと同時にSCP-XXX-JP‐Aの存在が明らかとなりました。
SCP-XXX-JP主要区画(旧███村)
概要: SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-A発生の中心であると予想される村群で、1799年頃に███村として成立、過去███区域で発見された銅鉱脈の採掘を目的として設立されました。しかし、銅鉱脈の低品質化と採掘量の減少から形態を農村に変更。その際、外来の農耕技術や風習を吸収(この際、読み書きなどの学習も行われ、内部には個人が残したと思われる文献がいくつも残存している。)しつつそれを基にした独自の社会形成や倫理構築を行っていった為、太陽信仰的宗教と一部変容した男尊女卑の風習が根強く残っていた事が明らかとなっています。
███村は1865年を境に他の村との関係を断絶し、一切の情報が途絶するという事態に陥ったと判明しています。その後、大政奉還の際に詳細な記録等も紛失し、エージェント・ピクスの報告によってその存在が明らかとなるまで完全に記録から抹消されていました。現在それの原因として、前述した年に詳細不明の実体が村内部の廃坑から発掘された事案が該当すると予想されています。
███村内部の状態
・10棟の家屋の損壊、または炎上。
・徘徊する炎上中のSCP-XXX-JP。
・███村奥に存在する洞窟内(炭鉱跡地と予想)にある祠の破壊。内部には右腕を喪失した女性のミイラが安置されている。
・███村で発見された神社本殿内に遺棄されていたエージェント・吉永と思われる半人型をした実体。現在、財団が回収済み。
・半人型をした人間女性と思われる実体を大量に遺棄した穴。なお、全ての実体は現在も生存。
・大量の札。
・森林に遺棄された大量の乳児の白骨体。半人型実体が出産した物と予想。
エージェント・吉永の状態に関しては、全身に暴行を受けた痕跡や人間男性の精液と思われる液体が付着していたことから集団による性的暴行を受けた事による変質であると判明しています。なお、これらを行った存在は正確には判明していませんが、状況からSCP-XXX-JP-Aによるものではないかと予想されています。
2███年現在、エージェント・ピクス以外のエージェント全員の死亡(内1名は死亡扱い)が確認されており、エージェント・ピクスに関しては回収時に心神喪失状態であると診断を受けたためサイト-8163の治療室にて拘束されています。エージェント・ピクスに関しては行方不明となっています。現在、調査主任エージェント・萩野 真一によるエージェント・ピクスの捜索が行われています。なお、失踪現場である医務室には大量の灰のような物質が残されており、これらに関しても分析、調査が行われています。
遭難報告
2███/█/██ 12:38
報告担当者:
・エージェント・ピクス(性別: 男性 年齢: 27歳 健康状態: 右肩に軽度の負傷)
構成員:
・エージェント・吉永(性別: 女性 年齢:33歳 健康状態: 左手に軽度の打撲)
・エージェント・村野(性別: 男性 年齢: 46歳 健康状態: 頭部に軽い裂傷)
・エージェント・戟(性別: 男性 年齢37歳 健康状態: 良好)
・機動部ね-11所属村戸 茂人隊員(性別: 男性 年齢: 24歳 健康状態: 良好)
・現在位置不明。██県内の森林と思われるが正確な場所までは分からない。通信機器は紛失、または故障。
・事故原因も不明。移動用車両は激しく損壊し恐らく今すぐの修繕は不可能と思われる。
・今後、新たな通信手段の捜索を開始する予定。以上。
2███/█/██ 9:12
・遭難2日目。各自野営準備をしつつ周囲の探索を開始。万が一に備えサバイバルキットを所持していたのが功を奏す。
・1週間は所持している携帯食料で補えると思われる。
・グループの士気も高い。当分は安心だろう。
・通信手段の捜索を継続。
2███/█/██ 21:09
・一時的交戦を開始。村戸隊員の報告から森林内に正体不明の何物かが潜伏していたと報告があった。
・未だ対象の発見には至らず。エージェント・村野による村戸隊員のカウンセリングも行われたが異常は見られなかった。ストレス下での異常行動ではないと思われる。
・警戒態勢を敷き、交代制で見張りを配置。同時に各職員の武器使用を許可。
・後日、さらなる周囲探索を開始する予定。
2███/█/██ 10:11
・エージェント・吉永からの報告。昨夜、天体を観測し私達のいる位置とおおよその方角を測定したとのこと。今いるこの地点は私達が失踪したと思われる地点からおよそ100km以上離れた場所であることが発覚。現在、これが瞬間移動による失踪に当たるのか、別時空への転移に当たるのかは判明していない。しかし、天体の様子から少なくとも私たちのいる世界と同一の世界線である可能性の方が高いと思われる。
・ある程度の位置が判明したことにより、森林からの脱出を決定。明日、進行を再開する。
2███/█/██ 9:21
・エージェント・村野からの報告。私たち以外の何者かによる野営の跡を複数発見。
・痕跡の状況から最近の物で大体4日前まで何者かがこの場所で生活していたと思われる。恐らく特定個人ではなく私達と同様のグループ(それぞれの正確な人数までは分からないが)が別で2、3個この周囲で生活していたと推測される。
・エージェント・戟はこの状況に対し、私達と同じような状況に陥ったかもしれない存在が複数同時にかつ同地点に集まっているのはあまりにも不自然であるという見解から私達のこの遭難事案は作為的な影響下にあるのではないかと考察。
・もし、何者かが私達をここに招き入れたのだとしたら村戸隊員の交戦も一部納得がいく。監視者がいる可能性だ。
・それらを念頭に置き、本日からこれらの現象を収容対象として認定しつつ収容方法の確立を模索することが決定。
2███/█/██ 16:56
・村戸隊員が再度エージェント・村野によるカウンセリングを受ける。不可解な夢を最近頻繁にみると主張。
・内容: 何処かの境内で1人の女性をただ見つめている状況にいる。その際、複数人の着物姿をした日本人男性が周囲に存在し、彼らも同様にその女性を見つめている。村戸隊員はこの状況に対して酷い不安感と恐怖感が沸き起こると主張している。
・今のところ認識災害や精神影響を受けたような痕跡はない。
・遭難から既に6日経過。携帯用食料の備蓄枯渇が顕著になる。
・移動中に集めていた山菜などの調理を行い、食糧事情の改善を行っていく事が決定。
・料理担当は私エージェント・ピクス。
2███/█/█ 11:02
・エージェント・吉永が突如移動中に蹲り、その直後嘔吐した。摂取した食料の問題かとも思われたが、グループ全員が同様の物を食していたのもあり原因は不明。現在は症状も収まり安定している。
・一旦移動は中止。今の地点で休息する。
・エージェント・戟に関しても、軽度の睡眠不良を訴えている。私自身も最近おかしな夢を見る。
・内容: 目の前で知り合い(夢では知り合いであると認識)が突如炎上し、それを皮切りに周囲の人間が燃え出す。そして、最後は自身の体も炎上する。
・現在までの状況を踏まえ、何らかの精神汚染の可能性を懸念。
・念のためではあるが、医療キットの中にあった抗認識災害薬を全員で服用した。
2███/█/█ 2:36
・村戸隊員が突如叫び出し、樹に頭部を打ち付けると言った奇行に走る。
・これに対しエージェント・村野とエージェント・戟が彼を拘束し、医療キット内から鎮静剤を取り出して鎮静化を試みる。しかし、村戸隊員はこの拘束から脱出し、およそ10m程の距離を逃走した後に、携帯していた拳銃を自身の右こめかみ当て発砲する。
・この事案により村戸隊員が死亡。自殺の動機は不明。
・暴走中の村戸隊員の言動に関する正確な内容は、彼の発言が酷く不明瞭であったため詳細は不明。だが、主に炎や何かが燃える、消滅するというワードを多用していたように思う。
・遺体に関してはエージェント・村野とエージェント・戟が管理し、検死を行いつつ埋葬することが決定。後日、さらなる調査を行う。
2███/█/█ 16:44
・エージェント・戟に異変。村戸隊員の遺体の前で性器を露出させていたのがエージェント・村野によって発見された。結果、エージェント・村野がエージェント・戟を殴打。その騒ぎで食料調達に出ていた私とエージェント・吉永も事態を察知する。
・一連の行為に関してエージェント・戟は一切を記憶していないと主張。村戸隊員の異変以降、エージェント・戟にも異常な行動が顕著に見られるようになっている。抗認識災害薬のさらなる服用はエージェント・村野により却下。
・会議の結果、私がエージェント・戟を常に監視することで行動を制限することが決定。この報告以降はエージェント・戟の状態に関する報告も同時に行う。武器も没収。エージェント・吉永が所持する事に決定した。
2███/█/█ 12:31
・森林からの脱出を継続中。グループ全体に士気の低下が見られる。
・エージェント・戟に関しては言えば平常時は通常の会話が可能ではあるが、症状悪化時には眼球を強く抑え言語能力を喪失する様子が確認されている。エージェント・村野が検診を行ってはいるものの、これらの症状に関する原因は未だ不明。
・今後も経過を観察する。
2███/█/█ 5:21
エージェント・戟殺害に関する音声記録
概要: 突如、エージェント・戟がエージェント・吉永から銃器を強奪し私達に対して発砲。これに対して私達は抗戦を開始し、結果エージェント・村野によるベルトを用いた頚部圧迫によりエージェント・戟の沈黙に成功。これにより、エージェント・戟が死亡する。
音声記録2███/█/█
記録者: エージェント・ピクス
〈再生〉
[銃声]
エージェント・戟(以下、戟): 出て来いよお。ピクス!
[エージェント・ピクスの物と思われる声(走っているためか息が荒い)]
戟: 思い出したんだ俺は。何もかも。ここに来たのは偶然なんかじゃない。全部、お前が仕組んだことなんだろ。そうなんだろ、ピクス!
[銃声]
戟: 知ってんだぞ。俺は。……何度目だ。これは一体何度目だ! 俺達は、俺達の祖先は、、一体どれだけの回数をこの村で過ごして、どれだけ俺らは、この村でのあの事件を繰り返して生きているんだ!
[銃声]
[エージェント・吉永とエージェント・村野の話し声]
戟: 出てこい! 俺が終わらせてやる!
[銃声]
エージェント・ピクト: なんで……! 何で、こんな……!
戟: ふざけんな。ふざけんじゃねえ。何が巫女だ。何が命の炎だ。下らねえ。皆下らねえ。
[草を掻き分ける音]
戟: そこかーー
[鞭で何かを叩いたような音]
[乱れた呼吸音]
[3発の銃声]
[嗚咽] [掠れた呼吸音]
[銃声]
エージェント・村野: ……終わりだな。
〈停止〉
再編集版調査報告・███村探索記録
2███/█/█ 8:12
・エージェント・戟との戦闘から約42時間後、野営地で起床した際に私達は詳細不明の農村を発見した。前日に就寝した場所には一切その様な場所は無かった事から、この村は突如私達の目の前に出現したと思われる。準備を整えたのち、内部の探索を予定する。
同日 8:58
・農村内に侵入。この時点で住人の発見には至らなかったが家屋内部にはつい先程まで何者かが生活していたと思われる痕跡(火に掛けられたままになってる釜や食べかけの食事、途中で作業を中断したと思われる脱穀作業場など)が発見された。村の家屋は明治元年前の日本の農村に見られた形態と酷似している。エージェント・村野もこれに同意。大きな時代錯誤が見られる。
同日 9:14
・エージェント・吉永が村内の神社を発見する。周囲の家屋とは異なり真新しい建築物であるように見える。本殿は施錠され、内部の様子も不明。探索を継続。
同日 10:34
・村の奥にて簡易的な墓地と思われる区画を発見する。27枚の地面に突き立てられた木の板が確認され、板にはそれぞれ女性の物と思われる名前が彫り込まれている。それらを掘り起こす作業は一旦保留とし、探索を継続する。
同日 13:44
・エージェント・吉永が卒倒する。エージェント・村野と共に彼女を回収し、近くにあった家屋にて休息を取る。探索は一時中止。エージェント・吉永の回復を待つ。
同日 19:20
・エージェント・吉永の容体が回復する。エージェント・村野が彼女に対してインタビューを行う。インタビューの結果、突如身体が燃える様に熱くなったと主張。検診を行ったが身体には一切問題は無かった。この日はこの場で休憩する。後日、探索の再開と通信手段の捜索を再開する。
2███/█/█ 7:00
・私が家屋外部で放浪しているエージェント・村野を発見する。当時の様子から、一種の夢遊病に近い状態であったと思われる。インタビューが行われ、エージェント・村野は洞窟のような場所の最深部を目指して進んでいたと主張。身体的な問題も無く、一旦は異常なしと判定。探索を再開する。
同日 8:37
・大量の書物や巻物などが保管されている蔵をエージェント・吉永が発見する。内部を調査した結果、今現在いる村の記述が見つかり現在位置が███村の中心部である事が判明する。また、消息を絶った1865年当時からの記録も発見。12点の書物と巻物を回収する。
(以下の記録は調査部が編集)
同日 8:40
・エージェント・ピクスの証言から、突如大音量の女性の悲鳴のような音と同時に地震が発生し、その直後周囲の状況が全て暗転し視認が不可能な状態に陥る。
同日 8:41
・何らかの集団による襲撃を受ける。この際、エージェント・ピクスは右耳を負傷。エージェント・村野は頭部を破壊され死亡。エージェント・吉永は集団に誘拐される。
事案XXX-JP-56732
概要: 事案XXX-JP-56732は、███村探索の11日目に発生したエージェント・ピクスによるSCP-XXX-JP-A内での攻撃行為および破壊行為事案です。
現在、これらの正確な記録は存在していませんが、エージェント・ピクスが収集した情報、エージェント・ピクス回収時の様子などから推測される情報をここに記載します。
発見状況: 2███/█/██、エージェント・ピクスはSCP-XXX-JP-A内にて被害にあった女性の遺留品である携帯電話を利用し、サイト-8163の緊急連絡用番号で通信を行いました。これを受けサイト-8163は対象端末の逆探知を行う事で位置情報の特定に成功。すぐさまエージェント・ピクスを回収しました。
発見時、エージェント・ピクスは炎上したSCP-XXX-JP-Aと共に発見地点で静止しており、右手には人間の右手のミイラと思われる部位を所持していました。現在、これがSCP-XXX-JP-A内で発見された女性のミイラの右手であると予想されており、調査が行われています。なお発見された部位に関しては発見時に灰状の物体に変異したため回収は出来ていません。
現在、エージェント・ピクスがどのようにしてこれらの破壊行為を行ったのかは正確には判明していません。
以下の文章は███村内部で発見された文献の抜粋です。内容に関しては、一部███村独自の言語形態が用いられている箇所がある為、それらを翻訳する形で補完しています。
██寺 ███村歴史譚
慶応元年 彼の洞穴より、源蔵、彼の巫女掘り当て我ら一変す。巫女を招きて我ら持て成し、命を、火を知る。巫女、口には我らを拒めど、あれは天が我らに遣はし恵の女。巫女の中は暖かく、我ら全て受け入る。
慶応元年睦月 始めに巫女と交はりし源蔵、大山の大熊に食はるるも死なず。失せし腕は生え、息吹き返す。これ、巫女の恵なり。我ら、この年、命を火を知る。
慶応2年神無月 皆が皆、命の火を知る。巫女は天に帰り、最早人の姿になし。その身を祠へと移す。己が身を犠牲に、我らに命の火を伝ふ。
慶応3年神無月 巫女が落とせし火のわらは、その数五十を超ゆ。源蔵、さながら燃やせと言ふ。我ら、それに賛同す。さながら異形。皆燃やす。火の赤子は火に返すべし。
慶応3年神無月の2の日 落とし子、一人見当たらず。源蔵、とぶらへと声を上ぐれど見つからず。おなじくは、異形の捨て子なり。何処に行かむと生かれぬ。捨て置け捨て置け。おなじくは死ぬ。
神無月の11の日の亥の刻 大地わななき、日失す。待てども待てども、日昇らず、村より出づるも叶はぬ。我ら夜を行き、尚も火は絶えず。
慶応3年弥生の月 我ら巫女に懇願す。されど、尚も日は出でず、火は絶えず。終いには我ら火に飲まれ、尚も死なれぬ。尚も死なぬ。村、燃ゆる。永久に燃ゆる。
・年など最早心無し。我ら、女共ぐし命の火を流す。皆に、女一人に、持て余しし命の火を流す。さすれば時は戻り、日がまた昇る。されど、尚も火は我らが心の臓にあり。火を流し、子に流し、死なぬが生く。尚も生く。
・ある者は村去に、ある物は村に囚はる。我らは永久に生く。尚死なれぬ。未だ死なれぬ。火の消えぬ。ただ生く。外は最早、我らの世には無し。
・尚も我ら、火を流す。女にただただ火を流す。尚も死なず、尚も死ねず。ここは実に地獄なり。体が燃えるかのよう。またも日が昇らず。火を流す。
慶応110年 女子尽く。ならば如何に。攫ふべし。
慶応111年 男1人、村に来。源蔵、何かがおかしと宣ふ。物の怪か、何奴なり。さ宣ふ。女子を連れ、我らに渡す。何奴か。何奴か。訊けば我らの末裔と言ふ。何奴か。何奴か。
慶応120年 尚も男来。されど、異なる男なり。またも女子を渡す。まこと、何奴か。
・またも、またも男来。またも、またも異なる男なり。女子に火を流し、日昇る。我らこれ繰り返す。永久に、永久に繰り返す。まことここは地獄なり。死なぬ死なれぬ、地獄なり。
源蔵の書
・助けよ。死ねぬのなり。皆死ねぬのなり。幾年幾年、皆死ねぬのなり。我があれを掘れば、我があれと遂ぐれば。皆が皆死ねぬのなり。助けよ。助けよ。
・贄の女子はただの女子ならず。我らの娘、我らの孫なり。
・あやつなり。かの時の巫女の忌子、失せし落とし子なり。巫女の遣ひ、我らの下にやりく。助けよ。助けよ。
・うたてじゃ。うたてじゃ。消えとふなし。消えて無くなりとふなし。消ゆまじ。
・命の火燃えたり。
発見されたルーズリーフの切れ端
2███年 █月██日 洋一が何で俺らをこの村に連れてきたのか良く判った。俺らは皆この村から生まれたんだ。最初からおかしいとは思っていた。何でこの季節に? そこまで俺らと交流があった訳でもないのに。
これは呪いだ。天罰だ。俺らはここから出られない。全部、俺らの先祖のくそったれの所為だ。
死ねない。幾らやっても死ねない。誰か殺してくれ。俺を殺してくれ。
麻布に灰で書かれた文章
我らの内なる炎、さながら返したてまつる。巫女の遣ひが我ら追ひ詰む。
許したまへ。許したまへ。かの男やりゆく。何年も、何年も、死なば生まれ死なば生まれ、顔も、姿も、さながら変へて、我ら村のおくり追ひ詰む。返す。火を返す。なれば許しを。お願ひなり。無くなるまじ。
[不鮮明な文字]
嫌だ。
[炭化した何らかのもので書かれた文字]燃えて無くなれ。
現在気になっている点は
・読みやすさ。
・記事のバックストーリーが上手く読み解ける様に出来ているか。
・謎解き要素が露骨すぎないか。
です。ご批評宜しくお願いします。
あと、今はタブにでの表示にしていますが、本投稿の際は別ページして分けようかなと思っています。
>現在保留。
>icsの報告記録からの事象確認を基に行われており、前述した肉体崩壊後も生存し続ける特異性からも適当であると思われます。2███/█/██現在、
>2███年現在、エージェント・Pics以外のエージェント全員の死亡(内1名は死亡扱い)が確認されており、エージェント・Picsに関しては
取り消し線で文章がよくわからないものになっているようです
>大差がない温度を維持している事が判明しています。
大差ない でいいかもしれません
>事実上SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-A内に拘束されている状態であると推測されています。
拘束はすこしおかしいかもしれません
>███村奥に存在する洞窟内
「・」がないようです
>2,3個、ここの周囲で生活していたと推測される。
「,」ではなく「、」のほうがいいかもしれません
>内容:
:のあとは半角スペース
>27個の地面に突き立てられた木の板が確認され、
個ではなく枚のほうがいいかもしれません
指摘していただいた点は修正しました。
ご指摘ありがとうございます。
記事の構成を見直して、少し要素を追加しました。
また、最後の発見文献を一つにまとめました。
記事を更新しました。本日中に投稿してみる予定です。
SCP-1775-JP「焼滅の村」として投稿しました。様々なご意見、ありがとうございました。