腐敗

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文字数: 5778

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クレジット

タイトル: SCP-XXX-JP - 腐敗
著者: ©︎yanyan1
作成年: 2021

睡眠状態のSCP-XXX-JP。

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの周囲15km圏内は封鎖し、一般人の侵入を阻止してください。該当区画周辺にはSCP-XXX-JPの影響範囲を迂回する形で高速道路が敷かれ、監視員に変装したセキュリティ担当者によって24時間体制で監視してください。

SCP-XXX-JPの周囲には定期的に100gの睡眠薬が入った袋を移植した食用の豚や鶏、牛などを配置し、SCP-XXX-JPの捕食行為が確認された時点で補充を行ってください。これらの補充を円滑にするため、近隣には飼育施設が併設されます。

現在、Dクラス職員を起用した実験は一時的に停止されています。実験を行う場合は予算員会に申請をしたうえで管理担当者の許可を得て行ってください。

説明: SCP-XXX-JPは██県██市の████に位置する廃屋です。SCP-XXX-JPは通常の物品とは異なり、損傷を受けたとしても約24時間以内に損傷部分が修復します。オブジェクトを構成している木材や内部に存在する全ての家具類には微弱な電気信号があり、あらゆる刺激に対して人間の脳波と同様の波長を発しています。SCP-XXX-JPの内部は見た目上は通常の家屋と同様の様子を呈しますが、侵入を試みるたびに間取りや内部構成が変化します。その他、時折長髪の人間女性と思われる人型の実体の存在も確認され、その挙動（一方向に歩行するのみ）や接触を試みた際に透過する現象、対話に対して一切反応示さない等の反応から一種の霊的実体でありかつ内部に侵入した存在の誘導を目的とした存在であると予想されています。

SCP-XXX-JPは主に周囲環境や屋内の空間操作を基本とした現実改変に依存する異常特性を有しており、それを利用して生物的活動を行っています。なお、その一例として内部の間取りや構成されている家具の配置などは侵入ごとに変化はしますが、各部屋が生物の消化器官と同様の役割を担っている点が挙げられます。SCP-XXX-JPは主に野生動物（シカやイノシシ等）を捕食の対象としており、それらの生物に対して自らが生成したと思われるフェロモンを利用し内部へと誘導します。

SCP-XXX-JP内の各部屋の役割

中央ロビー	玄関から侵入した場合、この区画は共通して存在する。棚、箪笥等が内部に誘導された生物に飛来し気絶または絶命させる様子が観察される。その後、敷いてある絨毯や設置されているカーテン等が生物を巻き取り運搬する。
キッチン	侵入ごとに内部を構成している設備などは変化するが、共通して内部に誘導した生物の解体場所として利用される。解体の際は包丁や鋸等の刃物類が浮遊しこれを行う。この事からこの区画は歯としての役割を担っていると思われる。
バスルーム	解体された生物が運び込まれた後、区画内部が蛇口から排水された消化液で満たされタンパク質部分およびカルシュウムを分解する。分解が終了した際は排水口等に消化液は排水される。胃および小腸の役割をしていると思われる。
暖房設備	煙突や内部のボイラーにが設置されている区画。酸素を吸収し、排気口、ボイラーを通して二酸化炭素を排出している事から、呼吸器官の役割を担っていると思われる。時折侵入した鳥類がこの部分に接触し、それを切っ掛けに内部で暴風が発生する場合がある。

SCP-XXX-JPは時折2人以上の人間（以下、被験者）を非捕食目的で誘導する場合があります。現在、この活動の主な目的は未だ判明していません。SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JPを中心とした10km圏内で被験者の存在を察知した場合、SCP-XXX-JPは被験者の周囲環境（主に天候や道路、未舗装の道など）を変化させ、大抵の場合、天候の悪化による雨宿りなどに誘導します。これにより被験者をSCP-XXX-JPの内部へと侵入させ、人型実体の出現や内部構造の変化などを駆使し主に人間男性2名を選別しながら特定の部屋（以下、SCP-XXX-JP-A）へと隔離します。現在、SCP-XXX-JP-Aの調査は難航しており、未知の原理によりGPS、映像機器、録音機器等の不調や電波が遮断されます。なお、選別からはじかれた被験者は窓や裏口などから射出される形でSCP-XXX-JPの外部へと排出されます。

選別された2名の被験者はおよそ2時間ほどで解放され、SCP-XXX-JP-A内部での状況に関しては例外なく発言を拒否します。現在、被験者らの身体検査を行った結果、高濃度の麻薬成分が検知されたことから、SCP-XXX-JP-AにてSCP-XXX-JPによる薬物投与が行われたと予想されています。なお、実験に参加した被験者には何ら異常性は発現していません。

被験者が内部に侵入した際、SCP-XXX-JP内部の温度が最大で38度まで上昇する現象が確認されています。なお、この温度上昇は選別された被験者が解放されると同時に低下し、この段階でSCP-XXX-JPは非活性状態へと移行します。また、実験に参加したDクラス職員からは侵入時に人間女性の興奮した様な荒い息の音を観測したという報告が上がっています。現在、女性実体との関連は不明です。

補遺1: SCP-XXX-JPは2███年█月██日に行われた財団の現地調査の際に発見されました。当時、該当する地域では野生動物の減少と行方不明者の増加が相次いでおり、この事に注目した財団が現地へ調査団を派遣しました。その際、周囲の環境において規定値を上回るヒューム値の変動が確認され、探索の結果SCP-XXX-JPを発見しました。なお、この時点で既に被験者2名がSCP-XXX-JPの影響下にあり、内部から意識が朦朧とした状態で出てきた所を調査団が保護、一旦サイトへと連行し、後日さらなる現地調査を実施しました。なお、この際SCP-XXX-JPの外部にて同様に放浪していた、過去に行方不明となっていた人物ら全員の保護にも成功しました。

補遺2: 以下はDクラス職員を起用した実験の記録です。なお、現在は食用としてSCP-XXX-JPの周囲に配置している動物に睡眠薬の入った袋を移植し、それを捕食させることでSCP-XXX-JPの活動の抑制を行っていますが、以下の実験の際はSCP-XXX-JPの活動内容の観察のためあえて活性化状態を維持させています。

+ 実験記録SCP-XXX-JP

対象: D-0993（30歳）　D-8887（26歳）

付記: 以下の録音機器を携帯させたDクラス職員をSCP-XXX-JP内部へ侵入させた記録です。

<録音開始>

D-0993: 中に入るぞ。

D-8887: ……あ、ああ。

[4秒間の沈黙]

D-0993: 何だここ、ひでえな。そこらじゅう穴だらけじゃねえか。……今入ってきた所も消えやがったし、案の定、閉じ込められたか。

D-8887: な、なあ？

D-0993: あ？ 何だよ。

D-8887: ここ、こんなに広かったか？ 外の見た目と、偉く違う気がするんだが……。

D-0993: 言われてみりゃ……。けど、そんなの今は関係ねえ。ひと先ず、もっと奥に行くぞ。

D-8887: お、おう。

[約5分間、周囲を探索する音が聞こえる。時折内部が大きく軋む音がする。]

D-0993: ……見た感じはただのぼろ屋だな。そっち、何かあったか？

D-8887: い、いや、特に何も。[叫び声]

[大きな物音]

D-0993: おい！ どうした！

D-8887: 棚が……！ 本棚が突然、飛んできて……！

D-0993: まじかよ……。怪我はねえか？

D-8887: あ、ああ。大丈夫だ。

D-0993: ならいいが……なんか熱くねえか。

D-8887: た、確かに……。

D-0993: ん？ おい、あれ。……女か？

D-8887: え？

D-0993: 立てるか。よし、あれの後を付けるぞ。

D-8887: ほ、本気かよ……！

D-0993: どっちにしろ出られねえんだ。腹くくれ。

[約3分間、人間女性のものと思われる荒い息の音が聞こえる。時折、D-0993の「隠れろ」等の会話が続く。]

D-0993: ……くそ、見失った。

D-8887: ……き、来た廊下も、もう全然様子が違う。さっき昇った階段もどっか行っちまった……。

D-0993: ああ、言われなくても分かってる。くそったれ、こっからどうっすれば……うお！？

[約4分間、地響きの様な音が響く]

D-8887: へ、部屋が……！ 家の中が、動いて……！

D-0993: おい！掴まれ！

[5分後、音が鳴りやむ。]

D-8887: ……なんだ、ここ。扉？

D-0993: やたらと豪華な作りだな。……たぶん、誘われてんだろうな。あの女に。

[時折、人間女性の興奮した様な荒い息が観測される。]

D-8887: い、行こう。もう進むしかない。

D-0993: ……ああ。

[扉を開ける音]

D-0993: 何だここは。さっきまでと全然様子が違うじゃねえか。

D-8887: ……まるでホテルのスイートルームだ。ダブルのベッドもある。

D-0993: シャンデリア、タイル張りのシャワーまで。何なんだここは。

D-8887: ……なんだか、甘い匂いが……。

[何かが倒れる音。]

D-9993: おい！ 大丈夫か！？

D-8887: ……か、体が……熱い……！

D-0993: おい、しっかりしろ！ 何か、何かないか……！ と、とりあえずベッドに……！

[D-8887の荒い息が聞こえる]

D-0993: くそ、くそどうすれば……！

D-8887: ……な、なあ……一つ、頼みを聞いて、もらっても……いいか？

D-0993: ああ、なんだ！？ 何でも言え！ 何でも聞いてやる！ 何だ！？ 何が欲しい！？

[3秒間の沈黙。]

D-8887: ……ふ、服を……脱がせてほしいんだ。

[2秒間の沈黙]

D-0993: ……え？

D-8887: た、頼む。……もう、暑くて、暑くてたまらないんだ……。

D-0993: ……あ、ああ。分かった。

[ジッパーを下げる音。]

D-0993: ……お前、すげー汗だな。

D-8887: ……小さい頃から、汗っかきなんだ。

D-0993: ……それに、お前、男のくせにすげえ肌が白いんだな。線も細いし、今にも壊れそうだ。……胸板だって、こんなに薄いし……酷く痩せて……。

D-8887: [短い声]

D-0993: わ、悪い！ い、痛かったか？

D-8887: ううん。違うよ。……ねえ。

D-0993: ……なんだ。

D-8887: ……君も、脱いだら？ 熱いんでしょ？

[6秒間の沈黙。]

D-0993: ……ああ。

[布と布がすれる音。]

D-8887: ……来て。

D-0993: ……良いのか？

D-8883: ……うん。

[通信機器の不調により通信途絶。]

<録音終了>

終了報告書: この実験の際、SCP-XXX-JPの内部温度が約40度まで上昇していたことが判明しました。なお、約2時間後にDクラス職員2名はSCP-XXX-JP内部から脱出し、その後の身体検査で一種の興奮剤の様な物質を鼻腔から摂取していたことが判明しました。

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  批評コメント批評コメント

  
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  yanyan1 24 Mar 2021 16:59

  ファイルページ: 廃屋　画像

  ソース: https://unsplash.com/@worldsbetweenlines
  ライセンス: CC BY-SA 3.0

  タイトル: 不明
  著作権者: Patrick Hendry
  公開年: Published on October 27, 2014
  補足:
  https://unsplash.com/　に投稿されていた画像をお借りしました。

  yanyan1 26 Mar 2021 11:16

  タイトルと細かい描写を変更しました。

  makigeneko 27 Mar 2021 23:27

  + 折りたたみ

  読みました。（BLにそんなに詳しくない男です）
  前半のホラーテイストから、後半への滑らかなシフトが鮮やかでした。個人的嗜好もあって、UV評価です。前回と比較して、サブタイトルはこちらのほうが良さそうです。

  [1]
  説明: より

  選別された2名の被験者はおよそ2時間ほどで解放され、内部での状況に関しては例外なく発言を拒否する傾向にあります。

  補遺1: より

  後日さらなる現地調査を実施しました。なお、この際、過去に行方不明となっていた人物ら全員の保護にも成功しました。

  この2つの情報には食い違いがあるように見られました。前者はすぐに解放されると書かれていますが、後者だとそのまま内部に残されて、財団の支援によって初めて脱出できたと読めたためです。

  [2]
  補遺2: より誤字を確認しました。

  動物に眠剤を袋を移植し → 動物に眠剤を移植し

  [3]
  Dクラス職員が黒執事を見つけるところは不要だと思います。
  記事のコンセプトを理解した上でなら、その漫画が腐女子の好むものと推測することはできますが、メンバー全体のどのくらいがその作品名及び内容を認知しているかは不明なので、人によってはほぼ意味のないエッセンスとなりそうです。

  [4]
  これは僕が持つ個人的イメージであって、しかも申し訳ない話なのですが、Dクラス職員は40~50代の体格大きめなおじさんという印象があります。それで、気を悪くしないでほしいのですが…それを踏まえて最後の折りたたみを読むと、それは女性の好むBLではなく男性向けのそれになってしまいました。Dクラス職員に適切な年齢情報を付記することを提案します。(20代 等)

  [5]
  最後に個人的嗜好で少し気になったので、確認したいこと
  ・SCP-XXX-JPは、人間女性2名を選別することもあるでしょうか？

  yanyan1 28 Mar 2021 03:56

  ありがとうございます。指摘いただいた点を随時修正していきます。

  最後の質問への返答ですが、今のところは女性二名が選別されることは基本ないと想定しています。

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