soilence-tale短編集-2021-1

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ご批評よろしくお願いいたします!! m(_ _)m

※下の方に解説 (スポイラーというより要約) も置いておきます!

(今回は要らない気もしますが、一応……)

気になる点:

(また詳しいやつを下の方に書きます)

  • (想定した) 面白さは伝わっているか。
  • 掌編短編集として不足は無いか。

気になる点Plus: 下書き会批評対応1回目版

  • 読者置いてけぼり感は緩和できているか。
  • 文章 (展開) にタメが無い感は緩和できているか。
  • 短編の内「大宇宙戦争」と「物体Z」にいまひとつパンチが足りない気がするんですが
    一味加えるには一体どうしたら…

(以下本文です! ↓)

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物体Y

 北極圏の広大な氷床から、不可思議な存在が露出を始めた……

 随行犬サブロはその小さな異変を、探検隊のどのメンバーよりもいち早く見抜いた。そして、お得意の首輪抜けを実行した後、彼は脇目も振らずまっすぐに、その方角へと駆けていったのだった。

 該当の物体の、人智を超えた構造の中に居“た”のは、途方もなく高度な知性を持つ、この物体の本来の持ち主……
 を、遥か昔に惨殺せしめた、外宇宙の好戦的な動物であった。

 そいつは「構造体」の露出とともに長い眠りより目覚め、そして、自身の体を構成する、恐らく「触手」と形容できるであろう肉の枝を全方位へと無数に展開して……この星における第一発見者へと、一斉に突き立ててゆく。

 四方八方から一斉にサブロへと襲い掛かる、貫き、切断するエネルギーの奔流……


snow-dog02.jpg

 サブロは、その無数にやってくる有機的な槍の中から、「喉笛」に相当する箇所をいち早く見抜いた。



小さな野生の独立短編集オムニバス


ジョン (John)

 画面比率4対3のブラウン管の表面上では、床に這いつくばり、全身を覆う真っ白な服からのびるろうのような手と足を四本とも使ってガサガサと動き回る、長い黒髪の女に向かって、一匹の猫が淡い茶色の毛並みを逆立てて、激しい剣幕で威嚇の声を上げている。
 黒髪の女は非常にゆっくりと、猫の方へ近づいていっているように見える。
 ……少しして、猫は触れられていないにもかかわらず、短い絶叫を上げて倒れ込んだ。
 カメラに映った、猫のその胸から腹の下にかけての、毛皮と? その内側……? が、「モザイク」となり、そこから血が、どんどん床に流れて、広がってゆく。動くことのないその猫の方角から、うぐぐ、ギリギリといった不明瞭な音声が発せられ、猫の頭部と胴体が、引き離されていく……

 そんな、生きてるやつの手による作り物のホラー番組がテレビで流れているのを知ってか知らずか、ミケMikeは誰もいない居間で大きな跳躍 (ジャンプ) とともに宙返りをして、既に臨戦態勢となっていた爪で中空を数度、斬り裂いた。
 小さな呻き。それは明らかに猫のものではない。
 ミケはひらりと着地しながら、はじめ、腰を上げて上半身を伏せる一触即発の体勢をとった。
 ……と思いきや、次の瞬間から、ミケは何もない方角を注意深く横目で見ながら、複雑な方角へぴょんぴょんと、小刻みに続けて跳ねまわった。ミケが飛び立った直後のその位置で、ドスン、ドスンと重い音がする。絨毯じゅうたんかれた床に、凹みや、切り傷に似た跡などが、次々と作られているようだ。
 ミケが跳んでいる方向は、居間を緩やかに、ぐるりと一周しているようだった……が、ある一瞬のときを狙って、ミケは居間の中央へと身を屈めながら、猛スピードで突っ込んだ。
 自身が生温い空気の塊のようなものを通過した感覚を、ミケは覚える。その、“物体でない”、棒状? の何かが、ミケの突撃で、……何というか、「支えを失った」ような状態になったことも。
 少しして、ガン、あるいはゴチンといった、鈍いが鋭い、硬くて大きな音が響き、居間にある背の低い物置き棚の天辺てっぺんの端に、おびただしい血が流れ始めた。……何も無いところから。
 ミケは「そいつ」の致命的な重心部分と、その移動の動きを、いとも容易く、正確に計算していたのだった。

 ミケはルーティーンワークとして、低ヒエラルキーの保護対象生物「飼いヌシ」のために、狩りを教えるための試料サンプルを咥えて玄関に持っていってやろうと、「その」辺りを見回した。だが、ネズミやゴキブリの時とは違い、彼奴きゃつの肉体はどうにも見当たらない。
 あれは明らかに飼いヌシ、即ちイエヌシ (Homo familiaris) の近縁種であったから、きっと同じように、野生の動物よりも遥かに脆弱であり、自分の攻撃ですっかり粉みじんに崩壊してしまったのであろう……と、ミケは考察した。ミケは血痕の辺りに近づいてみると、それはそれは大層まずそうな臭いがしたので、思わずそこから飛び退いた。
 ……「敵」は、ミケの爪に付着した己の血に向けて、最後の力を振り絞って呪いをかけようとしたが、その血はすぐに爪とぎ台に擦り付けられて、ミケの身体から離れていった。

 「飼いヌシ」の身体の不調がすっかり良くなったのは、それから間もないことである。






物体YZ (Wise)

 サブロと“触手”の、その後の様子は……

 サブロは弱点コアが含まれる触手を雪原に打ち捨てた。それはそれは大層まずそうな顔をして。

 サブロに対して全く歯が立たず、彼のことを全然楽しませられなかった、そいつ……その‘おもちゃ’に対して、サブロはすっかり興味を失ったようだった。彼はボトリと地面に落ちたそれを見返しもせずに、探検隊の基地へと戻っていった。
 その後、サブロに未知の何かが感染していたとかは特にない。
 厳しい地球環境に耐える北海道犬の生命力を舐めてはいけない。

 氷の地面に落ちた触手は、ぐに北極の寒さに負けて、凍りついていった。
 そいつは前に述べた「マイナスエネルギー」をどうこうする能力は無かったため、後はひたすら活動のエネルギーを奪われ、朽ちていくのみである。やがて雪に埋もれて大地の栄養になるまでの間に、狂気の何者かに拾われるようなことも特になかった。

 そいつの怪異譚に続きが作られることはもう無い。


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サブロはうちに帰っていった


小さな野生の独立短編集オムニバス

──完


(本文は以上です!)

各話要約&スポイラーリスト

  • 物体Y: 極地の宇宙寄生生物が犬に殺される
  • ジョン: 居間で地縛霊が猫に殺される
  • XXい家: 呪われた家がシロアリに食い殺される
  • 大宇宙戦争: 宇宙戦争を読んで感染症対策 () を身につけた侵略宇宙人が花粉アレルギーで死ぬ
  • 物体Z: 氷河期の地球に邪神が降りたって飢えた恐竜に食われて死ぬ

気になる点──再掲:

  • 旧: SCP要素を (匂わせるのは良いけど) 極力出さずに
    上記の面白さを更に伸ばして、サイトに残る出来にするにはどうするか。
    →これは前回の下書き会の時点でも問題が無さそう
  • 想定した面白さは伝わっているか。
    • テーマというか、書きたかったことは
      怪異 (このサイトでいう異常) に対する、最近流行りの言い方だと
      「ざまぁ」「尊厳破壊」系のカタルシスです。
      尊厳破壊とかまでは行かなくてもカタルシスや勧善懲悪 (してやったり) 感が出ていて
      ぶっちゃけ面白く読んでもらえればそれで良いです。
  • 掌編集として過不足は無いか。
    実はもう1篇ほど用意しているのですが、掌編とは言えない長大さにしかならず
    ダレるので下書き公開直前に引き下げました。

気になる点Plus: 下書き会批評対応1回目版──再掲

  • 読者置いてけぼり感は緩和できているか。
    批評会でご指摘いただいた点ですがいまいち対応できた実感はそこまで無いです。
    物体Yの構成を変えて絵を追加したり、2話目をジョンにしたりして
    自分なりにコンセプトが伝わりやすくする工夫はしましたが…
  • 文章 (展開) にタメが無い感は緩和できているか。
    これも批評会でご指摘いただいた点です。
    最初の物体Yは冒頭に絵を増やしたり構成を変えたり、この点を意識した改訂を行っていて、
    ジョンは割と好評だったのであんまり構成や展開を変えてません。
    気になるのはそれ以降の3篇…
  • 短編の内「大宇宙戦争」と「物体Z」にいまひとつパンチが足りない気がするんですが
    一味加えるには一体どうしたら…
    特に大宇宙戦争の改定後はパロディを直接的じゃなく間接的にしてしまったので
    むしろ読者置いてけぼり感が高まっていないかも不安…!
    物体Zは締めのエピソードに必要だとして (今は準シメになったけど)
    大宇宙戦争はいっそ引き下げたり下記の没エピソードと交換したり
    ということも考えたりしています…

sb3infoのincludeに|tag=引数を設定すると、予定しているタグを表示できます。


ページ情報

執筆者: soilence
文字数: 21234
リビジョン数: 13
批評コメント: 2

最終更新: 06 Mar 2021 11:27
最終コメント: 24 Feb 2021 11:55 by soilence

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  1. portal:1761980 (21 Mar 2020 10:19)
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