みけってい

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一つのSCPの封じ込め違反が起きた。ここまではまぁあることだ。でも。普段なら冷静沈着に対応する上の奴らが異様に焦っている。それで気づいたことは一つ。ただごとじゃない。30分もすると意味不明な章句を叫びながら手当たり次第色んなものを壊しまくる連中が私達のオフィスのドアを蹴破って入ってきやがった。なぜか奴らは時々大人しくなってぶっ倒れたりその辺にあった紙に何かを書いたり。何が起こったんだよ。とりあえず状況が状況なので試しにそいつらの中で一番大人しいやつをひっ捕まえて何があったか聞こうとした。でもそいつは「鳥…鳥…」や、例の意味不明な文章をぶつぶつ呟くだけだった。何気なくその章句を口に出してみた。あんなにやばいファンタジー共のお世話をしてきたのに、警戒心というものはないのか。
瞬間、真っ赤な世界に飛ばされた。その空は夕焼けより赤く、でも全く綺麗だとは言えない。地面も真っ赤だ。財団に入ってから想像を絶する物をたくさん見てきたが、これはとりわけ…怖い。ただ、不気味だけがある世界だった。持ち前のいらない好奇心で探索を始めたが、脱出の手口は見つからなかった。
        
そろそろ焦りを感じてきたころ、突然「飛べる」と思い始めた。マジックマッシュルームの症状に「自らが飛べると思い込む」というものがあった。そんなのある訳ないと思っていたが、今なら分かるかもしれない。というか分かる。私は飛べるんだ。腕が翼に変わった気がする!!手を何度かバタバタと上下すると、体が浮いた。第三者から見たらクソ滑稽だろうが、今はそんなこと気にしている場合ではない。上空から見下ろしてみた。相変わらず不気味な光景が広がっていたが、飛べた興奮で気にならなかった。
その時、前方に何か赤いものが見えた。初めは赤い点のようだったが、凄まじい速さでこちらに向かってくる。直感的に感じた。逃げなければ。あれは危険だ。そう思って全力で''飛んだ''が、あの鳥には敵わなかった。あの連中はこれを言っていたのか!?嫌だ。死にたくない。そうだ、これは夢の中だ。別に構いやしない、と思ったのも束の間、足を噛みちぎられた。痛い。夢ではない。そう悟り全力で暴れた。ジョーズのクイントみたく。が、やはり相手が強すぎた。腹まで飲まれた所で意識が消えた。
それから、何度も何度も、永遠にも思える時間をここで過ごした。
      
   
何回目だっただろうか。少しずつここの地獄から抜け出す方法を掴んでいることを認知した。それはあの呪詛を書くことだ。紙はないのか。探せ探せ探せ探せ探せ

何十回目だっただろうか。もう見飽きた、無機質な天井が見えた。職場が嫌いだった私はそれが大嫌いだったが、あれをみてこれほど感動し、挙句嬉し泣きしたのはこれが最初で最後だろう。とりあえず起き上がって周りの確認をして、そして別のサイトにこれを報告しなければ。そう思い立ち上がって絶句した。
部屋は真っ赤だった。そして自分の手はそれと同じ赤に染まっていた。赤、赤、赤。返り血の赤、昨日までつまらない会話をしながら食堂で飯を食っていた同僚の腹から流れ出す赤。大嫌いだけど言うことは間違ってないからちょっと尊敬していた上司の、頭から流れ出す赤。
それは、まるであの世界の景色だった。

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