あなたの最愛の人があなたを忘れるという実感

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SCP TALE あなたの最愛の人があなたを忘れるという実感

SCP-3309 » [あなたの最愛の人があなたを忘れるという実感]

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サイトの向こう側が変形するような、嫌な音を聞いた。

シェルターの無機質な鉄の壁に凭れてスモールズは肩で息をしていた→ほとんど過呼吸ぎみだった→一度立ち上がり、ほとんど言葉になっていないことを叫び、また隅に座った(彼は虚空に焦点をあわせ、誰も聞いていないことを知った)→立ち上がりたかった、立ち去ってしまいたかったが、
全てが終わってしまったことを知るには、彼にはもう少し十分な時間が必要だった。

無いもないところから石油喰らい(虫)が大量発生してスモールズ研究員の日常は急に終焉を迎える→(スモールズはこの世界線ではソフィアライトと付き合ってる←じゃあラメントは??←ここは別のタイムラインだから)→少しずつ記憶や名前を忘れて答えられなくなるスモールズ

*

彼は昼休みにソフィアとランチする予定を考えてた、この後のミーム効果テストの見直しについて考えてた、いくつかのオブジェクトについて、昇進について……考えてた→しかしそこから先は何もないことに気が付いた、手に取るように消失しているのがわかった、まるで波が堤防に押し寄せるようにそれは少しずつ最近の事象に遡っていくのがわかった→嫌な予感がした、そして丁度、彼の前方の回廊の突き当たりを覆う→彼は走る虫擬きを見た

*

彼は肩で息をするも、すぐに立ち上がる。シェルターは窮屈な一室だった。蛍光灯の一つが激しく点滅した。次に、悲嘆に暮れた。この後に彼らにより齎される運命は、救いか死、あるいは永久的な手詰まりだけだ。

冷たい汗が首筋を撫でた。そうだ、きっと久々に走ったからだ。しかし、彼は本当はそうは思っていないことに気付いて、。

理不尽と絶望から来る苛立ちによって覆い隠されていた。

「ねえ、君」

声が響いた。甲高い子供の声だ。スモールズは辺りを見回す。まだ人が?でも子供だ。

「君だよ。その箱の中の」

その声はまるで新聞のスクラップで作られた脅迫状のように、鮮烈として聞こえた。彼は一瞬、窓の外を見る。窓を埋め尽くすそれの一匹の、黒い瞳孔のような部分が広く見開いている。

「そう、そこだ」生物学的に明らかな欠陥がある。しかし、呼吸をするように、膨らんだり縮んだりを繰り返している。ますます気味が悪い。

異物感に吐気を催す。

「君の名前は?」それは尋ねた。

彼は押し黙る。この光景は、あまりに非現実的過ぎる。しかし、虫は自分とは違って全てを知っていた。彼の全てを知っていた。全ての因果を知り尽くしていたかのように。

「君は、何だ?」

彼は辛うじて声を出すことができた。彼の背筋を亜寒が引き裂く。

「僕らは石油喰らい」それは答える。「僕らは、石油を食べて増えるんだ。石油じゃなければ、君らと同じ」

「それなら、次は君の番。君の、名前は?」

彼の頭を、悪い予言が横切った。ここには彼と虫擬きしか存在しない。

「楓稀、」彼は答える。「研究員補佐、峰 楓稀。」

「そっか、フーキくんか。」

「君は、何だ?」彼の最初の疑問は、こうだ。

「君が、これをしたのか?」彼の手は震えていた。

「そう」

「なぜ」スモールズは自分の質問があまりにも馬鹿らしく思えた。「なぜなんだ?」

「うーん、」

彼は怒っていた。

「クソ、畜生畜生!」

「なくなる。」それはすぐに答えた。「0匹の僕らに覆われて、何もなくなる。」

彼の中で悪い予言が適中した。後は時間の問題だった。

「それは…何だって?」

「無限大というのは、0と同義なんだよ。」それは答えた。

「それがありすぎて数えられないのは、その個数を正しく認識できないのと同じ。つまり、それを0個数えたのと同じなんだ。」

「どういうことだ?」

「君たちは宇宙の体積は分かる?」虫擬きの目が一斉に細くなる。「君たちの組織でも、観測可能な範囲までしかそれはできない。たとえ、その一部を切り取っても、それは宇宙の体積じゃないんだ。」

彼は歯の隙間から声を漏らす。「違う。それは、少なくとも1はあるはずだ。」

「それなら、いくつで終わるって言うの?」

彼は黙って頷いた。背中に張り付いた汗が冷たい。奴の主張は、明らかに破綻している。なら、それは何処にある?何が欠落している?そこにあるのは、何もない。そこには何もない。

「それは、終わらない。それは無限。」

虫擬きは続ける。「これも同じ。君たちが繁殖を求める矢先に、いったい何があるの?そこには何もない。滅亡か、永遠の繁栄。そして、滅亡。僕らだってたった3週間後にはそうさ。だから、僕たちはその先で待っている。」

それらの瞳孔が一斉に広がり、彼を見る。彼の脚が一瞬、平衡機能を失った。意識を研ぎ澄ましていないと、その目に吸い込まれてしまいそうになる。

「つまり、僕たちは、存在しない。存在しないのが、たくさん存在する。それは、何もないの正確性を鋭く磨き続けるだけなんだ。0匹なんだ。今日は0匹。0匹の石油喰らいたち。」

「別の君はまだ幸せだった」

虫擬きたちは窓の外側をしきりに蠢いた。更に見開かれた赤い目は、光の軌道を残して窓の表面を這いずり回る。窓にヒビが入る。天井が軋む。それは彼を押し潰そうと、悲鳴を上げて落ちてくる。壁が音を立てて形を変えた。彼が悲鳴を上げる。そして、それはたった一瞬の内に終わる。

彼の視界が暗転し、その後には何もなくなった

「だから、ここには何もない。君と僕ら以外に、もう何も残ってやいない」

虫擬きたちは一斉に目を細めた。窓にヒビが入り、天井が歪む。それは彼を押し潰そうと、悲鳴を上げて落ちてくる。

「君には可能性もあったんだ。でも君は彼らほどうまくはいかなかった。これがどうしてかわかるかい?」

彼はそれに応じようとはしなかった。彼は冷えきった床の上で、ただ丸くなって啜り泣いていた。

虫擬きは彼に非難するような目を向けた。「おめでとう、君は何もかもを知ったんだ。虚空へようこそ」

別の世界線のスモールズの話
┗void-dancer-hubの方とは違って幸せ(?)になれなかった

the-realization-that-your-loved-ones-will-forget-you

スモールズ研究員 void-dancer-hubの話

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