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「記録機器を拾うたびに、同じことを繰り返しています。砂を払って、動作確認をして――そして、未だ確定していないあなたに話しかけるのです。こうして話をするのは4回目です。あなたにとっては、初めてかもしれませんが。空は赤く、太陽はいつもよりも随分大きく見えます。今日が何年の何日かは分かりません。日付も街も溶解しました。私は今は倒れたビルの屋上から話をしています。屋上ですので、やはりそこから見える景色はちょっとしたものです。このビルも元が何階建てだったかは分かりません。ビルの足元はだいたい2、3階層分くらいが溶けて――今は固まっていますが、何階分カウントしていいのか分からないのです。それに、ここにはそういう建物が無数にあるのです。ちょっとした景色、でしょう?大抵の金属は溶けて酷い色と形をしていますし、コンクリートはぼこぼこに波打ってでたらめな方向に道を繋げています。でもまぁ、その道を歩いてきてあなたに会えたのですから、これは感謝すべきことなのかもしれません。誰に?…コンクリートに?ここは既に無生物の王国へと化しています。感謝すべき相手なんて本当は存在しないのです。ですが、ええ。コンクリートだって役不足ではありません。ありがとう。
そうそう、コンクリートはこの度の終末に置いて非常に重要な役割を果たしました。事が始まってすぐ、コンクリートの舗道が溶け始めたのです。次に金属が、自転車や道路標識なんかがゆっくりと柔らかくなっていき、人々が異常を認識した頃には、靴は溶けたコンクリートにくっついて離れなくなっていました。そこで靴を脱いだものはコンクリートの上で倒れるまでダンスを踊り、靴を脱がなかったものはそのままゆっくりと沈んでいき…いえ、本当はこんな説明に意味などないのです。終いにはみんな、コンクリートの下で眠ることになりました。私が今まで歩いてきた道にも、沢山の死体が埋まっていたはずです。コンクリートは捕食者としての役目を終え、今では物言わぬ墓場と、慎ましい墓標になっています。そうですね、死火山のようなものです。墓場ではあらゆるものが死んでいなくてはなりません。そう、コンクリートだって役不足ではないのです。
さて――私の話をしましょう。私の名前は"エイ"です。"永遠"の"永"と書いて"ながえ"と読むのが本名ですが、みんなは私のことをエイと呼んでいました。ですので、エイです。あなたもそう呼んで下さい。私は以前、お饅頭を作る仕事をしていました。と言ってもい手作りするのではありません。私の同僚たちが一時間に22000個もの饅頭を作り、私はそれを目視で点検します。形が歪ではないか、変色していないか、皮が破けてはいないか…。全部で41のチェック項目があります。今では半分も思い出せませんが、振り返って見てみれば、気違いじみていたと思います。いえ、決して悪く言うつもりでは…ああ、少しまって…。
……あくびをしていました。私の体は眠くなるとあくびが出るようにプログラムされているのです。みんなそうだって?そうですね。
そう言えば、あくびは明るいところを見ていると出やすくなるという話を聞いたことがありますか?実験してみましょう。1、2、3…。出ませんね。やっぱり嘘っぱちだったようです。
話が逸れてしまいました。あなたと話すのは楽しくて、ついつい話しすぎてしまいます。困ったものですね、ええと、そうだ。私は一日に平均して5、6時間ほど、そうやって饅頭が右から左へと流れていくのを眺めます。私の同僚はとても優秀なので、不都合で不完全な饅頭は、所謂"エラー品"はほとんど流れてきません。もしエラー品を発見したら、ロボットアームを使ってそれをつまみ食いします。お饅頭はとても美味しいですが、食べた個数はきちんと覚えておかなくてはなりません。エラー品の出現頻度はまちまちです。多い時はたった一時間でお腹がいっぱいになってしまいましたし、少ないときは一日中ずーっと饅頭を眺めているるだけの作業を続けていました。一日中、まるで時が止まってしまったように変化のない饅頭たちの行進を眺め続けるのです。私はそんな時、突如として強い不安と言いようのない寂しさに襲われます。私にはベルトコンベヤを流れる饅頭たちがまるで死にゆく人々のように見えました。まるで人々の生き死にに沙汰を下しているような気分でした。私は恐ろしくなって、救い出すように一つの饅頭をつかみ取り、焦って一口に飲み込みました。そして、結局私は死に抗うことは出来なかったのです。
饅頭ごときで何を、とあなたは言うかもしれませんが、当時の私にとって饅頭は生活の半分をしめるほど大きな存在でした。それが私の仕事で、とにかく生きる理由だったのです。同僚たちもみなそうでした。同僚…。そう、同僚についても話さなくてはなりません。
話が次々と変わっていくのを許して下さい。時間だって無限ではありません。これがいつ壊れるか分からないのです。それに、私には話さなくてはならないことがまだ沢山あります。
さて…。同僚たちについて語るとき、私はあらゆる適切な言葉を手放してしまったような気持ちになります、つまり、上手く説明ができないのです。でも、あなたにわかってもらえるかどうかは別として、とにかく話してみようと思います。同僚たちにできる最大の弔いは、こうして語ることなのですから。
私は先ほどあなたにした話を、死にゆく饅頭たちの話を、同僚の一人にも話しました。私は仕事終わりで非常に疲れてたので、目を閉じて彼に体を持たれかけていました。彼もまた、昼間より随分暗い顔をしていたような気がします。私の話を聞き終えると、彼は笑って言いました。
『ねぇ、一日に何十万という饅頭が殺されていって、何万かの饅頭は生き埋めにされてすらいる。だってのに、何をそんなに怖がるんだい?』
彼の言ったことは私の言いたかったこととは全然違いました。彼も、それを分かっていたんだと思います。なので私も笑って言いました。
『私たちもいつか、いや今にも、同じようになるんだよ』
『ああなれるのは幸せな連中だけさ。僕たちは死なない。最後はバラバラのゴミになって意識を保つのが面倒になる。それだけ』
それが一人目の同僚です。
二人目はシベリア生まれです。シベリア生まれというのは彼の名前ですが、名前は、彼と私の二人にしかありませんでした。シベリア生まれは事あるごとにシベリアの話をしました。何か言われれば『シベリアでは…』、口を開けば二言目には『シベリア』です。なので皆、きっと彼はシベリアで生まれたのだろうと思っていました。ですので、シベリア生まれです。
私はシベリアにはいったことがなかったので、彼の話はいつもワクワクしながら聞いていました。彼はシベリアにいるという人喰い白熊の話や、クリスマスの悲劇についての話しをしました。彼は口を開くたびに必ず違う話をするという稀有な才能を持っていました。一度話したことは決して忘れないのです。そして二度とそれを繰り返さないのです。
そうだ、シベリア生まれについて一つ言っておかないといけないことがあります。実は、私たちの誰も、出自のはっきりしているものはないのです。彼が本当はどこで生まれたのかは分かりませんが――それでも、彼の体のどこかに『made in siberia』の刻印があった気がしてなりません。
ところで。彼には仲の良い一人の友人がありました。それが三人目です。
彼女は不具者でした。そう、不具者だったのは間違いないのですが…どこに障害があったのか思い出せません。いや、上手い表現が見つからないのです。彼女の体の、欠けていた部分…。その部分を形容する適切な言葉がどうしても出てこないのです。右腕、右足、違う。左手、左足首、違う、違う。
とにかく、持ち合わせの表現で何とかするしかありません。彼女は人体のどこでもない部分を欠損していました。彼女はその欠損についてはあまり多くを語りませんでした。時々、折に触れてちょろちょろと、水門を上げては落とすように語るだけです。切れ切れの情報ばかりでしたが、彼女はそれを、生まれてすぐに何かのちょっとしたミスで失くしたようです。彼女はそれを責めませんでした。それをあるがままの事実として、そう、ちょうど今の私のように、受け入れきれずとも諦めをもって理解していたんだと思います。彼女は焦っているように見えました。話すべきことと話したいこと、話したくないことがぐちゃぐちゃになっていたんだと思います。話をすること…。いえ、同僚についての話はこれで止めにしましょう。
私たちは、最後は死ねずにバラバラのゴミになります。地獄にも天国にも私たちの居場所はありません。ここが、ここが地獄です。私だけに与えられた最後の桃源郷で、どうしようもない無間地獄です。私は60mの高さから飛び降りなければびっこになることすらありません。そして、そんな高さの建物はみんな溶けて倒れてしまっているのです。この世界には、神も、高層ビルもありません!
ああ…。
私についての話はこれで終わりです。
この世界についての話をしましょう、歩きながらでも構いませんか?この世界ではなかなか悪くない風が吹くのです。よっと…。本来の姿から70度以上傾いているとは言え、ビルの屋上から飛び降りるというのはやはりちょっとした仕事です。さて。東西南北どこを向いても同じような景色が日続いています。ビルがでたらめに傾いて好き勝手にあちらことらの星々を指差しています。機会があれば上から見下ろしてみたいものですが…そうそう、この世界では星は見えません。この世界の夜は月ばかりがただまぶしいのです。影は人の後にできます。あの時に太陽があらゆる影を駆逐してしまった今、夜ですら影が息をひそめているのです。しーっ、お天道様は俺たちのことを見ているぞ…。そんな具合に。
では、西に向かって歩いていみましょう。丁度よく、正午よりも日没の方が近い時間帯です。古典風に、夕日に向かって走ってみようではありませんか。
路面や建造物は思ったよりも風化していません。大抵の瓦礫は溶けるか沈むかしてしまいましたので、もちろん道は非常に悪いですが、恐らくはあなたの想像するほどではありません。その代わり、道の半分以上を塞ぐ大きさのビルと道路と人の混合物であれば見たことがあります。ただ、風化のほどはさして激しくないと、そういうことです。先ほども言いましたが、ここでは割にいい風が吹きますし、時には雨も降ります。ビルがだらりと垂れ下がっている光景を見られるのも、今のうちでしょう。
ビルがいくら目隠しをしようとも、太陽が見えなくなるということはありません。不思議な気持ちがします。お天道様の目は以前の倍も大きくなって――倍というのは直径の事ですが――もう見逃してくれることなんて何もないように思えます。いえ、見逃してくれなかったのがこの結果なのでしょうが。
この世界の話…。はは、すみませんね。話すことがなくなってきたようです。いや、話さなくてはならないことならあるのですが…。この今の世界については本当に、語ることが全然ありません。この世界は失われたものばかりが存在するのみで、何か語ろうとするたびに亡者の顔がちらつきます。私が語れることは、もう、無いものについてだけなんでしょうか。無いもの…。無いものは沢山あります。星も、影、あなたも。何もかもが失われました。ここにあるものは、すべからく、既に失われてしまったものです!失われたものについて話すのはもう沢山です。でも、でも!ああ、冷静を失うことを許して下さい。話していないとひどく不安な気持ちになります。言いようのない恐怖が喉元に迫っているのを感じます。出るはずのない涙を探して右手が伸びます。しようもない妄想が形而下に降りてくるのが分かります。怖いのです。でも!話すことはとても辛いのです。この世界について語る事なんて本当は何もないから、あまりにも多くのものが奪われたから、全部みんな、あの日の出来事を語れと強要する!
いえ、いえ、いえ!私は話さなくてはいけません。私はその為にこのレコーダーを手に取りました。話すこと、それは私に残されたほとんど唯一と言っていい自由です。話すことを決めたのは、話すことを強要するのは、本当は私なのです。
ええ、ですから…。
少し、時間を下さい。
…何が起きたのか理解して死んだものはほとんどなかったと思います。何が起きたのか。それを知っているのは今や私だけです。知っていたごく一部の者も、すぐに溶けて幾多の骸を形成するに終わりました。
あの日の話です。私はいつも通り朝7時間30分に起床し、博士のいる研究室に向かいました。博士について説明する必要は無いと思います。博士は博士です。博士号だって持っています。博士は寝坊助ですので、7時過ぎに到着してもちゃんとそこに居るかは分かりません。居ればお話をしますし、いなければ博士のコンピューターでゲームをします。果たして、博士はそこに居ました。研究室の隅のほうにあるお風呂場にです。物音がしたので風呂場のドアを開けると、少し驚いて、笑って博士は言いました。
『水風呂だよ。今日は一段と暑いからね』
君もどうだい、と彼は言いました。私をからかっているのです。彼は人差し指で水面を弾き、私に少し水をかけました。私は呆れて風呂場のドアをピシャリと閉めました。――多分、そこまでです。物事が正常だったのは。
私は研究室を出て冷蔵室へ向かいました。博士が随分暑そうにしていたので氷を持って行ってあげようと思ったのです。彼の言う通り、本当に暑い日でした。手元の温度計は51度を指していました。私はそれを信じまいと目をそらしました。ですが、次に目を向けたときには60度を超えており、そしてみるみるうちに真っ赤になって、最後には値を極めて壊れました。私は不安になって研究室に急ぎました。研究室にもやはり、普通ではない熱で満たされていました。熱は不吉な予感を私に起こさせます。初めて感じた恐怖です。絶望的な恐怖です。"すぐそこまで何かが来ている"。決して思議せずともそう考えてしまうのです。私は乱暴に風呂場のドアを開けました。現実味のないくもぐった"ドン"という音がして博士がこちらを見ました。彼はこちらを見て言いました。
『やぁ、今日は本当に暑いね』
博士は脂汗をにじませて笑顔を作りました。既にお風呂から上がっており、ゆがんだ白衣を着ていました。
『空調が壊れてしまったのかな。外に出て風に当たりに行こう』
私には彼が、いえ彼だけではありません。私や彼を取り囲む世界がおかしくなってしまったのが分かりました。私は何も言わずに彼についていきました。外が近くなるにつれて、人々は段々と現実性を失っていきました。実存性とでも言いましょうか…。本当にそれが存在しているのか、確認するあてのない恐怖です。いつもと比べてもたくさんの人々がいました。それが一層、彼らの現実性の希薄さを際立たせていました。人々は大きく2つの群れに分けられました。外に出ていく人々はと、中に入ってくる人々です。外へ出ていく人々はさらに2つに分けられました。直ぐに戻ってくる人々と、二度と戻ってこない人々です。中に入ってくる人々の行く末は一つです。刻一刻と時間が過ぎていくたびに、人々は次々に倒れていきます。誰もそれを異常なことだとは思っていないようでした。人々はぞろぞろと建物の奥に向かって進んでいきました。それがいいだろうと私は思いました。奥には冷蔵室だってあります…冷蔵室?私たちはどうして冷蔵室へ向かわなかったのでしょうか?
『外に出よう。ここは人が多くって敵わない』
私は無言で肯定して外に出ました。
『本当に暑いね…おや、太陽が随分と大きく見える』
外に出ると直ぐに、自転車に乗ったおじいちゃんが見えました。ゆっくり進んでいくうちにタイヤはぐにゃりと溶けて変形し、どんどん座高を低くしていきました。ずぶずぶ、ずぶずぶ…。終いに足が地面についても、おじいちゃんはそうしたままで固まっていました。その横では女の人が悲鳴をあげて両手をバタバタと振り回していました。彼女はそこから一歩も動きませんでした。上半身をでたらめに揺り動かしてバランスをとっていました。道路が溶け始めたのです。
『あちっ』
右隣で博士が言いました。
『まるでフライパンだ』
フライパンの上では12~3の立っている肉と、その倍以上の平たい肉が気味の悪い音をたてて焼かれていました。フライパンとの相違点は、それ自体が溶けているということです。
2人1組で立っている肉もありました。50mほど右奥、アベック風の男女です。私は彼らの名前を知っていました。サトコとヒロです。彼らは二人とも古風な名前をしていて、博士の研究室にもよくやって来ていました。私はひどく寂しい気持ちになりました。彼らはこれから死にゆく人々です。どうしてそんな時に古風な名前であることを思い出さなくちゃいけないのだろう、と私は悲しくなりました。私はそっと彼らに手を振りました。
それが合図だった訳ではないでしょうが、手を下ろすと、彼らの頭に火が付くのが見えました。まず手始めに髪が燃え始め、次に足元に火が付きました。彼らはしばらくの間それに気づきませんでした。燃えていようが燃えていまいが、異常な熱の前には同じことだったのでしょう。火は勢いよく燃え盛り、腿のあたりまで火が登ったところで、彼らはようやく自分たちが。いえ、恐らくは相手が、燃えていることに気づきました。サトコがヒロを押しのけました。足元が固定されてしまっているヒロは上手くバランスが取れずにそのまま後ろへ倒れました。彼らの悲鳴は一層大きくなりました。私たちにもはっきりと聞こえるほどです。彼らのさらに奥でも炎が上がるのが見えました。唐突に、博士は言いました。
『エイ、君が好きだよ』
街がぐにゃりと歪曲しました。電柱が頭を垂れてゆるやかに倒れていきました。いくつもの歯車が溶け落ちていくのが分かりました。1と2の順序が逆になったような、そんな致命的なおかしさです。
『みんな溶けてしまっても。君が好きだ』
あちこちから建物の瓦解する音が聞こえました。どんがらがっしゃん、ではありません。無数の崩壊音とともに、経験したことのないような鈍い音がするのです。視界は随分広くなってきました。私たちは、まだ溶けていない地面についても二人で並んで立っていました。
『綺麗だね。よく晴れた日の午後、君と見る最後で最高の景色だ』
人々の叫び声がうねって、まるでサイレンのように鳴り響いていました。望みを失い哭くものも、炎に身体を包まれながら鳴くものもありました。フライパンの上で踊るものがなくなっても、サイレンは決して止まず続いていました。
『好きだよ。好きだよ、エイ』
彼は私の背後にあるなにかをまさぐるように手を伸ばして私を抱きました。私はありったけの力で彼を抱きしめました。そして、彼の身体に火が付きました。炎は一瞬で全身に回りました。私はぎゅっと目をつむりました。
『好きだよ…好きだよ…』
燃えている間もずっと、彼がうわ言のように呟いているのが分かりました。
私たちはそうしてずっと、全てが溶け切ってしまう瞬間を待っていました
知っての通り、私は今もこうして溶け残っています。全てが溶け切ってしまう瞬間は終ぞやってきませんでした。私だけが溶け残って、事は終わりました。私はあちこちを歩き回ってすべてが失われたことを確認しました。シェルターの中では人々が蒸し焼きにされていました。海面には魚類たちの死骸がいくつも浮かんでいました。植物に至る全ての生き物が死んだのです。どっちみち、生き残りがいたとて長くはもたないでしょう。
それからあとの話は…必要ないでしょう。希望を失った私はぶらぶらとそぞろ歩いて、そしてあなた出会いました。
親愛なるあなたへ。長々と私の話を聴いてきれたこと、感謝します。ありがとう。こんな世界でもあなたに会えたことはとても幸運でした。これからも元気でいてください。やがてコンクリートの下から生命が生まれてくるのを、私はここで見ています。
最後に――
これはまとまりのない一つの声です。願わくば、まだ見ぬあなたに届かんことを」
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