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SCP-XXX-JPが生息する湖

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが存在する湖の周囲1.0kmを木々と有刺鉄線フェンスで覆い、一般人が立ち入ることを防いでください。また、SCP-XXX-JPは周囲に設置した監視カメラによる監視状態を継続し、これまでの挙動と逸脱している点が見られた場合は速やかにサイト管理官に報告してください。

説明: SCP-XXX-JPは██県██市の██湖に生息している、全長約20mの未知の生命体です。頭部はサレマ・ポーギー(学名:Sarpa salpa)に酷似しており、円柱状の胴部には20対の歩脚と14対の触腕を有しています。SCP-XXX-JPはその歩脚を用いて湖底を移動し、湖底に沈殿した生物の死骸を捕食することで生命活動を維持しています。触腕は捕食対象を拘束するために用いられ、5〜10mの長さに伸縮します。

SCP-XXX-JPは自身の周囲20〜40mに存在する生物に対して幻覚症状を引き起こすことが可能です。監視カメラでは湖周辺の昆虫や小動物が不自然な形で湖に入水していく様子が頻繁に確認されており、これはSCP-XXX-JPが周辺に生息する生物に幻覚症状を引き起こしているためと考えられています。SCP-XXX-JPは入水して溺死した生物を捕食していることから、幻覚により捕食対象を自身の生息する湖へ誘導していると考えられています。

SCP-XXX-JPは「幻が見える湖がある」という近隣住民の風説を耳にした財団エージェントによって調査され、発見に至りました。上述した風説が周辺地域に定着しており、SCP-XXX-JPの異常性に曝露した可能性があると考えられる人物が19人発見されました。SCP-XXX-JPの異常性の曝露を防止するために近隣住民への記憶処理を行い、現在の収容プロトコルが確立されました。以下は近隣住民へのインタビュー記録です。

補遺1-XXX-JP: インタビュー記録1-XXX-JP

対象: 小野瀬氏

インタビュアー: 江端研究員

<記録開始>

江端研究員: 貴重なお時間をいただき、ありがとうござます。早速ですが、あなたの見た幻覚について教えてください。

小野瀬氏: 幻覚……そんなんじゃない、あれは本当にいたんだ。湖から這い上がって、確実に俺を見てたんだ。

江端研究員: 湖に何がいたのですか?

小野瀬氏: 怪物だ……本当なんだよ!思い返すだけで目ん玉がひっくり返りそうになるんだよ!お前も湖に行けば分かる、あそこはやべぇんだよ!

江端研究員: その怪物の具体的な特徴を教えてください。

小野瀬氏: あれは魚?いや、牛、蜘蛛、脳味噌、目が一つだけの女?分かんねぇ、ありゃ一体なんなんだ……?とにかく言えることはデカくて、血生臭くて、数えきれない目と足がついてた。

江端研究員: その怪物から逃げてきたという訳ですね。

小野瀬氏: 一回捕まっちまったよ。でも何とか逃げ切れたんだ。

江端研究員: 抵抗して逃れることができたのですか?

小野瀬氏: いや、なげぇ手に捕まって抵抗は全くできなかった。でも逃がされたんだよな。何故か分からんが。

江端研究員: その時の怪物の様子を教えてください。

小野瀬氏: やつは動けない俺の目の前に何かを近づけてきた。死んだと思ったね。でも、近づいてきたのは恐ろしいもんじゃなくて……空き缶だった。やつは空き缶を俺の前でユラユラ揺らして、潰した。あ、次は俺の番だなと思った……が、なぜか解放されたってわけ。俺にも訳が分からない。ほら、これがその時の缶。気づいたらポッケに入っててさ。

江端研究員: こちらで少し預かってよろしいですか?

小野瀬氏: いいけど、すぐ返してくれよな。

<記録終了>

メモ: 缶からSCP-XXX-JPのものと思われる組織が検出された。SCP-XXX-JPが缶を潰し、小野瀬氏が幻覚を見ている最中にポッケに入れたのだろうか?なぜそのようなことをしたかは分からない。また、湖に誘導せず、むしろ遠ざけてしまうような幻覚を生じさせたのも不可解だ。人間は捕食の対象ではない可能性がある。

補遺2-XXX-JP: インタビュー記録2-XXX-JP

対象: 内藤氏

インタビュアー: 江端研究員

<記録開始>

江端研究員: 湖で起こった不思議ことについて教えてください。

内藤氏: 釣りをしていた時のことです。あの湖で釣りをするのは初めてだったんですが、それにしても全然釣れなくてですね……段々と眠くなってきたんです。それで、いつのまにか寝てしまったみたいなんですよね。

江端研究員: なるほど。

内藤氏: 目が醒めたらバッカンバケツに釣った覚えのない大量の魚が入ってたんです。

江端研究員: それで?

内藤氏: それだけです。

江端研究員: それだけ……何か見えたとか、感じたということはありませんでしたか?

内藤氏: いやぁ特には……あ、写真見ます?ほら、これがその魚ですよ。流石に気味が悪くて湖に放って帰りましたけどね。

江端研究員: 写真に残っている……なるほど。[画像をスクロールする]これも湖で撮った写真ですね?なぜこんな写真を?

内藤氏:笑う]それは私があそこで唯一釣れたもので、仲間に見せるとウケるんです。写真撮った後は持ち帰って捨てました。ボランティアをしたと思えば多少気分も違うんでね。

江端研究員: 長靴しか釣れなかった、というのは確かにネタになりそうですね。インタビューは以上です。ご協力ありがとうございました。

<記録終了>

メモ: 写真に残っているならバケツの魚は幻覚ではないだろう。触腕を使って入れたものと考えられる。しかし、今回の行動もSCP-XXX-JPの生命維持活動に関係があるとは思えない。また、内藤氏の趣味嗜好を理解しているようにも見えることから、ある程度の知性を持っているとも考えられる。

補遺3-XXX-JP: インタビュー記録3-XXX-JP

対象: 小泉氏

インタビュアー: 江端研究員

<記録開始>

江端研究員: 貴重なお時間をいただき、ありがとうござます。ではまず、湖で幻覚を見た状況について教えてください。

小泉氏: 深夜の2時くらいだったでしょうか。その時は雨が降ってましたね。特に変わった様子はありませんでした。

江端研究員: 深夜2時?何故そんな時間に湖にいたのですか?

小泉氏: そうですね……実は私、死にたいと思ってたんです。あてもなく車を走らせていたら、たまたま湖を見つけて、そこで身を投げて死んでしまおうかなって。交通事故で息子を亡くした事実を受け入れられなくて……あの子がいない世界なんて生きてても辛いだけ。命なんて捨ててしまいたい。そう思っていたんです。

江端研究員: そう思っていた?ということは考えが変わったということですか?

小泉氏: あの湖のおかげなんです。

江端研究員: 詳しく伺ってもいいですか?

小泉氏: いいですけど、信じてもらえないと思います。それくらい変な話でも聞きたいですか?

江端研究員: 話してみてください。あの湖で何があったのですか?

小泉氏: 私が身を投げようとして湖に近づくと、星空が水面に映って見えたんです。私はついにおかしくなってしまったのかと思いました。だってその時は雨が降っていて、夜空に星なんて見えなかったんですから。……どうします?こんな話でも聞きますか?

江端研究員: 続けてください。

小泉氏: 分かりました。私はしばらく水面に映る星空を眺めていたんですが、一際輝く星を見つけたんです。そして何故か分かりませんが、その星が私の息子だと確信したんです。そうとしか思えなかった。しばらく見つめていると星は徐々に私の方へ近づいてきて、すぐ手前で止まりました。そうしたら私……何を思ったのか必死に星を掴もうと水面に手を伸ばしました。何回も、何回も、必死に。でも、掴めませんでした。そりゃそうですよね、水面に映っているだけなんですから。でもその時は本当に掴めそうと思ってたんです。手に届きそうなほど近くで輝いていたから。

江端研究員: それほどまでに星を手に入れたかったのですね。

小泉氏: ですが、徐々に冷静さを取り戻して気づきました。星は水面に映っているだけで、本当は雲の上にあるんだって。掴めそうなほど近くにあるようで、遥か遠くにある。しばらくすると私はただ光を呆然と見つめて、泣くことしかできなくなっていました。

江端研究員: その後はどうしたのですか?

小泉氏: どうもしませんよ。涙が枯れても見つめ続けていました。涙を拭って見てみたら本当に美しくて…。

江端研究員: その時点では自殺をすることはもう考えていなかったのですか?

小泉氏: はい。そんなつまらない事は忘れてしまうくらい、星の輝きに魅入っていたんです。気づいたら夜は明けていて、雨上がりの清々しい空が広がっていました。湖に目を戻すと、もう星は見えなくなっていましたが、元気になったというか……前向きな気分になりましたね。生きていたいなって。

江端研究員: 生きていたいと思った理由はなんでしょうか?

小泉氏: 星は輝き続けると分かったからです。遠くにあっても、近くでずっと。この光を私は一生忘れません。

<記録終了>

メモ: 見たものは幻でも、それで得た希望は本物だろう。

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