SCP下書き「夜色の痣」

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-81██の標準ヒューマノイド収容施設に収容されます。

説明: SCP-XXXX-JPは全身が青黒い打撲創のようなもので覆われた人型実体です。皮膚表面には内出血を思わせる斑が多数見受けられますが血液及び体液を保有しておらず、体内は空洞であることが判明しています。SCP-XXXX-JPは人間と同等の知能・知識を有しており、日本語を用いた会話1も可能ですが、一日の大半を眠っているような形態で過ごし、能動的な活動はあまり見せません。また、自身の来歴については人間であったことを漠然と記憶しているのみで、個人に至る情報を想起することは困難であると述べています。

SCP-XXXX-JPは███に存在する████孤児院において発見・捕捉されました。またその際、同孤児院からは特定の箇所が青黒いインクのようなもので塗り潰された施設内文書が複数回収されました。該当箇所はいずれも孤児院に在寮していた何者かの氏名含む個人情報、或いはその人物に対し言及している内容であると推測されています。特に孤児院内の図書室からは同様の塗り潰しがなされた貸出者カード2が極めて多数発見されました。

孤児院関係者らは在寮児童一名分の空白に若干の違和感を示したものの、その人物に関する記憶の一切を保持していませんでした。また、内何名かは直近の記憶の著しい混濁を訴えました。仮説として、孤児院の在寮児童であった何者かがSCP-XXXX-JPに変異し、同時に過去のその人物に関する情報が上記の通り隠匿及び消失したものと考えられます。

インタビュー記録抜粋:

回答者: SCP-XXXX-JP
質問者: ██博士

<記録開始>

██博士: あなたが人間だった頃について覚えていることをお聞かせ願います。

SCP-XXXX-JP: ええ、私は以前お話しした通り元の自分についてのほとんどを忘れてしまいました。覚えていることといえば、私の体は元より痣だらけだったということです。胴とか足とか、着ているもので隠れるような場所にそれらはいつもありました。具体的にどんなことをされていたかは分かりませんが、私を日常的に痛めつけ、抑圧する人間があの場所にはいたのです。そして、その時まだ幼かったであろう私は、自身の赤く腫れ上がった痣が段々と青く、黒く変色していく様を眺めながらいつも、……可笑しな話ですが、夕方の空の移り変わりに酷く似ていると感じていました。そして密かに、恐れてもいました。日ごとに増えていくその青黒い痣がいつか、まるで夜の訪れのように私という存在をも暗く覆い尽くしてしまうのではないかと。……まったく子供じみた妄想ですが、私が鮮明に記憶している過去の事はこれくらいのものです。

██博士: 非常に興味深いお話です。今あなたに起こっている異常はその事と無関係には思えません。

SCP-XXXX-JP: そうなのでしょうか。確かに今の私は思考の至るところに暗闇が差し込んでいるような感覚があり、記憶だけでなく人間的な感情も失っています。しかし同時に、それまで私の頭を支配していた耐え難い苦痛の数々も、皆等しく夜の闇に飲み込まれ、影も形も無くなりました。幼い私が恐怖の対象としていた暗い夜の訪れは、実際には唯一の救いに他ならなかったのです。

██博士: つまりあなたは今のその状態が望ましいと?

SCP-XXXX-JP: ええ、私はできるならこの夜の中に留まっていたい。もしもあなた方が私を治療したいとお考えなのでしたら、どうか放って置いて下さい。私は夜明けが来ることなど望んでいないのですから。

██博士: 可能な限りあなたの希望に沿いましょう。……それと最後に、あなたの収容房には特別に本を何冊か用意していたのですが、読まれましたか?昔のあなたは本を読むのがかなり好きだったようなので、何か思い出すきっかけになればと思ったのですが。

SCP-XXXX-JP: 本……ああ、はい。ここに来た当初二、三冊手に取ってみました。ですがどうもだめですね、本というのは。退屈で、眠たくなってしまいます。

<記録終了>

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