リサイクルコンテスト2021 アイデア個別ページ
投稿者: SOYA-001
種別: ボツ記事
タイトル: SCP-XXX-JP - 可哀想な付喪神
概要: 手描きの"キャシー"のような、動く落書きが閉じ込められたコクヨ社のノート。その実は母親の虐待の末自殺した少女の落書きに意思が宿ったもの。
2016年、サイトに登録を済ませて初めて書いたSCP記事の下書き案であり、たった1つの批評で心折れて没にした記事でもある。あまりにも稚拙すぎる当時の記事をリサイクルしてくださる方がおられれば、嬉しい限りである。
詳細:

回収時のSCP-XXX-JPが記入されているノート
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8181のチャンバーに設置された40×40×30cmのガラス製低危険物収容ケースに収容されています。チャンバー内及び収容ケース内は常に無菌状態を保ってください。オブジェクトへの接触はセキュリティクリアランスレベル2以上の職員1名の許可をとった上で、手や頭皮、衣服などに付着した汚れを充分に除去した状態で行ってください。また、SCP-XXX-JPに直接接触する際はケース横に常時清潔な状態に保たれたゴム手袋を装着し接触してください。SCP-XXX-JPの異常性の影響を受けた際は直ちにクラスA記憶処理を実行してください。SCP-XXX-JPを用いた実験を行う際は必ずDクラス職員を使用し、30分以内にクラスA記憶処理を実行してください。
説明: SCP-XXX-JPは、コクヨ社より発売されているB5サイズの「キャンパスノート」の6×5cmの範囲に描かれた、一般的には「デフォルメされたクロオオアリ(Camponotus japonicus)のキャラクター」と例えられる落書きの1つです。ノートにはSCP-XXX-JP以外にも1ページから8ページまでに複数の落書きと思われる記述がありますが、これらにはSCP-XXX-JPのような異常性は確認されていません。ノート表紙には「4年3組 ███████[所有者と思われる女性の名前]」と記入されており、一部ページの欠損が確認できます。SCP-XXX-JPはノートの表紙や背表紙、裏表紙などを除く本文面であればページ内を自由に移動することができますが、接地面を通じて他の紙媒体への移動はできないことが観測されています。SCP-XXX-JPは食物の摂食を必要とはしませんが、筆記物でSCP-XXX-JPの近くに摂食可能な物として認識できるような絵を描くことで、SCP-XXX-JPがそれを摂食する様子が観測できます。また、SCP-XXX-JPとは通常人類と同程度の知性を有していると考えられ、日本語での会話も可能なことが確認されています(インタビュー記録:XXX-JP-1を参照)。SCP-XXX-JPは非常に警戒心が強く、SCP-XXX-JPが複数の人間から観察されたり、映像として記録されることにストレスに準ずる反応を見せることが確認されています。
SCP-XXX-JPの特筆すべき異常性としては、SCP-XXX-JPが活動できるノートの本文面を「悪意があり意図的に破く、切る、折る、飲食物や筆記物で乱暴に汚す等の行為を行った者(以降、被験者と定義)」に対し発現されます。SCP-XXX-JPはこれらの行為を行った被験者に対し強い抵抗・拒絶の意思を示す旨の言葉を発し、異常性が発現されます(以下、この状態のSCP-XXX-JPをSCP-XXX-JP-Aと定義)。SCP-XXX-JP-A発現後█分が経過すると白色の本文面が全ての可視光線を吸収する黒色に変化し「被験者の最も嫌悪する事象、物質、生物1」が幻覚として出現し被験者へ攻撃を開始します(以下、この状態のSCP-XXX-JP-AをSCP-XXX-JP-Bと定義)。この幻覚が発症した被験者はおよそ1時間後に意識が薄れ、それから█~█分経過した後、恒久的な植物状態となり最悪死亡します。被験者が植物状態となった時点でSCP-XXX-JP-Bはその異常性を失い、通常のSCP-XXX-JPになります。SCP-XXX-JP-Bへ移行後およそ30分以内にクラスA記憶処理を実行することで認識災害を無効化でき、また記憶処理を実行した時点でSCP-XXX-JP-Bは異常性を消失させます。これらの幻覚は被験者のみ認識可能であり、異常性を発現させなかった者から見た際はノートが黒くなった事以外は視覚的に認められません。また、これらの認識災害は故意的なものであればSCP-XXX-JPが「悪意があり意図的に行ったもの」と解釈しない限り発現することはありません。
SCP-XXX-JPは20██年██月██日に███県████市█████町の民家にて「ノートを破棄した直後に妻が発狂して倒れた」との119番通報を消防本部に潜入していたエージェント・███████によって確認され、同年9月██日に地元病院に潜入中だったエージェント・██により回収されました。関係者には聞き取り調査を行ったところ、ノートの所有者である███████氏は20██年██月██日に████市のマンションより飛び降り自殺をしています(補遺-01:を参照)。関係者にはクラスA記憶処理を実行後開放し、カバーストーリーとして「脳溢血による植物状態」が適用されました。
インタビュー記録:XXX-JP-1
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: █████博士<記録開始,20██/3/19>
█████博士: はじめまして、SCP-XXX-JP。
SCP-XXX-JP: ……[10秒ほど無音]はじめまして。
█████博士: では最初に。あなたは自分がどんな存在かを認知していますか?
SCP-XXX-JP: はい。……紙に描かれた、絵です。
█████博士: そうですね。では、あなたはどこから生まれてきたかわかりますか?
SCP-XXX-JP: …私は、[編集済、ノート表紙に書かれた名前の人物のあだ名と思われる単語]が、この体をくれました…。
█████博士: というのは、███████さんがあなたを描いたことによって生まれた、ということでよろしいですね?
SCP-XXX-JP: そう…ですね。[編集済]はいつも悲しそう、でした。はい…。
█████博士: わかりました。では███████さんはどんな人物でしたか?
SCP-XXX-JP: えっと……[編集済]は、その、とても…優しい子、でした…。
█████博士: もう少し具体的にお願いできますか。
SCP-XXX-JP: あ、そ…その、ごめんなさい……!お願いだから怒らないで…![怯えるような声]
█████博士: 大丈夫です。私は怒っていません。
SCP-XXX-JP: ……[SCP-XXX-JPはノート右端でうずくまった絵になったまま反応せず]
█████博士: これ以上のインタビューは難しいと判断し、記録を終了します。
<記録終了>
終了報告書: 少し事務的に応対をしただけなのですが、怯えさせてしまったようです。インタビューでの会話記録からSCP-XXX-JPはPTSDに似た疾患があるようにも思えます。 -█████博士
補遺-01: ███████氏の母親により、自殺の█日前に捜索願が警察に届けられていることが調査中に判明しました。███████氏の遺体は財団がSCP-XXX-JPを発見する█日前に遺族により葬儀に出されました。
補遺-02: 上記インタビューの終了後、20██年█月██日より行われている███研究員による実験の結果、SCP-XXX-JPへの食物の絵を1日█回程度続けて与えることにより、与えなかった場合に比べてインタビューでの質問の回答度が向上したことが判明しました。しかし、これらの実験結果は███研究員がインタビューを行った場合にのみ有効であり、判明して以降のSCP-XXX-JPへのインタビューはすべて███研究員が行っています。